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《幸せな最期を迎えるために》「老後ひとり」になったら…?今準備すべきことを専門家がリアルケースで解説

離婚・子供あり

交際相手と暮らす80代男性が他界。親族全員、遺体の引き取りを拒否。

幽霊と親族のイラスト
親族全員に遺体の引き取りを拒否された80代男性(イラスト/たばやん)
写真9枚

《対策》

子供がいても、疎遠などで死後の手続きを拒否される可能性がある。なお、交際相手には原則として遺体を引き取る権利や義務がない。この男性の場合、自治体が遺体を引き取り火葬。無縁仏として合同墓に納骨された。

「生前に死後事務委任契約を結んでおくべきでした。この男性は要介護認定を受ける前に他界しましたが、おひとりさまの場合、介護が必要になっても、自分で申請するのが難しいケースがほとんど。元気なうちに地域包括支援センターへ相談に行ったり、地域住民の福祉を支援する民生委員と連絡を取っておいたりするのも大切です」

未婚・子供なし

墓を継いだ60代女性に継承者がおらず、墓の処理に困る。

墓の前で悩む女性のイラスト
墓を継ぐも継承者がいない60代女性(イラスト/たばやん)
写真9枚

《対策》

日本は世界有数の少子高齢社会。家ごとに墓を継いでいく古い慣習に無理が出てきている。両親が眠る墓でも、跡継ぎがいない人は基本、墓には入れない。そのため、事前に霊園への手続きが必要だ。

「たとえば、『二十三回忌までの永代供養をしたら、その後は墓じまい(墓を撤去し、管理者へ返還する)をして合同墓に移してください』といった契約をしておきます。この場合、墓石の撤去費、遺骨の整理費なども、契約時に支払う必要があるので、請求額によっては、死後事務委任契約を専門とする会社や司法書士、弁護士などに相談し、交渉してもらうのもおすすめです」

未婚・子供なし

急病で運ばれた70代女性。ペットの世話ができないと入院拒否。

家に帰ろうとする女性のイラスト
ペットの世話のために入院を拒否する70代女性(イラスト/たばやん)
写真9枚

《対策》

短期入院ならペットホテルに預けたり、友人に頼んだりすることもできるが、完治の難しい病気にかかって長期入院となる可能性も考え、おひとりさまに限らず、ペットを飼うすべての人が対策しておく必要がある。

「任意後見契約や死後事務委任契約を結ぶ際に、自分が病気になったり亡くなったりした際のペットの世話の引き継ぎを頼んでおくこと。里親を探す団体に依頼しておくのも手です」

この場合は知人が預かることで事なきを得たが、65才以上の人や、体調不良や軽い認知症状を自覚した人は、早めにペットの引き取り手を決めておこう。

離婚・子供なし

葬儀や納骨について、親友と口約束した70代女性。

エンディングノートを持つ2人の女性のイラスト
死後の対応は、口約束では効果なし?(イラスト/たばやん)
写真9枚

《対策》

家族ではなく信頼できる友人にも葬儀や納骨といった死後の手続きを依頼できる。しかし口約束では効力がなく、このケースでは結局、遠縁が各種手続きをすることになった。

「友人に依頼するなら、死後事務委任契約を正式に締結しておくこと。公正証書で締結しておけば安心です。口約束では、友人が手続きする際、依頼証明ができない場合があります」

同じ年代の友人は、自分より早く他界する可能性も。

「できれば、自分より20才以上若い年代の友人にお願いするのがいいでしょう。そして、LINEなどを活用し、朝起きたらスタンプを送るなど、お互いに生存確認するのも手」

◆教えてくれたのはこの人:司法書士・太田垣章子さん

「合同会社あなたの隣り」代表。人生100年時代における家族に頼らないおひとりさまの終活を支援。頼るべき親族がいない、頼りたくない高齢者のサポートにも注力。講演会も積極的に行う。著書に『あなたが独りで倒れて困ること30』(ポプラ社)など。

取材・文/上村久留美

※女性セブン2025年12月4日号

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