市販薬は便利だが短期間の使用にとどめる
ロキソプロフェンなど「NSAIDs(エヌセイズ)の解熱鎮痛薬」が「のまない薬」の2位にランクインした一方で、「のむ薬」としてNSAIDsではない「アセトアミノフェンを主成分とする解熱鎮痛薬」と答えた医師は12人と多かった。
函館稜北病院総合診療科の舛森悠さんは、アセトアミノフェンは比較的安全性が高い薬だと話す。
「副作用も穏やかで、基本的に子供や高齢者も服用できる。総合感冒薬のように複数の成分が入っていないので、発熱や痛みがあるときに適しています」

「整腸剤」をのむという回答は3件あった。薬剤師の三上彰貴子さんもそのひとり。
「腸活のひとつとして、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などが配合された整腸剤をのんでいます。ヨーグルトや納豆もいいのですが、忙しくて時間がないときに便利です」
漢方薬をのむという声も目立った。消化器外科医の石黒成治さんが言う。
「かぜをひいたときは、葛根湯や麻黄湯(まおうとう)など漢方薬をのみます。症状を抑え込むだけでなく、体が本来持つ自然治癒力を高めることで回復を早めてくれます」
ただし漢方薬だからといって安全とは限らない。
「副作用があるので漫然と服用するのは避けてください。芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などは肝臓に負担がかかりやすく、血液中のカリウム濃度が低下することもある。ひどい場合は手足がしびれ、動かなくなります」(中山さん)
注意が必要とはいえ、必要なときに手に入りやすい市販薬だからこそ、賢く利用したいもの。長澤さんは症状に応じてシンプルな成分の薬を選んでほしいとアドバイスする。
「熱が出ているなら解熱鎮痛成分のみの薬を選ぶなど、余分な成分が入っていないものを選ぶのが基本です。複数の症状が出ているときは、いちばんつらい症状に的を絞るといいでしょう。
不安があれば薬剤師に相談してください。“喉がイガイガして咳が出る”“熱は37.5℃で関節が痛む”など、具体的に症状を伝えるのがポイントです。服用中の薬やサプリ、アレルギー、妊娠・授乳の有無は重要な情報なので、正確に答えましょう」
ナビタスクリニック川崎院長で内科医の谷本哲也さんは、薬の成分表示を必ず確認してほしいと話す。
「複数の薬を併用していると有効成分が重複するリスクがありますし、アレルギー体質の人は保存料などの添加物に反応することがある。使用期限が切れていることがあるので、常備薬は定期的な確認も忘れずに行ってください。市販薬は便利ですが短期間の使用にとどめ、症状が長引くなら病院を受診してください」
専門家たちの意見を参考に、薬を“心強い味方”につけよう。


※女性セブン2025年8月21・28日号