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新しい旅の楽しみ方「おてつ旅」“お手伝い=仕事”を通して地域とかかわり旅を楽しむ!体験者が語る「おもてなし」を受ける旅との違い

稲刈り後に行う穂掛け作業(写真提供:SAGOJO)
“お手伝い=仕事”を通して地域とかかわり旅を楽しむ新しい旅の楽しみ方「おてつ旅」。稲刈りや穂掛け作業も体験できる(写真提供:SAGOJO)
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物価高騰やインバウンドの影響で各地のホテルや旅館の宿泊費が爆上がり。「これでは旅行は無理!」と嘆く方におすすめなのが、「旅先で稼ぐ」という「おてつ旅」だ。農業、漁業からホテルの接客・調理補助、祭りの手伝いなどをし、旅を楽しみながら、ちゃっかりお小遣いも稼げちゃうという、新しい旅の楽しみ方。また「おもてなし」を受ける旅とは違い、「おてつ旅」は地域と積極的にかかわりひと味違う旅ができるという。体験者の話を聞いてみた。

特別なスキルがなくても、老若男女問わず参加できる仕事が多数

「稼ぎながら『面白い体験をしたい』『地域のコミュニティーにかかわりたい』などのニーズに応える仕事が増えている」とSAGOJO代表の新拓也さんは言う。

「たとえばお祭りで神輿を担ぐ募集では、金銭ではなく、特別な体験という報酬を受け取れます。地元の人だけの締めの飲み会にも参加でき、とても喜ばれました」(新さん・以下同)

祭りの手伝いは1〜2泊の短期が多く、募集開始後すぐ枠が埋まる(写真提供:SAGOJO)
祭りの手伝いは1〜2泊の短期が多く、募集開始後すぐ枠が埋まる(写真提供:SAGOJO)
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また、全国に15か所ある宿泊費無料の施設『TENJIKU』を拠点に、地域が抱える課題について“ミッション”として取り組む旅もある。

「ミッションには農作業や古民家のリノベーション、イベント運営のお手伝いに加え、共用花壇の植え替え、冬のイルミネーションの飾り付けなどがあり、作業時間は1日に2~4時間ほど。仕事というよりお手伝いに近いので、体力に自信のないかたでも参加できます。リピート率も高く、ミッションや土地が気に入って移住した人もいるほどです」

特別なスキルがなくても、老若男女問わず参加できる仕事が多数あるのも魅力だ。

2022年7月からさまざまな「おてつたび」に参加しているという神奈川県在住の金子はなさん65才)が語る。

「定年退職後に見たテレビ番組で『おてつたび』を知りました。私は元教員で、学校という世界の中で40年近く生きてきて、定年後は違う環境でいろんな職業を体験したい、たくさんの人と出会いたいと思っていたので、すぐに申し込みました」(金子さん・以下同)

最初に山梨県内のバーベキューハウスで夕食営業の準備や料理の補充、清掃などの仕事をしたのを皮切りに、調理補助を中心に4か所5回経験。2023年と2024年の8月には、北海道・紋別のホテルで調理場の調理補助に参加した。

「北海道が好きなので旅先候補に入れていましたが、短期募集では旅費に見合うものが見つからない中、空港からも近く、1か月の長期だったので応募しました。

私と同年代の従業員さんが多くて意気投合。お酒を飲みに行ったり、観光案内をしてもらったりと、とても楽しく交流ができました。2年目はフェリーを使って自分の車で現地入り。知床や礼文島まで足を延ばし、休日を満喫しました」

その仲間と休日に紋別のシンボル「カニの爪」オブジェ観光時のもの(写真提供:金子はなさん)
その仲間と休日に紋別のシンボル「カニの爪」オブジェ観光時のもの(写真提供:金子はなさん)
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シニア女性が応募する際のコツ

シニア女性が応募する際のコツを、金子さんがアドバイスする。

「募集要項に『年齢不問』と書かれていれば、シニアを受け入れてくれる可能性が高い。募集ページにある体験者の年齢層をチェックし、同年代の人がいれば採用確率も上がります。

応募の際は、『運動をしているので体力に自信があり』『立ち仕事が得意』『臨機応変に対応可能』などと記入し、シニアでも元気に働けることをアピールするのも大切です。以前、友人と一緒に申し込んだときに、備考欄に『〇〇さんと一緒に申し込みました』と記入して送ったところ、2人とも採用されました」

旅費と報酬のバランスに加え、1人部屋かどうかは重要ポイントだ。

「ゆっくり眠れないと翌日の仕事に差し支えるので、相部屋の仕事は対象外にしています」

毎年7~8月に長めの「おてつたび」に行くが、家族も協力的だという。

「1か月くらい家族と離れているのがちょうどいいんです。釣り好きの夫も、漁業を体験したいと応募を考えているようです」

短期間だからこそ興味のある仕事に気軽に挑戦できる。新しい自分を見つけるいい機会にもなるだろう。

※女性セブン2025年5月29日号

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