社会

《元公安捜査官が解説》国際詐欺電話「最新悪質手口」と「対応策」 詐欺電話はモルディブやナイジェリアからもかかってくる

ニセの警察手帳や逮捕状を見せてくる詐欺師も

 架空料金請求詐欺も代表的な電話を使った詐欺の手口の1つだ。

「実際に存在する企業を名乗り、“動画配信サービスの未納料金があります”“支払いがないと訴訟になります”といった自動音声で不安を煽り、架空の料金を請求する手口です。そもそも、通常企業は電話口で料金未納や裁判などの連絡をしません。企業名を名乗る電話は、ハナから怪しんだ方がいい。

“電子マネーでの支払いが必要”と言われ、コンビニで購入したプリペイドカードの番号を聞き出されて被害に遭うケースがありました。番号を教えてしまった場合、プリペイドカード会社に連絡し依頼すれば、実際にお金を使われる前に利用停止にして、被害を防ぐこともできなくはありません」

企業名を名乗る電話は怪しんだ方がいい(写真/イメージマート)
写真3枚

 ここまでは自動音声による手口だが、電話機の向こうに実際に詐欺師が登場することもある。「ニセ警察詐欺」だ。

「“あなたの口座が犯罪に使われている”“捜査のため一時的に預けてほしい”などと告げ、金銭をだまし取る手口が横行しています。中にはビデオ通話でニセの警察手帳や逮捕状を見せて信じ込ませるなどリアルな演出があることもあります。詐欺被害というと高齢者というイメージがあると思いますが、巧妙化によって若年層の被害も増えています」

20~30代の若い世代でも詐欺には簡単にひっかかる

 たしかに、2025年上半期のニセ警察詐欺の被害者の年齢層を見ると、30代が最も多く973件、次いで20代が884件だった。

「現金やクレジットカード、暗証番号を『確認のために渡す、知らせる』といったような指示は100%詐欺といっていいでしょう。犯人に金銭を渡したり振り込んでしまった場合には、すぐに警察に通報するのはもちろん、銀行に連絡して『振り込め詐欺救済法』に基づく返金申請を行えば、被害回復分配金として一部を取り返せる可能性があります」

 松丸氏がまとめる「被害防止のための基本行動5か条」は以下だ。

・「+」から始まる電話番号には出ない、折り返さない。

・「未納」「裁判」「犯罪捜査」などの言葉が出たら即通話終了。

・「金銭」や「個人情報」の話が出たら必ず第三者(警察や消費者センター)に相談。 

・防犯アプリ(デジポリス)や迷惑電話対策設定を活用。 

・通話中に「これは詐欺かも」と思ったらすぐに切る勇気を。 

 自分の身とお金は、まずは自分で守るしかない。

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