何度も“雑談”すれば後悔なく見送れる
家族会議では、具体的な治療やお金の問題以上に、本人の「大切にしているもの」「人生観」について、家族全員で共有することが大切だ。廣橋さんは「結論を出そうと急ぐのではなく、“有意義な雑談”をしてほしい」と語る。
「自然な会話の中で、“どう生きたいか”“死ぬまでに何がしたいか”の話になれば、それが幸せな最期につながる家族会議になる。“死ぬまでにもう一度この人に会いたい”“ここに旅行に行きたい”“もっと家族の時間を増やしたい”など、いろいろな希望を聞くことで、その人が人生で大切にしているものが見えてくる。それこそが、最期まで前向きに、元気に生きる気力の源にもなる。そうしたいちばん大切な話は、医師やケアマネジャーにはできません。だから『家族会議』が必要なのです」(廣橋さん)
家族会議は一度で終わらせるのではなく、何度も繰り返すことも大切だ。
「人の気持ちは亡くなる直前まで変わるもの。状況や体調が変われば、希望も変わります。お盆や正月の帰省時など、家族が顔を合わせるときの恒例行事にして、何度も話し合うのがいちばんです」(神戸さん)
親戚や知人、著名人が病気になったり亡くなったりした話題や、雑誌やテレビの特集をきっかけにするのもいいだろう。
遅かれ早かれ、人は必ず亡くなるもの。いつか来る日のために、できることから準備を進めておこう。

写真6枚
※女性セブン2025年4月24日号