社会

《元公安捜査官が解説》国際詐欺電話「最新悪質手口」と「対応策」 詐欺電話はモルディブやナイジェリアからもかかってくる

 警察庁の統計によると、2025年上半期の特殊詐欺被害額は約597億円に上り、前年同期の約2.6倍となった。特殊詐欺の電話のうち、約8割が国際電話番号からの発信だったという。

国際電話詐欺の事例が増加している(写真/イメージマート)
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「警察署の番号としてよく用いられている末尾『0110』や警視庁の代表番号を表示させてなりすましをする手口も確認されています。電話番号は簡単に偽装できます。海外からの着信ですと、『+』から始まる国際番号が表示されますが、末尾が警察署を連想させる番号だと、騙されてしまうこともある。また『0120』などのフリーダイヤルと勘違いして被害に遭う人も少なくないようです。そういった詐欺被害を未然に防ぐための、防犯アプリの新機能といえるでしょう」

元公安捜査官が実際に確認した悪質手口。モルディブやナイジェリアからの電話も。

 だが、アプリにばかり頼ってはいられない。身を守るためには、詐欺集団がどのような電話を使った手口で近づいてくるのかを知っておく必要があるだろう。ここからは松丸氏が実際に確認した具体的な手口と対策を紹介する。

「代表的なものの1つが、『国際ワン切り詐欺』でしょう。着信が一度だけ鳴る「ワン切り」を行い、被害者が折り返すと高額な通話料が発生するというものです。着信に折り返すと数分で数千円の通話料がかかってしまい、その一部が海外の犯罪組織に送金される仕組みです。自動音声ガイダンスですが、さまざまな口実で通話時間を不必要に引き延ばされ、結果として高額な通話料金が発生します。

 アメリカやカナダの『+1』やイギリスの『+44』のほかに、モルディブの『+960』、ナイジェリアの『+234』から始まる番号からかかってくるケースも確認されています」

 折り返さないのがいちばんだが、もしかけてしまった場合には、通信会社に速やかに連絡し、課金停止や通話明細確認を依頼するといいという。実際に高額請求がきた場合には、総務省・消費生活センターに相談すべきだ。

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