《医師が解説》見逃すと“命にかかわる予兆”「歯痛は“心筋梗塞”」「ものが二重に見えたら“脳腫瘍”」「肩こりが周囲に広がったら“大動脈解離”」…部位別の危険信号

「何かいつもとちょっと違うな」「だけど、まぁいっか」──そんなふうに体調の違和感を軽く見ていないだろうか。体が発するサインを見逃すと、命を落とすこともある。あなたと家族の命を守るために知っておきたい「命にかかわる予兆」を公開する。
「最近、肩こりがつらくて。年齢のせいだと思っていたら、狭心症だったんです」
そう打ち明けるのは、都内に住む会社員のAさん(64才)だ。
「看護師の娘に相談したら、ただの肩こりじゃないかもしれないからと、念のため病院に行くようにすすめられました。病院なんて大げさだと思っていましたが、まさか心臓が原因だったなんて……娘のアドバイスに従ってよかったです」
Aさんのように日常にありふれた不調の中に、重大な病気のサインが隠れていることは少なくない。油断していると命にかかわるケースもある。
鈴木内科医院総合診療科の舛森悠さんは、「危険な兆候」を見逃さないことが大事だと話す。
「命にかかわる重大な病気のサインを、医療用語で『レッドフラッグ』といいます。医師は見落とさないように気をつけていますが、患者さん自身もいつもと違う症状を軽く考えないでほしい。少しでも違和感のある症状があれば、自己判断せずに受診してください」
秋津医院院長で総合内科専門医の秋津壽男さんもこう言う。
「がまん強い人ほど病院に来たときには重症になっているケースが多い。“この程度で病院に行くなんて恥ずかしい”と思わず、違和感を覚えたら一度は受診してもらうようにしてください」
体が発する「危険信号」を、専門医の解説とともに部位別に見ていこう。
【顔】「頭痛持ち」と軽視すると危険
まず見落としたくないのが、がんに続く日本人の死因2位である心疾患の予兆だ。心臓の病気というと胸が痛くなるイメージが強いが、あごや歯の痛みが出るケースも少なくないと舛森さんは言う。
「首から下あごにかけて痛むという人や、歯の痛みを訴える人もいます。歯科医院に行っても虫歯が見つからず、実は心筋梗塞だったということもある。心臓の病気は『放散痛』といって、本当は心臓が痛いのに脳が痛みの場所を誤認して、肩や首など別の部位に痛みを感じることがあるのです」
見分けるポイントは「痛みや違和感が、長く続くかどうか」だ。
「心筋梗塞の場合は、安静にしていても痛いのが特徴です。放散痛はかならずしも激痛とは限りません。下あごや奥歯のあたりに、しびれや圧迫感のような痛み、違和感を伴うのが特徴です。症状が30分以上続く場合は放置しないでほしい」(舛森さん)

目の痛みも見逃してはいけない重要なサインだ。国際医療福祉大学病院教授で内科医の一石英一郎さんが指摘する。
「脳動脈瘤が破裂しそうなときや動脈解離の前兆で、目の奥が痛むことがあります。特徴は突然の激痛や片目だけ痛い、目の奥がえぐられるような痛みであること。涙や鼻水を伴うこともあります。一刻を争うこともあるので、“頭痛持ち”だからと油断しないでください」
見え方の異変から気づける病気もある。
「突然、ものが二重に見えて、目を凝らしても変わらないという場合、脳腫瘍が隠れていることがあります。脳の腫瘍が神経を圧迫することが原因です」(秋津さん・以下同)