ライフ

元気なシニアが語る「年をとってから、やめてよかったこと」ダイエット、減塩、ジム通い、病院通い、サプリメント…“過度な節制”や“ストイックな努力”は必要ない

「病院好き」「薬頼み」が長寿を遠ざける

年をとれば、体のあちこちに不調が出てくる。だからといって「病院好き」「薬頼み」は“卒業”しよう。東海林さんも、いい年だから、どこかに不調が出るのは当たり前だと言う。

「本当に具合が悪いときに病院に行くのはいいですが、わざわざ悪いところを見つけに健康診断に行こうとは思いません」(東海林さん)

「やめる」「手放す」ことで気がラクになったと話す東海林のり子さん
写真8枚

実際に、今回話してくれた健康シニアは「病院にはほとんど行かない」と口を揃えた。病気になったとしても、症状が快方に向かったら、頼るのをやめる。

「症状の改善がみられたらひと区切り。それ以上の通院はしません。のまなければならない薬も手間も減り、体力的にも時間的にも、金銭的にもラクになりました」(小笠原さん)

あちこちの医療機関にかかる「ドクターショッピング」は、いたずらに薬の量や種類を増やすだけ。

重複投薬や、薬剤間の相互作用による副作用のリスクが上がる。薬ののみすぎやサプリメントの多用はかえって体調不良を招きかねない。

長野県のEさん(71才)が話す。

「コロナ禍が始まった頃から、免疫力を上げるという触れ込みのビタミンDとEのサプリを毎日欠かさずのんでいたのをやめました。手足のむくみと貧血がひどくなって病院に行ったら、“腎機能が著しく低下している”と言われて、即入院……サプリをのむのをやめたら、不調はぱったりなくなりました」

長澤さんが言う。

「薬やサプリメントは基本的に、腎臓か肝臓で代謝されるもの。両者の機能が落ちる40代以降は、若い人と同じ量の薬をのむと代謝に時間がかかり、副作用のリスクが上がるのです。

イブプロフェンが配合されている市販のかぜ薬などは、指定の量より少なくてもいい場合もあります。花粉症などに処方される『第一世代』の抗ヒスタミン薬などはのみ続けていると、高齢になってから記憶力が低下したり、認知症が進行するケースもあります」

高血糖や脂質異常症の治療薬、抗コレステロール薬は、いずれも長期的なリスクを改善するもの。人生の残り時間が短くなってきてからは、上手に向き合う必要がある。

「高血糖や脂質異常症の症状は、長い時間をかけて現れる。服薬や食事制限によるストレスの方が大きければ、場合によってはのみ続ける方がつらいことも。医師に相談のうえ、減薬や断薬を考えてもいいかもしれません」(長澤さん)

シニアは「のみすぎ注意」な薬
写真8枚

(後編に続く)

※女性セブン2025年3月27日・4月3日号

関連キーワード