
年齢を重ねたら魚は欠かさず摂りたい食材のひとつ。青魚にはDHAやEPAがたっぷり。良質なたんぱく質も摂れる。豊富な栄養がパワーアップするレシピを手軽な切り身で紹介する。管理栄養士・料理家の金丸絵里加さんが教えてくれたフライパンひとつのレシピなら手軽でうれしい。「毎日魚料理」で、健康寿命を延ばそう!
【フライパンひとつで】和からエスニックまで毎日飽きない!
酢や高菜漬けなどの発酵食品、スパイシーなカレー粉などと組み合わせれば、魚が新しい味わいに。特有のくせも抑えられる。
おいしく食べるための下処理
《青魚は塩と酒のダブル処理でくさみを解消!》
くさみが強い青魚は、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取り、両面に軽く塩を振り5〜10分おく。魚から出た水分と塩をキッチンペーパーで拭き取り、酒適量を全体に振りかけてから拭く。

くさみの少ないめかじきや白身魚は、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取り、酒適量を全体に振りかけて拭く。

「さばとごぼうの高菜煮」のレシピ
高菜漬けが青魚のくせをやわらげ旨みたっぷりの煮物に。
《作り方》(2人分)
【1】さばは下処理をして皮に切り目を入れる。ごぼう1/3本は縦半分に切ってから斜め薄切りにする。玉ねぎ1/4個は横に8mm幅に切る。しょうが1/2片はみじん切りにする。豆苗1/2袋は長さを半分に切る。高菜漬け80gは細かく刻む。
【2】フライパンにごま油大さじ1/2を中火で熱し、さばを入れる。焼けてきたら端に寄せ、ごぼうと玉ねぎ、しょうが、水2/3カップを加える。ふたをして煮立ったら弱めの中火で5分ほど煮る。
【3】高菜漬けと甘酒1/2カップ、ナンプラー小さじ2を加えて大きく混ぜてふたをする。ときどき混ぜながら5分ほど煮て、豆苗を加えてひと煮する。
《栄養ポイント》
さばはDHA/EPAの宝庫! 筋肉を作るのに欠かせないビタミンB6や、神経や脳の機能を正常に保ち、貧血予防に役立つB12も豊富。
「さわらとアスパラの黒酢炒め」のレシピ
黒酢のまろやかな酸味がご飯に合う。なめこのとろみであんかけ風に。

《作り方》(2人分)
【1】下処理したさわら2切れは食べやすい大きさに切り、塩・こしょう各少量を振ってから片栗粉適量を全体にまぶす。
【2】れんこん80gは皮をむいて5mm幅の半月切りにする。アスパラガス4〜5本は下半分をピーラーでむいて3cm長さに切る。【3】黒酢大さじ1と1/2、砂糖・酒・しょうゆ各大さじ1、みりん・オイスターソース各小さじ1を混ぜておく。
【4】フライパンにごま油大さじ1/2を中火で熱し、さわらを入れて両面を焼いたら一度取り出す。【5】同じフライパンにれんこんを入れ、水大さじ3を回し入れてふたをし、中火で3分ほど煮る。【6】ふたを取り、火を少し強め、【3】となめこ1袋を加え、煮立ったら【4】とアスパラガスを加える。全体にとろみがついてきたら上下に大きく混ぜるようにして軽く煮詰める。
《栄養ポイント》
秋から冬の脂がのったさわらは、DHA/EPAの含有量がアップ。たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6、エネルギー代謝を助けるナイアシンも多い。
「ぶりの梅照り焼き」のレシピ
定番の照り焼きをさっぱりした梅風味で。

《作り方》(2人分)
【1】梅干し2個は種を除いて包丁でたたき、酒・みりん・水各大さじ1と混ぜる。
【2】ピーマン3個はへたと種を取り縦4等分に切る。みょうが2個は縦4等分に切る。
【3】ぶり2切れは下処理し、大きければ半分のそぎ切りにする。
【4】フライパンにごま油大さじ1/2を熱し、ぶりを入れて焼き目がついたら上下を返す。端に寄せ、出てきた脂をキッチンペーパーで軽く拭き取る。
【5】空いたところに【2】を入れて炒めたら、【1】を加える。フライパンをゆすりながら照りが出るまで炒める。
《栄養ポイント》
ぶりはDHA/EPAに加え、たんぱく質の代謝を促し、免疫機能を整えるビタミンB群が豊富。血合いには貧血を改善する鉄やビタミンAが多い。
「鮭とモロヘイヤの卵とじ丼」のレシピ
鮭とモロヘイヤのダブル効果で体の中からアンチエイジング。

《作り方》(2人分)
【1】鮭2切れは下処理をして皮と骨を取り除き、ひと口大のそぎ切りにし、片栗粉適量をまぶす。
【2】モロヘイヤ1/2袋は葉をつみ、さっとゆでてざるにあげる。粗熱が取れたら水気を絞り食べやすい大きさに切る。玉ねぎ1/2個は横に1cm幅に切り、しいたけ4枚は薄切りにする。
【3】フライパンにだし汁1カップ、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ1と1/2、しいたけ、玉ねぎを入れて、煮立ったら【1】を入れて中火で5〜6分煮る。モロヘイヤを加えて軽く混ぜ、ひと煮して味をなじませる。
【4】卵2個を溶いて回し入れ、ふんわりと固まってきたら火を止める。
【5】丼にご飯2人分を盛り、【4】をのせる。
《栄養ポイント》
鮭は抗酸化作用の高いアスタキサンチンを豊富に含み、美肌効果も。眼精疲労を軽減するほか、認知機能を改善するという研究結果もある。
「たらのタンドリーソテー」のレシピ
カレー粉で認知症予防効果をパワーアップ。

《作り方》(2人分)
【1】ポリ袋にプレーンヨーグルト大さじ2、ケチャップ・塩麹各小さじ2、カレー粉・にんにくすりおろし各小さじ1を入れてよく混ぜる。
【2】たら2切れは下処理し、骨があれば取り除いて半分に切る。【1】に入れて袋を閉じ、1時間以上漬ける。
【3】ズッキーニ1/2本とエリンギ2本は縦6等分に切ってから長さを半分に切る。赤パプリカ1/2個は横半分に切ってから細切りにする。
【4】フライパンにオリーブオイル大さじ1/2を中火で熱し、【3】を入れて軽く炒めたら、一度火を止めて野菜を広げる。その上に【2】をたれごとのせる。ふたをして中火で5分ほど蒸し焼きにする。ふたを取り、大きく混ぜながら炒め、軽く汁気を飛ばす。
《栄養ポイント》
たらは抗酸化成分・グルタチオンが多く、活性酸素によるダメージから細胞を守るほか、肝機能の向上にも◎。
「塩サバの湯煮香味だれ」のレシピ
低温調理で旨みを閉じ込めしっとりとした食感に。

《作り方》(2人分)
【1】ピーマン1個と長ねぎ1/3本はみじん切りにして、しょうゆ・砂糖各小さじ2、酢小さじ4、しょうがすりおろし小さじ1、ラー油適量と混ぜる。
【2】フライパンに塩さばが浸るくらいの湯を沸かし、酒大さじ1を加えて弱火にし、下処理した塩さば(小)2切れを入れて沸騰しない火加減で5~7分煮る。
【3】キッチンペーパーを敷いたバットなどに【2】を取り、余分な水気を拭いて器に盛り、【1】をかける。
《栄養ポイント》
沸騰させずに加熱することで、さばの栄養素も逃がさない。脂質であるDHA/EPAを酸化させずに摂取できるメリットも。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・料理家 金丸絵里加さん

おいしくて健康的なレシピに定評がある。『野菜+たんぱく質楽楽レシピ』(メディカル・ケア・サービス)など著書も多数。
撮影/豊田朋子 スタイリング/中村弘子
※女性セブン2025年9月18日号