マネー

セカンドライフの再就職を支援する制度について解説 無料で受けられる職業訓練や給付金をチェック

履歴書と時計、ペンなど
セカンドライフの再就職はどうする?(Ph/photoAC)
写真7枚

子育てがひと段落するなどして、セカンドライフでの再就職を視野に入れている人もいるでしょう。そういう人たちは求職者向けの制度をチェックするのがおすすめだと、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは話します。そこで、どんな制度があるのか詳しく教えてもらいました。

* * *

ハローワークの求職者支援制度を活用する

まず、ハローワークの求職者支援制度を利用する方法があります。雇用保険に加入していなかった離職者や、雇用保険の受給が終了した人、現在パートタイム勤務での収入が一定以下で正社員への転職を目指す人向けに無料の職業訓練が受講できます。

ハローワークの外観
ハローワークの求職者支援制度をチェック!(Ph/photoAC)
写真7枚

訓練開始前から訓練終了後まで、ハローワークが求職活動のサポートをしてくれるので、就職活動もスムーズに行えるでしょう。

条件を満たしていれば職業訓練受講給付金が支給される

求職者支援制度は無料の職業訓練が受講できて、就職サポートが受けられるだけではなく、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない、原則として訓練実施日全てに出席する、などの条件をすべて満たしている場合、月10万円の「職業訓練受講給付金」が受給できます。

ノートや資料など勉強している机のイメージ
条件を満たしていれば月10万円の「職業訓練受講給付金」がもらえることも(Ph/photoAC)
写真7枚

また、訓練施設への交通費も、「通所手当」として月上限4万2500円まで支給されます。「職業訓練受講給付金」受給の対象よりも収入が高い場合は、「職業訓練受講給付金」は支給されませんが、本人収入が月12万円以下、世帯全体の収入が月34万円でそのほかの条件を満たしていれば、通所手当の支給対象となります。

加えて、訓練施設へ通所するために同居の配偶者、子および父母と別居して寄宿する場合で、住所の変更が必要とハローワークが認める場合に、月1万700円の「寄宿手当」が支給されます。

シニアには医療事務・介護福祉分野がおすすめ

求職者支援のための職業訓練は一部を除き、受講期間は2か月から6か月間。職業訓練の内容はデジタルやITの分野から営業・販売、医療系など幅広くあり、MOS(Microsoft Office Specialist)、Word・Excelなどの資格や医療・介護事務など即戦力になる資格も取得できます。

車椅子の女性に話しかける介護士
シニア層でも働き口が多い、医療事務や介護・福祉分野(Ph/photoAC)
写真7枚

訓練コースを選ぶときには、もちろん興味があるジャンルのほうがよいですが、年齢など自身の条件が求人とマッチするものを選ぶことが重要です。シニア層ではとくに、医療事務や介護・福祉分野の働き口が多いのでおすすめです。

雇用保険加入者なら教育訓練給付制度を活用

雇用保険加入者なら、教育訓練給付制度を活用できます。在職中で雇用保険に加入している場合や離職して1年以内の人が対象です。前出の求職者支援制度のように無料で職業訓練を受けることはできませんが、条件を満たしていれば教育訓練給付制度の対象となり、受講費用の一部が支給されます。

メモをとる白衣の女性
「専門実践教育訓練」は最大で受講費用の70%が支給される(Ph/photoAC)
写真7枚

この制度には、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3つがあります。介護福祉士や看護師、歯科衛生士といった、業界独占資格などの取得を目標とする「専門実践教育訓練」は最大で受講費用の70%(年間上限56万円・最長4年)、介護職員初任者研修、大型自動車第一種・二種免許など業務独占資格などの取得を目標とする「特定一般教育訓練」は、受講費用の40%(上限20万円)、英語検定や簿記検定、ITパスポート、修士博士などの取得を目標とする「一般教育訓練」でも受講費用の20%(上限10万円)支給を受けることができるものです。受給資格の有無受給要件などについてはハローワークで確認することができます。

65歳以上で離職1年以内なら高年齢求職者給付金も

また雇用保険の被保険者だった場合、65歳未満には失業保険がありますが、65歳を過ぎて再就職を目指している場合は高年齢求職者給付金というものがあります。条件としては65歳以上のかつ、離職日以前1年間に一定の「被保険者期間」があり、離職の日の翌日から1年間(受給期間内)に失業状態かつ求職活動中であることが条件です。被保険期間が該当するかどうかなどは、こちらもハローワークで確認することができます。退職後も働き続けたい場合は、働いていた職場で離職票を受け取ったら1日も早く、ハローワークへ出向いて手続きをしてください。

離職票
雇用保険の被保険者だった場合、65歳以上なら高年齢求職者給付金の対象に(Ph/photoAC)
写真7枚

高年齢求職者給付金の対象となる場合、被保険者として雇用された期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分、雇用保険の基本手当を受け取ることができます。受給期限は離職日の翌日から1年です。

年金受給者は併給調整や在職老齢年金などに注意

前出の高年齢求職者給付金を受け取ったとしても、年金額が減るといった併給調整はありませんが、65歳になるまでの特別支給の老齢厚生年金、繰り上げ支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)、特別支給の退職共済年金を受ける人が、失業給付や高年齢雇用継続給付を受けるときは、年金の全部または一部が支給停止されます。

また、60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といい、年金と給与などの合計が月額48万円を超える場合、48万円を超えた金額の半分が年金額より支給停止されます(ただし、老齢基礎年金は全額支給されます)。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
写真7枚

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

●50代女性の再就職で有利な資格は? オンライン講座なら資格取得やさまざまな学び直しも

●新田恵利、突然の介護で慌てないために 母親の介護ではオムツ交換の資格取得

関連キーワード