
厳しい冬を越えて育ち、旨みも栄養もぎっしり詰まった春野菜。そのおいしさを存分に引き出すレシピを、春野菜を知り尽くした農家に聞きました。東中青果 うずしおファーム 3代目・東中秀幸さんが、新玉ねぎの魅力を引き出す絶品レシピを教えてくれました。
生食でみずみずしさをじっくり加熱で甘さを楽しむ
「春先に出回る新玉ねぎは、辛みが少なく生食でもおいしい。みずみずしさは通年販売のものとは別物です」と話すのは、玉ねぎの名産地・兵庫県淡路島で青果店と農家を営む東中秀幸さん。

「新玉ねぎは傷みやすいので、新聞紙で1個ずつ包んで冷蔵室に入れ、1週間ほどで食べ切ってください」(東中さん・以下同)

おいしい新玉ねぎの選び方
「水分が適度に抜けて首が細くしまっているものが◎。新鮮なものは首の部分が硬いのもひとつの目安です」

「新玉ねぎのしゃぶしゃぶ」のレシピ
新玉ねぎはサッとくぐらせるだけでも煮込んでトロッとさせても美味。
《作り方》(2人分)
【1】鍋に水5カップ、昆布10gを入れて30分おく。
【2】新玉ねぎ(中)1と1/2個は薄切りに、水菜1袋、好みのきのこ適量は食べやすい大きさに切る。
【3】【1】を弱火にかけ、沸騰する前に昆布を取り出す。
【4】豚肉(しゃぶしゃぶ用)300gと【2】を【3】にくぐらせ、ポン酢適量につけて食べる。
《Point》

「玉ねぎはスライサーなどで極薄切りにするのがおすすめ。シメは甘みと旨みが凝縮されたつゆで、うどんにするとおいしいですよ!」
「新玉ねぎのオニオングラタンスープ」のレシピ
炒めて甘さが増した新玉ねぎをとろ~りチーズと味わい尽くす。
《作り方》(2人分)
【1】新玉ねぎ(中)1と1/2個は薄切りに、にんにく1片はみじん切りにする。バゲット6枚は、こんがり色づくまでトースターで焼く。
【2】フライパンに有塩バター20g、にんにくを入れて中火にかけ、温まったら新玉ねぎを加える。鍋底にこげがついたら大さじ1ほどの水を加えてなじませ、あめ色になるまで10~13分ほど炒める。
【3】【2】に水1カップを加えて強火にする。とろみがついたら、水11/2カップ、コンソメ(顆粒)小さじ1、塩少量を加えて中火で煮る。
【4】耐熱容器に【3】を注ぎ、バゲット、ピザ用チーズ20gをのせて、チーズに焼き色がつくまでトースターで3~5分ほど加熱する。
《Point》

時間がかかるのが難点のあめ色玉ねぎも、水分量が多く火が通りやすい新玉ねぎなら10分ほどで完成。
「肉巻きオニオン」のレシピ
肉に包まれた新玉がしっとり。さっぱりソースでご飯がススム!

《作り方》(2人分)
【1】新玉ねぎ(大)1個は1cm幅の輪切りにし、外側の2~3枚を残して中身をくり抜く。くり抜いた中身はみじん切りにする。
【2】豚バラ薄切り肉300gを広げて塩・こしょう各少量、片栗粉適量をまぶす。
【3】【1】に片栗粉をまぶした面が外側になるようにして【2】を巻く。
【4】フライパンにサラダ油大さじ1/2を熱し、【3】を焼き色がつくまで焼き、裏面も同様に焼く。豚肉に火が通ったら取り出して器に盛る。
【5】【4】のフライパンの油を拭き取り【1】のみじん切りにした新玉ねぎ1/2カップ、ポン酢1/4カップを入れてひと煮立ちさせ、【4】にかける。パセリ適量を添える。
「新玉ねぎのファルシ」のレシピ
ホロホロ新玉とジュワッと肉だね。旨みたっぷりのスープを一皿で

《作り方》(2人分)
【1】新玉ねぎ(中)2個は上部を2cmほど切り落とす。下部は安定するように1cmほど切り落とし、中身をくり抜く。
【2】切った部分とくり抜いた部分の半量ほどを粗みじん切りする。
【3】ボウルに粗みじん切りにした新玉ねぎ、合いびき肉70g、パン粉・牛乳各大さじ2、塩・こしょう各小さじ1/2を入れて練り混ぜ、【1】に詰める。
【4】鍋に【3】を並べ、玉ねぎの2/3ほどが浸かる位の水、コンソメ(顆粒)小さじ1、ローリエ1枚を入れて中火にかける。煮立ったら弱火にしてふたをし、20分ほど煮る。
【5】玉ねぎが柔らかくなり、ひき肉に火が通ったら塩・ブラックペッパー各適量で味を調えて器に盛り、あればローズマリー適量を添える。
《Point》

肉だねを詰めるために玉ねぎの中身をくり抜く。スプーンで簡単にくり抜けるのは、柔らかい新玉ねぎならでは。くり抜いた中身は肉だねに加える。

くり抜いた新玉は食感をいかすため、粗みじん切りにしてそのまま肉だねに加える。
「甘みを引き立たせたいときは、炒めるなど加熱して加えて」
◆教えてくれたのは:東中青果 うずしおファーム 3代目・東中秀幸さん

適度な浜風とミネラル豊富な土壌で育った甘みの強い玉ねぎは、高級品としてたびたびメディアでも紹介されている。東中青果の公式HP(https://higashinaka
seika.co.jp/)から購入可能。
撮影/鈴木江実子 料理協力・スタイリング/ダンノマリコ
※女性セブン2025年3月27日・4月3日号