
日本で初めてのラジオ放送は1925年3月22日9時30分、NHKの前身である東京放送局の仮放送所から始まった。それから100年、テレビの台頭やメディア、娯楽の多様化で斜陽を迎えた時期もあったが、インターネットを利用しての放送や配信が可能になったいま、幅広い世代に聴かれるように。ラジオの人気を引っ張っている人気パーソナリティーのジェーン・スーさん(51才)にその魅力を語ってもらった。
“女性の気持ちの代弁者”と支持されるパーソナリティーに
《〇月×日△曜日、11時になりました。皆さんこんにちは…ここからのTBSラジオは『生活は踊る』、パーソナリティーはジェーン・スー…》
軽快な音楽とともに、オープニングあいさつが始まると、もうすぐ昼か、という気持ちになる。同番組が始まったのは2016年4月。それまで30年続いた長寿番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』を引き継ぎ、いまやすっかりTBSラジオの“昼の顔”だ。パーソナリティーのジェーン・スーさんは、“女性の気持ちの代弁者”と支持されるコラムニスト。昼の番組にふさわしく、明るいけれど落ち着いた声で、聞き心地がいい。
「ラジオは生活の邪魔にならないBGMにしたいと思っています。日常の流れの中にあるという感じ。時計代わりに流している人たちのお供になれたらいいなと。それが生放送の醍醐味だと思うんです」(ジェーン・スーさん・以下同)
そのため、自分の声色がどういう印象を与えるのか気配りしているという。
「無理に声を作っているわけではありませんが、リスナーに心地よく聴いてもらいたいと意識しています」

ラジオは本音が透ける。だから嘘は言わない
毎週月曜から木曜まで3時間の生放送。話すネタは尽きないのか──。
「私の場合、家族や友達のいるリビングでおしゃべりをしているイメージ。台本はありませんし、打ち合わせも番組開始の30分前に流れを把握するくらい。普通に生活しているように話しているんですよね。リスナーからのお悩み相談コーナー『相談は踊る』にも即興で答えています。
ただ、嘘は絶対に言いません。テレビと違って視覚情報がないラジオは声に対するリスナーの集中力が高い。ちょっとした間や声色で本音が透けてしまいます。ですから、多少冷たく思われようと白々しいことは言わないし、相手が喜びそうな言葉もリアリティーを伴わなければ使いません」
誠実に話す──それがリスナーにも伝わるからこそ、心地いい昼のお供になり続けられるのだろう。
◆コラムニスト、作詞家、ラジオパーソナリティー:ジェーン・スーさん
1973年生まれ。大学卒業後にレコード会社、眼鏡専門店などでの勤務を経て、40才のときにコラムニストとしてデビュー。2011年に、夜のワイド番組『ザ・トップ5』(TBSラジオ)の木曜パーソナリティーに抜擢されたことをきっかけにラジオの世界へ。新著に『へこたれてなんかいられない』(中央公論新社)。
【出演中】
『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ)月~木曜(11~14時)
生活情報やお悩み相談、おいしいご飯、街のトレンドなどを紹介する「人情・愛情・生活情報」番組。
取材・文/植木淳子
※女性セブン2025年3月20日号