社会

《宿命と向き合う国母の決意》雅子さま、今秋に熊本訪問 水俣病公式確認から70年を迎え、現地では水俣へのご訪問を期待する声も

「こんなにうれしいことはありません」

 雅子さまのご成婚の際には、そうした祖父の経歴を案ずる声もあり、実際、マスメディアもその事実を報じた。

「報道の中には、江頭さんとチッソの関係を取り上げ、お妃としてふさわしくないとするものも見られました。とはいえ、ご成婚が正式に決まった後の会見では、当時の藤森昭一・宮内庁長官が『水俣病の発生時期には関係がなく、刑事上の責任もない』と明言しています」(前出・宮内庁関係者)

 ご成婚前、江頭氏の過去を気にして慎重論に傾きがちだった周囲を陛下が粘り強く説得し、ご成婚にこぎ着けたという経緯もある。

 婚約が正式に決定した後の会見では、陛下自ら「チッソの問題もありまして、宮内庁で慎重論が出ておりまして……」と発言され、ハッキリと具体的な企業名を口にされたことが当時、驚きをもって報じられた。

「江頭さんは生前に雅子さまのことを“マーちゃん”と呼び、雅子さまも祖父のことを晩年、お忍びでお見舞いされるなど大切に思われていました。水俣病問題を考える機運が高まる中での熊本訪問によって、祖父のセンシティブな部分に改めて注目が向きかねない状況は、雅子さまにとっても心苦しいものでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)

晩年は雅子さまの病状を気にかけていた江頭氏
写真18枚

 一方で、当事者の反応はどうか。

 自身も水俣病患者のひとりで「水俣病を語り継ぐ会」代表を務める吉永理巳子氏(74才)が語る。

「2013年に上皇ご夫妻が来訪された折、私もお話しさせていただきました。お二人は時間だと止めにきた職員の方を自ら制止されてまで、熱心に患者の言葉に耳を傾けていました。いまだに感染症と勘違いしている人もいるため、皇族の方に患者と近くで接していただくことが、正しい知識を伝えるための“無言のメッセージ”になるのです」

 さらに、近年ではチッソと患者の断絶を埋めるような動きも見られるという。

「昨年と今年、チッソの新人研修で患者が講話することが実現しました。語り部も高齢化し、いまとは時代背景が違う当時のことを伝えるのが年々難しくなっています。企業も巻き込んで、みんなで水俣の未来を考える時が来ているのです。両陛下がいらして、水俣病を世に知ってもらうきっかけを増やしていただければ、こんなにうれしいことはありません」(吉永氏)

 雅子さまが熊本に足を運ばれるのは、約25年ぶりのこと。宿命と向き合う国母の決意を、当事者たちも静かに見守っている。

※女性セブン2026年5月21・28日号

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