健康・医療

【「変形性膝関節症」治療のために知っておくべきこと】傷んだ部分のみを削ってインプラントに入れ替える人工関節「UKA」はメリット多数だが、「医師の経験」に左右されやすい 

香川県済生会病院副院長の真柴賛医師
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「ひざを伸ばすときに使われるのが、太ももの前側にある大きな筋肉『大腿四頭筋』です。ひざ関節に対する衝撃を吸収する役割があります。まず、仰向けに寝転んで片方のひざを軽く曲げます。そして、もう片方の足をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと床から30㎝ほど上げる。その状態を10秒ほどキープした後、今度はゆっくりと足を下げます。

 私はひざ痛の患者さんに、これを毎日朝夕20回ずつ行うようすすめています。変形の進行防止に役立ちますし、人工ひざ関節の術後のリハビリにも有効です」

 ひざ痛の筋トレには、ほかにもさまざまな方法があるので、ぜひトライしてほしい。とはいえ、軟骨がすり減り、骨の変形が進むと、保存療法だけでは痛みを抑え切れなくなる。

「スポーツや旅行など、やりたいことができなくなったときや、ひざをかばうあまりほかの関節にも症状が現れたときには、漫然と痛みを取る治療を続けるよりも、いっそ手術を検討した方がいい」(塚田医師)

 手術方法は大きく2つある。「骨切り術」と「人工膝関節置換術」だ。

「ひざ関節の内側は悪くなっているけれど、外側はそれほど変形しておらず、なおかつ活動性の高い人には骨切り術が向いています。適応のあった人が骨切り術を行えば、走るのはもちろんジャンプまでできるようになる。若い人が多いですが、高齢でも骨切り術は可能です。70才のときに手術を受け、スキーができるまで回復した人もいます。

 とはいえ、変形が進んでいる場合には骨切り術は難しく、人工関節の方がいい。かつては自分の関節を温存するために若い人は骨切り術がいいという考えでしたが、いまは耐久性が延びたので、比較的若くても人工関節を選択することが増えました」(塚田医師)

 この人工関節には2種類ある。ひざ関節の表面全体を置き換える「全置換術(TKA)」と、傷んだ部分のみ削ってインプラント(人工物)に入れ替える「単顆置換術(UKA)」だ。一般的に、変形が広範囲に進んだ場合にはTKA、ひざの一部のみ損傷している場合にはUKAが選択される。真柴医師の所属する香川県済生会病院ではUKAを積極的に採用しているという。

「全国で行われている人工ひざ関節手術のうち9割がTKAといわれていますが、当院では年間400件弱のうち、約75%でUKAを行っています。メリットは、なんといっても体への負担が軽いこと。TKAに比べ明らかに少ない切開範囲でいいので、手術時間が短く、術後の回復も早い。人工関節の違和感も少なく、ひざがよく曲がります」(真柴医師)

 同院では、条件が合えばUKAは日帰り手術も可能だ。ただ、UKAはTKAに比べ手術が難しいため、医師の経験によっても成績が左右されやすい。手術の特徴をよく理解したうえで、自分に向いている方法を医師に選んでもらってほしい。

 また、術後の痛みが心配で、手術に踏み切れない人も多いだろう。だが、痛みへの対策も進んでいる。

「ひざの痛みを取るために手術するわけですが、手術直後は痛みが強く、リハビリの妨げになる。これを避けるため、当院では術後の痛みの軽減に積極的に取り組んできました。かつては腰から麻酔薬を入れる『硬膜外注射』が主流でしたが、いまは『関節周囲注射』や『神経ブロック注射』など、ひざに近いところで痛みを止める方法が主流になりつつあります。

 手術の怖さを乗り越えるためにも、メリット、デメリットはもちろん、術後の痛みを凌ぐ方法についても医師からしっかり説明を受けることが大切です」(塚田医師)

名医が選んだ「ひざ」で頼れる病院
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名医が選んだ「ひざ」で頼れる病院
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(第2回につづく)

【プロフィール】
鳥集徹(とりだまり・とおる)/同志社大学大学院修士課程修了(新聞学)。新著『妻を罵るな』が発売中。

女性セブン202625日号