《中国からの輸入食品で相次ぐ回収騒動》“統一した安全基準を徹底することが不可能”な中国特有の構造的な事情 根菜類の農薬残留が頻発しても中国当局は農薬規制に及び腰
中国特有の構造的な事情
消費者問題研究所代表で、食品問題評論家の垣田達哉さんが中国産食品について指摘する。
「中国からの輸入総量が多いため、違反件数が多くなってしまうのは仕方ない一方、中国特有の構造的な事情もあります。
中国からの輸入食品は品目数が非常に多く、生産地域が広大な国土全域に分散し、携わる生産者の数も数えきれない。当然、安全管理も困難になります。さらに集積や輸送にも時間がかかるため、防腐や防カビ、防虫のための農薬を多用せざるを得ないのです」
食ジャーナリストの小倉正行さんが続ける。

「中国の農産業は小規模零細農家が多数を占め、日本のような統制組織も機能していないため、統一した安全基準を徹底することは不可能。また、生産効率にかかわる農薬の規制は、貧困層が多い農民の首を絞めることにもつながり、中国当局が及び腰になっている面もあります」
こうした構造的問題を背景に頻発している違反が、根菜類の農薬残留だ。垣田さんが話す。
「業務スーパーの冷凍大根もそうですが、『生鮮大根類の根』は違反件数で1位。ほかにもにんじんなど中国産の根菜からは近年、残留農薬の検出が相次いでいます。代表格の『チアメトキサム』は殺虫剤の一種で、肝臓や腎臓への悪影響のほか、高濃度の長期摂取による発がん性も指摘されています」
根菜類から残留農薬が検出されやすい理由について小倉さんが説明する。
「かつては日本の食品業者が中国で専用農場を運営し、日本の安全基準に合うように生産や管理を行っていました。しかし、品目も総量が増加し、円安によってコスト制約が厳しくなるなか、日本への輸入用作物の多くが中国市場用と同じ土壌で作られるようになっています。その影響が出やすいのが、土壌に含まれる農薬を吸収する根菜類なのです」
警戒すべきは残留農薬だけではない。
「中国産の豆・穀物類に目立つのが、『アフラトキシン』の検出です。地上最強のカビ毒ともいわれ、長期摂取すると肝機能障害を引き起こし、高濃度だと命にかかわることもあります。加熱しても毒性は消えません」(垣田さん)

(後編へ続く)
※女性セブン2026年5月7・14日号