健康・医療

《専門医が指南する「老いを防ぐ胃腸・脳・メンタル」の鍛え方》重要なのはストレスを減らすこと…「孤食を避ける」「ドーパミンが出る生活スタイル」「肌や頭皮は毎日ケア」

1日1時間のネット検索でドーパミンが分泌され認知症予防に

 私たちの思考や行動の司令塔となり、健康長寿の源である脳は最も老化させてはいけない器官のひとつ。『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』の著者である、脳科学者の西剛志さんは、大切な脳が老いるのを避けるには、「ストレスを減らすこと」が重要であると言う。

「脳はストレスを感じると血管が収縮して緊張状態になり、全身にさまざまな悪影響を及ぼします。脳の大敵であるストレスを避けるには笑うことが重要で、ほとんど笑わない高齢者はほぼ毎日笑う高齢者に比べて、男性2.1倍、女性2.6倍も認知症リスクが高くなるとの研究があります」(西さん・以下同)

 笑うことは、集中力やポジティブな感情をもたらす神経伝達物質であるドーパミンの分泌にもつながる。

「口角はドーパミン神経とつながっており、口角を上げて笑うと“幸せホルモン”であるドーパミンが分泌されて幸せな気分になります。フランスの哲学者に『笑うから幸せなんだ』との言葉がありますが、それは脳科学的にも正しいといえます。また、ドーパミンは加齢とともに分泌量が減りますが、やり方次第では年をとってもドーパミンを出すことができる。ドーパミンが出るような生活スタイルを心がけることも老化予防のポイントです」

若々しくいるための老いない生活習慣(メンタル・美容)
写真3枚

 脳内にドーパミンが分泌される意外なきっかけが「ネット検索」だ。

「ネット検索で、複数の選択肢から1つを選ぶたびにドーパミンが分泌されます。ネット検索を利用する中年や高齢者は脳が刺激されて認知症リスクが40%下がるという調査報告もあります。あまり過度に利用するとドーパミンの分泌量が減るので、高齢者は1日1時間程度のネット検索をおすすめします」

“病は気から”との言葉もあるように、健康で長生きするにはメンタルも重要な要素となる。高齢医療を専門とする精神科医の和田秀樹さんが指摘する。

「最も大切なのは、“老けたくない”と思うことです。誰もが間違いなく年をとるけれど、それを恐れず“老けたくない”と心に念じて、若さを維持するには何をすればいいかを考えて実践すれば、老いるスピードを遅くできます」

 心の老化を防ぐには、「想定外」にチャレンジすることも効果がある。

「脳の中の前頭葉が老化すると意欲が落ち、“もう老けてもいいや”と諦めの境地になってしまいます。そうした老化を防ぐには、本を読んだり脳トレをしたりするよりも、想定外の行動をした方が効果的です。知らない場所に行ったり未経験のことをやってみたりすると、前頭葉が刺激されて意欲の低下を防ぐことができます」(和田さん・以下同)

 若い人のマネを積極的にしたり、話したり、同調圧力に負けず、「年甲斐もない」といわれる人生を歩むこともメンタルを若くする。

「年甲斐なんて周囲の目に合わせていたら、それこそ年相応に老け込んでしまいます。だから年齢を意識せずに恋愛やおしゃれをすることがとても大事。人間は周りに同化する生き物なので、なるべく若い人たちとしゃべることも有効です。ぼくの同世代にも、社会人入試で大学に入学して若い世代と触れ合うことで若返った人がいますよ」

 女性は年齢を重ねると心と体の健康だけでなく、「美容面」や特に「頭髪」についても気になるものだ。クレアージュ総院長で医師の浜中聡子さんは、「まずは加齢による変化を受け入れましょう」と語る。

「年齢とともに酸化ストレスと糖化ストレスが蓄積し、肌や頭皮の透明感が薄れてくすみが生じるのは加齢変化で避けがたいことです」

 毎日のケアを欠かさないことが、美容と頭髪の衰えを防ぐための第一歩となる。

「まずは紫外線を浴びるなど、肌や頭皮の状態を不安定にする生活を避けることが大切です。さらに適切な洗顔やシャンプーなど毎日のケアを欠かさず清潔感を保てば、年齢にふさわしい美容や頭髪の状態を保つことができます」(浜中さん)

 心がけと実践で若さは維持できる。名医が伝えたい究極のメソッドを習慣にして、いつまでも老いない心技体を手に入れよう。

(前編から読む)

女性セブン20251225日・202611日日号

関連キーワード