【ケース1】立ち上がるときや動き始めが痛い
動き始めに痛みを感じるが、動いているうちに痛みが軽くなる場合は、血行不良を改善すると痛みがなくなるケースが多いという。「ひざの皿を固定した状態でひざ皿ほぐしを行えば、痛みも改善します」(土屋さん)。ひざが痛む場合は1日3回が目安。痛くない場合も1日1回行い、柔軟性をキープしよう。
表層の血行改善
【1】椅子に座り、痛む方の足のひざを上げ、片手を痛む場所に、もう片方の手は皿の上に置き、皮膚を股関節方向に少しずらして固定する。【2】その状態でひざを深めに曲げ、ひざから下をぶらぶらと揺らしてひざの曲げ伸ばしを30秒くらい行う。
中層の血行改善
【1】椅子に座って痛む方のひざの皿を両手のひらで包み、皿の上の皮膚にしわがよるくらいの強さで圧迫する。【2】そのまま、ひざ下をぶらぶらと揺らし、ひざの曲げ伸ばしを30秒くらい行う。
深層の血行改善
【1】椅子に座り、痛みのある足のひざを軽く伸ばし、かかとを床につける。両手の親指と人差し指で皿を上下左右に動かし、皿の下の膝蓋下脂肪体を刺激する。【2】かかとを床につけたまま、両手の人差し指を皿の下に入れ込むようにして、皿を上にずらした状態で、リズミカルにひざの曲げ伸ばしを30秒くらい行う。
【ケース2】動いていると痛みが強くなってくる
ふだんはひざの違和感はほとんどないが、歩行中に痛みを感じたり、階段の上り下りで痛みが生じる場合は、体の使い方でひざにねじれが生じたことで負担がかかっている可能性が。ねじれを助長させないように、痛くない範囲で、ひざにつながる筋肉をほぐそう。
筋膜の柔軟性を高める
【1】骨盤をなるべく立て腰を丸めないように椅子に座る。右ひざが痛む場合は左手を太ももの内側に、右手を皿の上に置く(左ひざが痛む場合は手を逆に)。【2】両手に力を入れ、ひざから下をぶらぶらと揺らし、30秒くらいひざを曲げ伸ばす。
内側広筋をほぐしてねじれを取る
【1】椅子に座り、痛い方の足の内側広筋(太ももの内側の筋肉)の上に手を置き、指先を小刻みに動かして10秒マッサージする。【2】次に、片手を太ももの前に、もう片方の手を内側(少し後ろ)に置き、内側広筋を挟んで圧迫する。【3】そのままの状態で、ひざをしっかり伸ばして太ももに力を3秒間入れ、ひざを曲げて力を抜く。これを10回繰り返す。
脂肪体の柔軟性を高める
【1】椅子に座って痛みのある方の足を軽く曲げ、両手の親指と人差し指で皿を上下左右に動かし、皿の下の膝蓋下脂肪体を刺激する。【2】人差し指を皿の下に入れ込むようにして上に動かした状態で、ひざをまっすぐ伸ばし、親指で皿が上に動くのを感じたら、脱力するようにひざを曲げる。これをゆっくり10回繰り返す。
【ケース3】ひざを曲げると痛い
正座などひざを深く曲げる際、正常であればひざの皿は約8cm下に動くが、運動不足などで皿の動きが悪くなると、曲げにくくなり、痛みも感じるようになる。この際、痛む寸前までひざを曲げた状態でひざ皿ほぐしをすると、少しずつひざが曲げられるようになり、痛みも取れてくる。痛みのない人が行えば、ひざの柔軟性を保つ予防に。
筋膜をほぐす
【1】痛い方のひざを伸ばして床に座る(反対側の足は、楽な形に)。片手をひざの痛い場所に、もう片方を皿の上に置き、皿の上の皮膚を股関節方向に押し上げて固定する。【2】1の状態からひざの曲げ伸ばしをリズミカルに30秒間行う。痛くない範囲で行おう。
大腿四頭筋を刺激する
【1】痛む方のひざを伸ばして床に座り、ひざの横から皿を包むように挟み、皿の上の皮膚にしわがよるくらいの強さで圧迫する。【2】1の状態からひざを2~3cm体に寄せ、皿がつま先方向に動くのを感じたら、痛みのない範囲でリズミカルにひざを30秒間曲げ伸ばす。
脂肪体の柔軟性を高める
【1】床に足を伸ばして座り、痛むひざをゆっくりと曲げていき、痛みが出たら、痛みが出ない角度に戻し、足裏を床につけて固定する。【2】ひざの皿に両手のひらを重ねて当て、皿を足先の方向、斜め下(外)、斜め下(内)に、それぞれ10回ずつ押す。
【ケース4】ひざを伸ばそうとすると痛い
ひざを伸ばして座ったとき、本来であればひざ裏は床につくが、床につかない場合は、皿の周囲が硬くなっている可能性が高い。やわらかなひざを取り戻すひざ皿ほぐしを行えば、痛みのあるひざの柔軟性も劇的に改善する。変形性膝関節症が進行するとひざが伸びなくなるため、シニアは特に予防や痛み対策として行おう。
筋膜を伸ばす
【1】痛い方のひざを伸ばして床に座り、ひざの下に2~4つ折りにしたタオルを入れる(痛みのない高さに)。片方の手をひざの痛い場所に、もう片方を皿の上に置き、皮膚を足先方向にずらして固定する。【2】そのまま痛みのない範囲でひざに力を入れて伸ばし、ひざ裏をタオルに押し付け、力をゆるめてひざを曲げる。これを30秒間繰り返す。
大腿四頭筋を伸ばす
【1】痛い方のひざを伸ばして床に座り、ひざの下に2~4つ折りにしたタオルを入れる。皿を両手のひらで包み、皿の上の皮膚にしわがよるくらいの力で股関節方向に動かして固定。【2】そのままの状態からひざを伸ばし、ひざ裏をタオルに押し付けたら、力をゆるめてひざを曲げる。これを30秒間繰り返す。
ひざのしなりを取り戻す
【1】痛みのある方のひざを伸ばして床に座り、両手の親指と人差し指で皿を上下左右に動かし、皿の下の膝蓋下脂肪体を刺激する。【2】人差し指を皿の下側に引っかけて上に押した状態で皿を固定し、足を伸ばしてひざ裏を床につけ、力をゆるめてひざを曲げる。これを30秒間繰り返す。
※イラストは右ひざが痛い場合の例です。
◆教えてくれたのは:理学療法士・土屋元明さん
「動きのこだわりテーション」代表。施術を行うとともに、回復に向かう暮らし方やセルフケアを提案。著書に『1日90秒、皿をほぐすだけで、ひざ痛は治る!』(方丈社)など。
※女性セブン2025年2月6日号