健康・医療

《深爪、巻き爪、合わない靴は注意》いつまでも歩くための「足の爪」整え術 “爪の異変”がわかるチェックリストも

【整え術1】爪の正しい切り方・整え方

足の爪を整えることは、見た目の美しさはもちろん、「トラブル防止にもつながる」と桜井さんは言う。

「正しい切り方ができていれば、爪が足指の皮膚の間に埋もれることなく、巻き爪や陥入爪を予防できます。

理想の形はまっすぐに切って、角を少し丸めた『スクエアオフ』です。両端を大きく斜めに切ると角がトゲのようになり、皮膚に突き刺さりやすくなります」

足の爪を切るときの姿勢は、片ひざを立て胸に引き寄せ、爪を上から見るようにすると切りやすい。

「切る爪の長さは、指先にそろえるか、少し長めに。入浴後、爪がやわらかくなったときに行ってください」(桜井さん)

また、爪と皮膚の境(爪溝)をしっかり洗い、爪と皮膚が離れている状態にしてから、足指の皮膚を指で押さえ、爪だけに爪切りの刃が当たるように切るのがおすすめだ。

真横にまっすぐ、角は丸く

スクエアオフ

指先にそろえるか、やや長めに切り、両端の角は少し丸く整える。

避けたい爪の形

【1】バイアスカット

バイアスカット
バイアスカット(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【2】深爪

深爪
深爪(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【1】は両端の角を大きく斜めに切るため、爪が内向きに巻きやすくなる。【2】は指の先端も角も切りすぎているため、爪が皮膚に埋もれてしまう。どちらも巻き爪、陥入爪の原因に。

爪切りは直刃を選ぶ

【1】刃先がカーブしていると爪が丸く切れるので深爪になりやすい。

刃先がカーブしていると爪が丸く切れるので深爪になりやすい
刃先がカーブしていると爪が丸く切れるので深爪になりやすい(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【2】刃先がまっすぐの直刃のものを選ぼう。ニッパー型も直刃仕上げが〇。

刃先がまっすぐの直刃のものを選ぼう
刃先がまっすぐの直刃のものを選ぼう(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

硬い爪は斜めに切り込みを!

厚く硬くなった爪は、まず爪の先端部分に細かく斜めに切り込みを入れて少しずつ切るといい。その後、凸凹しているところを爪やすりで一方向に削って整えて。

硬い爪は斜めに切り込みを
硬い爪は斜めに切り込みを(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

爪やすりは一方向にかける

爪のアーチ形に沿って、左右から中央に向け、表面の毛羽のみをとるように爪やすりを一方向にやさしく動かす。次に、上から下にササッとなでて仕上げる。

爪やすりは一方向にかける
爪やすりは一方向にかける(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚
爪のアーチ形に沿って、左右から中央に向け、表面の毛羽のみをとるように爪やすりを一方向にやさしく動かす
爪のアーチ形に沿って、左右から中央に向け、表面の毛羽のみをとるように爪やすりを一方向にやさしく動かす(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚
上から下にササッとなでて仕上げる
上から下にササッとなでて仕上げる(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【整え術2】足指の股も爪の溝も清潔に

毎日お風呂に入っていても、足先まできれいに洗えている人は実は少ない。

「フットケアの基本はとにかく足を清潔にすること。歯をきちんと磨くために歯間ブラシやフロスを使いますよね。足の場合もスポンジでササッとなでるだけでは不充分。指の間、股の部分、爪のまわりを意識して洗いましょう。

爪の横の溝の部分には汚れがたまりやすく、巻き爪があると溝が深くなっているので注意して洗うこと。

爪のまわりに汚れや角質がたまると爪や皮膚を圧迫したり、炎症を引き起こす可能性も」(高山さん)

また、石けんを直接足にこすりつけると皮膚トラブルの原因になる。しっかり泡立ててから洗うこと。毎日入浴するのが難しい場合は、足浴がおすすめだ。

【1】指の間や股に手指を差し込み念入りに洗おう。

指の間や股に手指を差し込み念入りに洗おう
指の間や股に手指を差し込み念入りに洗おう(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【2】毛先が細くやわらかいブラシ(毛先がやわらかい歯ブラシも可)でやさしく洗って。

毛先が細くやわらかいブラシ(毛先がやわらかい歯ブラシも可)でやさしく洗って
毛先が細くやわらかいブラシ(毛先がやわらかい歯ブラシも可)でやさしく洗って(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【3】爪まわりの皮膚や指の股に水分を残さないよう拭きとる。

爪まわりの皮膚や指の股に水分を残さないよう拭きとる
爪まわりの皮膚や指の股に水分を残さないよう拭きとる(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【整え術3】爪まで保湿で爪育する

足を洗い、皮膚が潤っているうちにかかとや足の指、足裏全体に保湿クリームを塗る。その際、指と爪を1本ずつマッサージすると血液循環がよくなり、爪の色がよくなる。

「保湿クリームで足の指と爪をまんべんなくマッサージするだけで血行促進効果があります。積極的にいい爪を育てたいなら、爪用の美容液をつけて保湿した後、爪用のオイルをつけて『膜を張る』といいですよ。最後に、爪の根元と第一関節の間にある爪母という爪の製造工場を押圧すると、元気な爪が生えてくるようになります」(桜井さん)

1本ずつ、爪先まで円を描くようにマッサージする(外用抗菌剤を使っている場合は、薬がしっかり乾いた後に行う)。

1本ずつ、爪先まで円を描くようにマッサージする
1本ずつ、爪先まで円を描くようにマッサージする(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

美容液やオイルは、皮膚にも塗り込む。

美容液やオイルは、皮膚にも塗り込む
美容液やオイルは、皮膚にも塗り込む(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【整え術4】“大きめ”の靴が爪を圧迫する

合わない靴が足のトラブルの大きな原因になるのはよく知られているが、脱ぎ履きを優先したゆったりすぎる靴も、足と爪のトラブルになる。

「ゆるい靴の中で足が前に動くと爪が圧迫され巻き爪の原因に。面倒でも脱ぐときはひもをほどき、履くときに結び直しましょう」(高山さん)

爪にやさしい靴選びのポイント3

爪にやさしい靴選びのポイント
爪にやさしい靴選びのポイント(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【1】靴ひもやベルトで足の甲に固定でき、【2】先端に0.5~1cmのゆとりがあり、【3】かかとの形が足に合っていること。

ひもをほどいた靴に足を入れ、床でかかとを「トントン」と叩き、かかとの後ろに足を合わせる。

ひもをほどいた靴に足を入れ、床でかかとを「トントン」と叩き、かかとの後ろに足を合わせる
ひもをほどいた靴に足を入れ、床でかかとを「トントン」と叩き、かかとの後ろに足を合わせる(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

爪先側から順にひもを締めて固定する。靴を履き続ける場合、外出先でひもを一度は締め直そう。

爪先側から順にひもを締めて固定する。靴を履き続ける場合、外出先でひもを一度は締め直そう
爪先側から順にひもを締めて固定する。靴を履き続ける場合、外出先でひもを一度は締め直そう(イラスト/鈴木みゆき)
写真21枚

【整え術5】靴下選びで足爪が変わる!?

「爪の乾燥を防ぐのにおすすめは5本指の靴下です。足指が蒸れにくく、保湿性があり、足指が自由に動くので指で地面を踏みしめることができます。5本指ソックスの効果を発揮させるには、指先を余らせず、指の股までしっかり入れること。

また足指はもちろん、足裏のアーチを整える機能を持つソックスもいいですね。70代のお客さんに履き続けてもらったところ、着用から2週間後には爪のカーブが改善。爪水虫の症状がなくなり、1年8か月後には爪が薄く平らになりました。爪育効果も期待できます」(桜井さん)

◆埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長・高山かおるさん

足の問題を根本から解決するための装具外来、メディカルフットケアを併設するフットケア外来を開設。「100歳まで自分の足で歩ける社会づくり」を目指す足育研究会代表。

◆フットケアスペシャリスト・桜井祐子さん

足のトラブル専門サロン「PEDI CARE」代表。足のトラブルに対応し、足の形状や生活習慣を考慮した根本的な分析とケアを行っている。足の専門校「SCHOOL OF PEDI」校長。

取材・文/山下和恵

※女性セブン2025年9月4日号

関連キーワード