【2025年・申請すれば「もらえるお金」「かえってくるお金」】電気・ガス料金、子育て支援、防犯対策の補助金、働く高齢者への給付金…逃さないために知っておくべきこと
北日本を襲う強烈な寒波。冬は暖房などの電気代もかさみ、今年は昨年を上回る品目数での値上げが予定され、物価高に歯止めがかからない。アメリカではもうすぐトランプ氏が再び大統領になり、世界経済も不透明だ。出て行くお金がかさむ一方、賃金は思ったほど上がらず、年金は実質目減り。老後貧乏にならないよう、私たちにできることは「もらえるお金」「かえってくるお金」を逃すことなく申請することだろう。
2025年は「子育て支援」「防犯対策」が充実
止まらない円安と常態化した値上げラッシュに上がらない賃金と、2024年は「お金」に悩まされ続けた1年間だった。2025年も、年始からわずか1週間で野菜の価格が急高騰。昨年を上回る品目数の値上げも発表されるなど、どうやら今年も、お金の不安がなくなることはなさそうだ。
国や自治体は、税金をきっちり取る割に、家計を助けるお金のアナウンスはほとんどしない。病気やけがで働けなくなるなど不測の事態の備えとしてはもちろん、急増する闇バイト強盗対策や生活の質を高めるための医療施術でも条件が合えばお金をもらえるケースがある。申請すれば「もらえるお金」「かえってくるお金」を知っておこう。
昨年は「酷暑乗り切り緊急支援」として、8~10月使用分の電気と都市ガス料金が値引きされた。今年も光熱費の値上がりが見込まれているが、実はこの支援事業が復活する。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが言う。
「2025年1~3月使用分まで、『電気・ガス料金負担軽減支援事業』が実施されます。電気料金は2月分まで一般家庭向けで1kWhあたり2.5円、ガス料金は1立方メートルあたり10円が補助され、3月分は電気が1.3円、ガスが5円と半減されます」
今年、拡充が進められているのが「子育て支援」にかかわるお金だ。社会保険労務士の岡佳伸さんが言う。
「4月からは、2才未満の子供を育てるための時短勤務で下がった給与の10%が受け取れる『育児時短就業給付』が改正雇用保険法の成立に伴って新設されます。また、これまでの育児休業給付は休業前の67%が支払われていたのに対し、そこに13%上乗せして合計80%給付になる『出生後休業支援給付』も始まります。これは夫婦どちらの育休に対しても支給されます」
昨年4月、働き方改革による時間外労働の上限規制が物流業界にも適用されるようになったことから、宅配需要の増加に対し労働力不足が起こる「2024年問題」が話題となった。その対策として、宅配ボックスの設置に補助金を出す自治体が増えている。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが言う。
「宅配ボックスは、設置費用のうち1万円ほどがかえってくる場合が多い。防犯対策にも補助金や助成金を出す自治体が増えており、東京・荒川区などでは防犯カメラ(上限2万円)や録音機能つきドアホン(上限7000円)をつけると、費用の2分の1まで補助が受けられます」
確定申告で忘れないようにしたい「薬代」
「お金がかえってくる」制度の代表格が確定申告。今年は3月17日までだが、その際に忘れてはいけないのが「医療費控除」だ。社会保険労務士の井戸美枝さんが言う。
「医療費の自己負担額が10万円を超えると、確定申告でお金がかえってきます。また、特定一般用医薬品の購入額が年1万2000円を超えた場合も控除されるので、領収書(レシート)はとっておきましょう」
傷病手当金など、医療のお金は基本的には「申請しないともらえない」ものばかり。だが、今後は手続きが少し楽になるかもしれない。
「マイナ保険証があれば、医療費がすぐにわかる。高額療養費制度の限度額適用認定証などの準備が不要になっています」(岡さん)
年代を問わず、事故や精神疾患などで重度障害を負った場合は月2万8840円が支給される「特別障害者手当」や「障害年金」、「特別障害給付金」など、特に精神疾患への支援は充実している。
「うつ病や統合失調症などの医療費の自己負担が1割に軽減される『自立支援医療制度』は2027年3月末まで延長されました」(井戸さん)
“高齢者の失業保険”は制度拡充
65才を過ぎても働く人は、2024年9月の時点で前年比2万人増の914万人と過去最多だった。生涯現役が当たり前になりつつあるいま、雇用保険の改正がなされるなど、より多くの人が申請すればさまざまな手当を受け取れるようになっている。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。
「『失業保険(雇用保険の基本手当)』を受けてから再就職すると、失業保険の残りの日数に応じて『再就職手当』が受け取れます。
失業保険は、65才以上では『高年齢求職者給付金』に名称が変わり、受給年齢の上限や受給回数の制限がなくなるうえ、老齢厚生年金と同時受給も可能です。
また65才以上でも雇用保険に加入して働いていれば、『介護休業給付金』を受け取ることもできます」
もしものための「もらえるお金」「かえってくるお金」を受け取りそびれないためには、事前の相談が重要だと、井戸さんは言う。
「特に、高額な医療費を支払うときや定年・失業したときなど、まとまったお金が動くタイミングでは、必ず事前に使える制度がないか調べましょう」
主に仕事にかかわることはハローワーク、医療に関することは健康保険の窓口、子育てや介護に関することは各自治体の窓口に問い合わせよう。
「『マチイロ』というアプリを使えば、各自治体の広報紙をバックナンバーまで無料で閲覧することができるので、自分の住んでいる自治体の制度をこまめにチェックしておくといいでしょう」(黒田さん)
2025年はまだ始まったばかり。もしものときもお金で損することのないよう、知識も蓄えておきたい。
※女性セブン2025年1月30日号