子供も独立して夫や自身が定年退職を迎えたら、ライフスタイルが大きく変わります。これまで暮らした自宅を売却して子供の近くに引っ越す人もいれば、大規模なリフォームをする人もいるでしょう。そんなときに使えるお得な制度はおさえておきたいものです。
今回は、新築・中古住宅の購入時に給付金がもらえる「すまい給付金制度」と税金が優遇される「住宅ローン減税」について、特定社会保険労務士の小泉正典さんの監修のもと紹介します。
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最大50万円もらえる「すまい給付金制度」
すまい給付金は、消費税率引き上げによる国民の負担軽減をはかることを目的とした制度です。申請できるのは、新築・中古住宅を購入し、2022年12月末までに引き渡しを受けて入居した人で、最大50万円のすまい給付金がもらえます。
「すまい給付金制度」の対象者とは?
主な条件は以下の通りです。
・住宅を所有しており、自ら居住する住宅であること
住宅に居住する人を給付対象としているので、父親が購入し息子が住んでいるといった場合は、父親は住宅の所有者であっても実際に住んでいないので給付金はもらえません。
・住宅ローンを利用していること。または年齢が50歳以上であること
基本的に住宅ローンを組むことが申込みの条件ですが、50歳以上であればローンを組まずに全額現金で住宅を購入する場合にも支給されます。
・収入が一定以下であること
申請には収入額の上限があるので一定以上の収入がある人はもらえません。収入額と世帯の構成にもよりますが、例えば夫婦(妻は収入なし)および中学生以下の子供が2人のモデル世帯が住宅を購入する場合、夫の収入額の目安は年収775万円以下であることが条件となります。
その他、対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上(一定期間内の契約の場合は40平方メートル以上)、施工中に第三者の現場検査を受け一定の品質が確認された住宅であることなど細かい条件があります。新築か中古かによっても受給要件が異なりますので、詳しくは各地のすまい給付金サポートセンター等に確認してみてください。
申請先は各地のすまい給付金申請窓口ですが、住宅事業者による手続きの代行も可能です。申請は住宅の引き渡しを受けてから1年以内に行うことになっていますが、新型コロナウイルスの影響で現状は1年3か月以内となっています。給付金は提出後1.5~2か月で支払われます。
実際にいくらもらえるの?
もらえる金額は、都道府県民税の所得割額に応じて変わってきます。
・所得割額が7万6000円以下(収入の目安450万円以下)の場合、給付基礎額50万円
・所得割額7万6000円超~9万7900円以下(収入の目安450万円超~525万円以下)の場合、給付基礎額40万円
・所得割額9万7900円超~11万9000円以下(収入の目安525万円超~600万円以下)の場合、給付基礎額30万円
・所得割額11万9000超~14万600円以下(収入の目安600万円超~675万円以下)の場合、給付総額20万円
・所得割額14万600円超~17万2600円以下(675万円超~775万円以下)の場合、10万円
夫婦の共同名義で購入したときは、持ち分割合に応じて給付金の額が変わります。例えば夫の年収500万円、妻はパート収入で年収250万円の場合、夫の給付基礎額は40万円、妻は50万円となります。
住宅の持ち分割合が1/2ずつなら、それぞれの給付基礎額も1/2になり、夫20万円と妻25万円、合計45万円の給付金がもらえます。もちろん、夫婦ともに住宅に居住していることが条件となります。
所得税等から一定額が減税される「住宅ローン減税」
住宅ローン減税制度とは、住宅ローンを利用して住宅の新築、購入、増改築などを行う際に、国民の金利負担の軽減を図る制度です。契約時期と入居時期に応じて最大13年間、所得税等から控除されます。2020年12月31日までに入居することが利用の条件でしたが、2年延長されて2022年12月末までの入居が対象となりました。ただし、注文住宅の場合は2021年9月末までの契約、分譲住宅の購入や増改築などは2021年11月末までに契約することが条件となります。
具体的にどんな人がもらえるの?
住宅ローン減税も住まい給付と同じで、新築だけでなく中古住宅も対象となります。また、増改築なども100万円以上の工事費であれば住宅ローン減税の対象となります。
主な条件は、以下の通りです。
・住宅を所有しており、自ら居住する住宅であること
住宅の引渡し又は工事の完了から6か月以内に、減税を受けようとする者が自ら居住する必要があります。住民票により確認することとなります。別荘などのセカンドハウスや賃貸用の住宅は対象となりません。
・住宅ローンを利用していること
借入金の償還期間が10年以上であること
ほかにも床面積が50㎡以上であること、中古住宅の場合は耐震性能を有していることなど細かい条件が定められています。所得は3000万円以下であることも条件となっています。
新型コロナウイルスの影響で期間が延長されている制度もあるので、申請していない制度がないかいま一度チェックしてみてください。
※手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、令和3年6月1日時点での内容となっています。
監修:特定社会保険労務士・小泉正典さん
こいずみ・まさのり。特定社会保険労務士。1971年生まれ、栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士 小泉事務所 代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は労働・社会保険制度全般および、社員がイキイキと働きやすい職場作りのコンサルティング。監修書に『社会保障一覧表』(アントレックス)、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)など。セミナーや講演も多数行う。https://koizumi-office.jp/