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スーパーやコンビニの“総菜”に含まれる添加物のリスク 「店内で調理されたものは比較的安心」とは限らない理由 

総菜に含まれる添加物にはリスクがある(写真/PIXTA)(写真/PIXTA)
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「わざわざ作るのは面倒だし、どうせ少ししか作らないし食べないのだから食材を買うのももったいない」──そんなときに重宝するのが、スーパーやコンビニの“総菜”だ。揚げ物も煮物もサラダもちょうどいい量が食べ切れるし無駄がない。そんな私たちの“味方”を“敵”にしないために正しい知識を身につけたい。【前後編の前編】

 日本惣菜協会が今年5月に発表した調査によると、2024年の国内総菜市場規模は過去最高の11兆2882億円となり、前年比2.8%増となった。高齢化や単身世帯の増加に伴い、総菜を含む中食市場は拡大している。以前に比べ種類も格段に増え、頻繁に利用している人も多いだろう。都内に住むAさん(67才)が話す。

「子供が家を出て、昼間はひとりきりの食事です。自分のためだけに料理をするのは面倒だし、いまは総菜の種類もたくさんあって毎日食べても全然飽きない。健康に悪いかな?とも思いますが、便利さには代えられません」

 夕食でよく総菜を買うというのは、神奈川在住のYさん(57才)。

「夫も子供も揚げ物が好きで、子供がいた頃はたくさん作っていたけれど、工程も多いし、片付けも大変だし、夫のためだけに揚げ物をする気にはとてもなれなくて(笑い)。とんカツやから揚げ、春巻きなど夫の分だけ買えば、そのほかがおひたしや煮物でも夫は満足するし、本当に助かっています」

 ただし、心配している点もあるという。

「お総菜は添加物を使っているとはよく言われますし、健康への影響は気になります。でも食べてすぐ死ぬわけじゃない。手間やコストを考えたら選ばない手はないんです」(Yさん)

食品添加物は使用量が30年で倍

 Yさんのように、多くの人が利便性と天秤にかけるのが総菜の「安全性」だ。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんはある数字を解説する。

「総菜は超加工品といわれ、ほぼすべての商品で添加物を使用しています。総菜・中食の市場規模は2003年に約7兆円だったのが2024年には約11兆円と大幅に拡大した。食品添加物の使用量は1990年代に約60万tだったのが、現在は約138万tと倍増しています。これを牽引しているのが総菜・中食市場といわれているのです」

 具体的にどのような添加物が使用されているのか。

「保存性向上のための保存料、防腐剤、pH調整剤。見た目を整えるための着色料、漂白剤、酸化防止剤。調味料や香料は風味の調整に使用され、増粘剤やゲル化剤、リン酸塩は食感を改善するために使われています。出来たてを食べる家庭の料理と違って、基本的に1~2日は店頭に並べておくことを考えると、これらを使用せずに作ることは難しい」(小倉さん)

手軽で安価な惣菜に手が伸びる人が増えている(写真/PIXTA)
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 食品ジャーナリストの安部司さんは、実際にスーパーで売られている筑前煮を例に挙げ、食品添加物の多用を指摘する。

「原材料を見ると、こんにゃく(国内製造)、大根、にんじん、鶏肉、たけのこ、れんこん、ごぼう、しいたけ、砂糖、しょうゆ、みりん、いんげん、清酒、植物油脂、水飴、とあります。この原材料も産地などは書かれていないし、しょうゆなどの調味料もその原材料が何か、どんな添加物が使われているのかはまったく書かれません。

 そして添加物です。まず増粘剤(加工でんぷん)。これはつや出しのためでしょう。それから保存性を保つためのグリシンや酢酸ナトリウム、およびpH調整剤。カラメル色素はしょうゆの色が薄いから色を出すために足したのでしょう。それから甘味料として甘草。砂糖を使うと大量に必要になるしコストがかかるので、甘味料にしているわけです。ほかにも酸化防止剤などたくさん入っています。

 しかもこのようにきちんと書いてくれれば判断のしようがありますが、総菜や持ち帰り弁当の市場では販売者と製造者が同じであれば表示しなくていいとされています」

添加物にはがんリスク

 これらの添加物にはいくつものリスクが潜んでいる。

「かつてコーラ飲料で問題になったカラメル色素にもいくつか種類があり、中には発がん性が疑われる物質を生成するリスクが指摘されています。その危険性はIARC(国際がん研究機関)も警鐘を鳴らすほど。

 また、砂糖の味に近く、安価で使える人工甘味料の中でもアスパルテームについてWHO(世界保健機関)は発がん性物質と認定しました。アメリカでは発がん性が懸念される赤色3号などの合成着色料の使用が全面的に禁止される流れにありますが、日本では依然として使用が続いています」(安部さん)

 総菜の安全性に注目が集まる中で、「スーパーの店内で調理されていれば比較的安心できる」ともいわれるが、実際はそうとも限らない。前述の通り、販売者と製造者が同じ場合には、一部の記載が免除されるからだ。

「店内製造であれば、添加物表示は必要ですが、原材料表記が不要になります。コスト削減のために、安価な外国産の肉や野菜を使用しても消費者にはわかりません」(小倉さん)

 安部さんが続ける。

「店内製造といっても、すでに外部で作られたものにパセリをかけただけで“店内製造”になります。焼き鳥などは、海外の工場で串打ちして加熱し、冷凍されたものを輸入して、店内で再度加熱してたれや塩味をつけて売り出せば“店内製造”です」

 かつては、ポテトサラダやマカロニサラダ、おひたしやごまあえなどを業務用商品で大量に仕入れて、店内で小分けにリパック(パックに詰め替え)しただけで、店内製造として売り出していたところもあったという。

惣菜選びのチェックポイント
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(後編へ続く)

女性セブン20251030日号

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