
生活用品メーカー・ライオンが実施した調査(2024年3月にライオンが実施した「冬物のしまい洗い」に関する調査より)によると、「今年の冬物のしまい洗いは家でしたい」と答えた人が91%にのぼったという。あらゆるものが値上がりする中、クリーニング代を節約したいと思うのは当然だ。しかも最近は、これまでクリーニングに出していた衣類の約9割が自宅で洗えるようになっているという。生地を傷めず、新品に近い仕上がりを叶える技を洗濯のプロに聞きました。
コツさえ知れば冬物洗いは家で楽にできる!

「最近は衣類も洗剤も進化しているため、これまでクリーニングに出していた9割ほどの衣類が自宅で洗えます」と言うのは、おうちクリーニング研究家のハナさん。
「洗濯機で水洗いできるニットやダウンジャケットが多く登場しています。洗いながら繊維のほつれなどのダメージを防いだり、伸びやヨレの修復効果が得られる洗剤も登場しています。
洗濯機の『おしゃれ着洗い』や『手洗い』、『ドライ』など、弱水流コースを選べば生地を傷めずに洗えます。弱水流コースは通常コースよりも洗浄力が落ちるので、しっかり洗剤や汚れを落とすためにも、すすぎは2回行いましょう」(ハナさん・以下同)
最近では、SNS上でも「おうちクリーニング」のやり方が話題になっているが、すべてが正しいとは限らない。
「たとえば、“ダウンジャケットを乾燥機にかけるとふんわり仕上がる”というふれこみがありますが、洗濯物を回転させながら熱と風によって乾かす『タンブル乾燥』を長時間続けると、摩擦や熱で生地が傷んでしまいます。穴が開く場合もある。ふっくらと仕上げたいなら、陰干しして8割程度乾いたところで5~10分、低温設定で乾燥機にかけるといいでしょう」
洗うタイミングは、晴天続きの週がベストだという。
「ニットもダウンも直射日光を避け、陰干しが基本です。特にダウンは完全に乾くまで数日かかるので、晴れの日が何日も続く週に洗うといいですね」
コツをつかめば衣類はきれいになり、節約も可能。正しい準備法を見ていこう。

大事なニット&ダウンを洗う前に知っておきたいこと
【1】洗濯表示をチェックする
「洗う前に、必ず衣類の洗濯表示をチェックしましょう」と言うのは、ライオンお洗濯マイスターの大貫和泉さん。
「『洗い桶の絵』があれば、自宅洗いが可能です。バツがついていたら、自宅では洗えません」(大貫さん・以下同)

【2】おしゃれ着用洗剤を選ぶ
ニットやダウンを洗う場合は、刺激の少ない洗剤を選ぶこと。
「どちらもデリケートな素材なので、衣類をやさしく洗い、風合いを保てるおしゃれ着用洗剤で洗いましょう。毛布やマフラー、ニット、スカート、スラックスなども、これらの洗剤で洗えるので、1本持っておくといいでしょう」(ハナさん)
ハナさんおすすめの洗剤
・「ラボン オシャレ着洗剤 シャイニームーンの香り」(657円/ネイチャーラボ)
100%植物由来の成分で、洗うたびに繊維を守る。

・「アクロン フローラルブーケの香り」(351円/ライオン)
独自の修復洗浄で伸びやヨレを戻し、毛玉を防ぐ。

・「ハイ・ベック ゼロドライ」(6380円/サンワード)
スーツや学生服、コートなどのドライマーク衣類も洗濯可能。

・「エマール アロマティックブーケの香り」(400円/花王)※4月19日にリニューアル
ダメージリペア技術で洗うたびに伸びやヨレを戻す。

【3】“前処理”をしておく
洗う前に衣類全体をチェックし、汚れのひどい箇所は、汚れが落ちやすいように前処理をしておこう。
「襟元、袖口、裾などは汚れがつきやすい箇所です。特に女性の場合は襟元にファンデーションがつきやすいため、白地や色の薄い衣服は汚れが目立ちます。汚れている箇所には、おしゃれ着用洗剤の原液などを直接つけてから洗うといいですね」(大貫さん)
・スポンジで軽く叩く

「ダウンの場合、汚れのひどい箇所があれば、おしゃれ着用洗剤の原液をつけ、その上から台所用スポンジの柔らかい面で軽く数回叩くと汚れが落ちやすいですよ」
・目立つ汚れは、洗剤を直接塗布

「襟元、袖口、裾などに目立つ汚れがある場合は、直接おしゃれ着用洗剤の原液を少量つけ、キャップの底でトントンと軽く数回叩いてなじませてから洗濯を」
【4】便利グッズを活用する
「型崩れを防ぐためには洗濯ネットに入れましょう。ネット内に余裕があると摩擦で型崩れしやすくなるので、衣類の大きさに合ったサイズのネットを選ぶこと。また、セーター用の平干しネットもあると便利です」(ハナさん)




◆教えてくれたのは:おうちクリーニング研究家・ハナさん
自宅でのクリーニング歴は20年以上。ブログ「ハナの洗濯ラボノート」では失敗しないための自宅クリーニングのノウハウを公開している。
◆教えてくれたのは:ライオンお洗濯マイスター・大貫和泉さん
消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士でもある。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わる。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年4月17日号