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元気なシニアが語る「年をとってから、やめてよかったこと」ダイエット、減塩、ジム通い、病院通い、サプリメント…“過度な節制”や“ストイックな努力”は必要ない

医師がすすめる運動よりも「散歩」「ぬる湯」

加齢で筋肉量が減るシニアには適度な運動が必須だが、昔のようなストイックな努力は必要ない。月5万円の年金だけで暮らす日々を綴ったブログが注目を集めている紫苑さん(73才)が振り返る。

「以前は健康のためにジム通いをしていましたが、周囲の目が気になって、つい頑張りすぎて体を痛めてしまうことがあったんです。

準備や移動に時間と手間がかかるのも気になって、思い切ってやめたら身も心もラクになりました。いまは散歩や自治体のプールに行くくらい。マイペースに体を動かしているおかげで、薬いらずの体です」

「やめる」「手放す」ことで気がラクになったと話す紫苑さん
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和田さんも続ける。

「運動が好きでないなら“健康のため”とがまんして運動したところで、体にいいはずがない。私自身、気が向けば散歩はしていますが、わざわざ運動はしていません」

散歩をするときも、目安とされる「1日1万歩」をめざす努力はもうしなくていいかもしれない。

「1万歩はあくまでも、健康な成人の場合。高齢者やフレイル予防を目的とした場合は、女性は1日5900歩、男性は6700歩程度を目標にすべきだといわれています」(望月さん)

埼玉県の主婦・Cさん(62才)が言う。

「冷え症を改善したくて週に一度は1時間近く半身浴をしていたのですが、あるときのぼせて倒れてしまったのをきっかけに、軽く汗ばむ程度で上がるようにしました。

不思議とかぜをひきにくくなったし、熱いお湯に入っていたときより、冷え症もよくなりました」

東京都市大学人間科学部教授で医師の早坂信哉さんによれば、毎日湯船につかるのは健康にいいが、長時間つかりすぎるとかえって体に負担をかけるという。

38~40℃がもっともリラックスできる(写真/イメージマート)
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「熱中症や肌の乾燥を招くので、湯船につかるのは長くても10~15分程度にとどめましょう。温度はもっともリラックスできる38~40℃がベスト。41℃以上のお湯につかると交感神経が活発になって寝つきが悪くなりやすく、42℃以上のお湯は血圧が上がりすぎてヒートショックを招きます。

年齢が上がると皮膚の温度感覚が鈍って“自分が気持ちいいと感じる温度”では熱すぎることがあるので、温度はしっかり測ってから入浴を」(早坂さん)

若い頃から温泉好きで、自宅でも毎日のように入浴剤を入れたお風呂を楽しんでいたDさん(68才)は、60才を過ぎたあたりから「毎日のお風呂」をやめた。

「お風呂って意外と体力を使うし、洗い場で体を冷やして体調を崩すことが多くなったんです。冬はしっかり温まったら、体を洗うのは3日に1回くらいにしています。全身が乾燥してかゆくなっていたのが、いまでは何も塗らなくてもしっとりして調子がいいです」

早坂さんは、体を洗うのは毎日でなくてもいいと太鼓判を押す。

「30代を過ぎると皮脂が減って肌が乾燥しやすくなるので、毎日石けんやボディーソープで体を洗う必要はありません。湯船につかるだけである程度の汚れは落ちるので、においが気になるところ以外は2、3日に一度で充分。ナイロンタオルなどは使わず、手でなでるように洗ってください。入浴のしすぎは湯疲れして体に負担がかかるので、温泉やスーパー銭湯でも、入浴は1日2、3回までにとどめて」(早坂さん)

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