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たまたま乗った新幹線がいま話題の“アナ雪新幹線”だったら…「ディズニーに興味はない」67歳女性記者が取った行動は?

オバ記者
『アナと雪の女王』
写真5枚

ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(67歳)は、鉄旅をこよなく愛する“乗り鉄”。先日、たまたまレアな新幹線に乗ることができたという。それは“アナ雪新幹線”。ディズニーに全く興味がないというオバ記者が“アナ雪新幹線”に乗ったところ──。

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偶然に乗れた“アナ雪新幹線“

あの、いきなりですが他人の自慢話のうち、努力に努力を重ねた結果、手にしたもの自慢と、たまたま、偶然に手にしたラッキー自慢とどっちが腹立ちます? 私は、てか、たいがいの人は「たまたま話」のほうじゃないかしら。濡れ手に粟はほんと、ムカつくよねぇ。と、言った後でナンだけど、たまたまレアな東海道新幹線に乗っちゃったのよ。

東海道新幹線で、ディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』のキャラクターが描かれた特別塗装の列車が2月21日から走り出したの。えっ? そんなの知らない? 乗ってない? だよねぇ。だってこれ、東京―新大阪間の「ひかり」「こだま」を中心に金~日曜は1日2往復、月、火、木曜は1往復の運行だけなんだって。

私が乗ったのは東京発9時57分のこだま715号。乗ろうとして乗ったんじゃない。その前のこだまのグリーン車を予約していたのに出がけに手間取って、このまま東京駅に向かったら乗り遅れる! 焦って発車10分前に秋葉原のみどりの窓口に飛び込んで1便後にしてもらったという因縁つきなの。みどりの窓口っていつも長蛇の列だから一か八かだったんだけどこの日に限って窓口が空いていたって、ほんとあり得ない!

しかし東京駅の新幹線12番ホームの混みようといったらなかったわね。老若男女、特にも目立ったのが私より10歳下くらいの中高年女性で忙しそうにホームを行ったり来たりして“撮り鉄”をしてるのよ。

ディズニーに興味はないが…出発1分前に

で、問題はここからなんだけど私はディズニーに興味はないんだよね。登場人物のにゅるっとした動きがどうにも目になじまなくて…って、まぁ、その話は置いておくわ。だからこの特別塗装のこの列車を見ても「ふーん」って感じ。それより走る応接室のようなグリーン席の乗り心地を確かめたりしていたの。大人の休日倶楽部会員の私は3割引だからグリーン料金と指定席はほぼ同価格。この日は取材旅行だから経費で落ちる。喜びの舞でも踊りたくなるくらいだったのよ。

ところが出発1分前になったところで頭の中に「レア」という文字が点滅し始めたら、勝手にカラダが動いてホームに飛び出して写真を撮りまくっていたんだから、まぁ、我ながら節操がないったらない。

しかしこのディズニー列車は私が思っていた以上に知られていたのね。新横浜、小田原、熱海とどこの駅でもにわか撮り鉄がスマホをかまえているではないの。

“アナ雪新幹線”で徳川家康の故郷へ

そのアナ雪新幹線を豊橋で降りて愛知県岡崎駅へ。そうそういつでも手段と目的を取り違えるのが悪いクセなんだけど、新幹線に乗ったのは岡崎市で開かれた『食と心の講演会』を取材するためだったのよ。

岡崎は電車の中で調べたら家康の生まれ故郷なんだね。岡崎駅の駅ピアノからして由緒正しい徳川柄。

オバ記者
岡崎駅に置いてあるピアノも徳川柄
写真5枚

さっそく駅前のホテルに荷物を預けて現地の知人、Oさんと連れだって岡崎城見物へ。ここは徳川家康が生まれたところで城には彼が産湯をつかったという井戸が残されている、と言ったものの、私、彼のこと、なんも知らないのよね。

山岡荘八の『徳川家康』という大長編は見ただけで怖気づいて1ページも開いてないし、つい最近話題になった大河ドラマ『どうする家康』も見損なっている。

神田川の近くに住んでいるから大治水工事をした家康様の存在は常に感じているんだけど、そこから先の興味が湧かないんだわ。なんでか。つらつら考えてわかったんだけど、私はきょうだい以上の続柄が覚えられないの。日本史って〇〇は▲▲のマタイトコでとか、続柄が腑に落ちないと話にならない。私みたいに聞いたそばから忘れる人間は一生縁がないんだと思う。

とそのくせ城の周りの公園にあった、家康とツーショット写真を撮ると出世するという新しく出来た観光スポットにはすぐに飛びつく(笑)。

オバ記者
徳川家康とツーショットで出世を狙う!?
写真5枚

そして家康館にかかっていた「天下はひとりの天下にあらず。天下は天下の天下なり」という名言に胸をキュンとさせる。典型的なおばちゃん観光客だわね。

で、『食と心の講演会』はチケットが完売。写真撮影をしたのは観客がバラバラと帰り出した時だけど、大盛況でした。

刑務所の管理栄養士をしていて『目指せ!ムショラン三ツ星』の著者の黒柳桂子さんと、デカトワルというコンビを組んで、全国で食育の講演会を開いている元警察官の阿部祐介さんと元受刑者の串田大我さん。

黒柳桂子さん 阿部祐介さん 串田大我さんとオバ記者
阿部祐介さん、黒柳桂子さん、串田大我さんとオバ記者
写真5枚

2人はその2日前に近くの少年院で講演をして、特に懲役6年をつとめた串田さんの話に受刑者たちは目を丸くして聞いていたそう。

夕暮れの新幹線に乗って帰京。車窓の家々を見ながら黄昏感に浸るのが好き。旅情って胸が痛くなるものだったのね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
写真5枚

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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