昨今、大手メーカーやプライベートブランドから続々と発売されている野菜ジュースやスムージー。コンビニやスーパーの飲料売り場には、何種類もの商品がところ狭しと並べられ、今では女性の定番ドリンクとなっている。
ダイエット効果と効果的な飲み方は?
そんな中、野菜ジュースを巡る新たな“効能”が注目されている。発端は、2017年12月10日に放送された『林先生が驚く初耳学!』(TBS系)だ。同番組では、食前に野菜ジュースを飲むだけでダイエット効果が得られると紹介。実際に、ぽっちゃり体形の女性が1か月間実践したところ、体重は57.9kgから54.1kgと3.8kgも減少した。放送後はツイッターなどで、《今までサラダを頑張って食べていたのに》《とりあえず1か月続けてみる》といった声が相次ぎ、大きな反響を呼んだ。
番組タイトル通り、林先生も仰天した野菜ジュースの痩身効果。食前に野菜ジュースを飲むだけで、なぜこれほどのダイエット効果があるのか。管理栄養士で料理研究家の関口絢子さんが解説する。
「食後、人間の体内では血糖値の急上昇を抑えるため、インスリンが分泌されますが、このインスリンは血液中の糖質を脂肪に変える働きを持つ。一方、野菜に多く含まれる食物繊維は、糖質に吸着して体内への糖の吸収を遅らせる作用があり、先に野菜を胃の中に入れておくことで、糖質吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇が防げる。ひいてはインスリンの分泌量も減り、糖質から変換される脂肪の量も減る。つまり“太りづらく”なるというわけです」
野菜ジュースの場合も同様のメカニズムだが、液状にすることで、よりダイエット効果が見込めるという。
「ジューサーなどで野菜が粉砕されることで、野菜の栄養素を覆っている細胞壁が壊れるため、そのまま食べるより栄養素の吸収率がアップします。また、食物繊維も細かくなることで胃の中で素早く拡散するため、働きが増して体内への糖の吸収をさらに遅らせてくれるんです」(関口さん。以下「」内同)
飲むタイミングは?食前?食後?
実際、2015年に発表されたカゴメと城西大学の共同研究によると、メタボの原因である食後の血糖値の上昇が、野菜ジュースを食前に飲むことで抑えられたというデータもある。
厚生労働省が目標として定める1日の野菜摂取量は350g。忙しい現代人にとって、毎日大量の野菜を摂るのはハードルが高いが、ジュースなら簡単に多くの野菜を摂ることができる。食前の習慣にすれば、全体の食事量を減らすことにもつながりそうだ。
選ぶべき野菜は完熟トマトである理由
さらに関口さんは、トマトなどに含まれる赤い色素「リコピン」を同時に摂取すると、より効率よくダイエットできると話す。
「抗酸化作用が高いリコピンは、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病予防に効果的であることが知られていますが、実は、リコピンそのものに血糖値の上昇を抑制する効果があることもわかっています。また、野菜によっては加熱すると栄養素が失われるものもありますが、リコピンは逆に、加熱しても栄養素が失われず、煮詰まることで濃度が高くなり、栄養が凝縮される性質があります」
ダイエット効果に期待!野菜ジュースの作り方
そこで本誌・女性セブンは、食物繊維とリコピンを活用した野菜ジュースの作り方を徹底調査。ダイエット効果を最大限に高める組み合わせを、関口さんに聞いた。
●用意する材料
・トマト:大玉1個(約200~250g)、またはトマト水煮缶100g+水か豆乳100ml。
・パプリカ:大きめのパプリカ1/2個。
・しょうがやねぎなどの薬味:少々。
・えごま油:ティースプーン1杯程度。
●作り方
1.えごま油以外の材料をすべてミキサーにかける。
2.えごま油を加えてよく混ぜる。酸化を防ぐため、飲む直前に加えよう。
レシピのポイントは、トマトとパプリカを2対1の比率で、合計300g程度になるように作ること。そうすれば、コップ1杯分の口当たりのいいジュースができるという。
トマトの選び方にもコツがある。
「できるだけ完熟したトマトを使いましょう。完熟すると、リコピンは通常の約3倍に増えます。水煮缶も煮込んだ分だけトマトの栄養素が凝縮されているため、通常より多くのリコピンが摂取できますが、濃厚すぎて飲みにくいため、水か豆乳で半分に薄めるといいと思います」
飲むタイミングは1日3回、食事の30分前がベスト。
「冷たい野菜ジュースを毎食時飲むと体が冷えてしまうという人は、電子レンジで人肌程度に温めてもいいですよ。熱を加えても栄養素が失われないリコピンだから、温めても大丈夫です」
今回紹介したレシピは身近な食材で手軽に始められる。ぜひ試してみて。
※女性セブン2018年2月8日号
ダイエット中の市販の野菜ジュースの選び方
管理栄養士の豊田愛魅さんに、ダイエット中の人が野菜ジュースを選ぶときのポイントを教えてもらった。
【1】野菜や果物が100%で砂糖や食塩が添加されていない
血糖値上昇の原因になる砂糖が添加された野菜ジュースは、太りやすいジュースと同じ。
【2】より多くの野菜がブレンドされている
野菜の種類によってビタミンやミネラルは異なるので、いろいろな野菜がバランスよく配合されているものを選んで。また同じ種類を飲み続けるよりも、気分でいろいろな味を試すのも、多様な栄養素を摂ることができるので◎。
【3】スムージータイプもオススメ
ドロドロとした食感の野菜フルーツジュースには不溶性の食物繊維も豊富。満足感も高いので、シーンに合わせてチョイスして。
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