
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第6話:初めて男の部屋に招かれた女の悲劇の話【後編】
──は?
流石のシヅもツッコむ言葉を失った。「いきなり言うセリフがそれ?」「捕まったのにどうやって帰って来れたの?」「そもそもなんでキャベツが手に入ってんのよ?」「ていうか顔くらい洗いなさいよ」などなどツッコミどころが多すぎて一つに絞れない。シヅは多くの「なんで?」を感じながら、その一方で「なんとなくこうなるんじゃないか」と思っていた自分がいることにも気が付いていた。
布団のない炬燵の上に2つのキャベツチャーハンが並ぶと、克弥は大家に捕まったのだと説明し始めた。
「よく許してもらえたね?」
「いや、許してはもらってないんだ」
克弥の話はこうである。逃げる際に足元に生えるキャベツに躓いて顔から地面に倒れ込んだ。その背中に大家が飛び乗ってきて「捕まえたぞ!」と叫んだので、克弥は咄嗟に「顔を見られてはマズい」と思い、自分から土に顔を押し付けた。大家が顔を見せろと頭を引っ張ったが、頑として土に顔をめり込ませ続けた。そこに同級生たちがやって来て、大家を克弥から引き離し、「逃げろ!」と怒鳴った。その際に「これ持っていけ」とキャベツの葉を数枚渡してくれたという。
「振り向かずに走ったので絶対に顔は見られてないと思う。そうして手に入れたキャベツでできたチャーハンがこれ」
克弥は自慢げに頰張った。しかしシヅには新たな疑問しか湧いてこない。

「なんで同級生が畑にいたの? 彼らもキャベツを盗みに来ていたの?」
「そもそもこのチャーハンは彼らと発明したものなんだ。徹夜で麻雀するとお腹が減るでしょ? でも深夜にお店なんか開いてないし。家にお米はあったから『じゃあ目の前にある新鮮な野菜で作れる料理はないか』ってことで試しに作ってみたのがこれ。これが意外とめちゃくちゃ美味しくて、それから徹マンする時には必ず彼らが畑から拝借してくることになったんだ」
シヅは克弥の説明を一つ一つ頭の中で解読しながら、一口食べてみた。
──ん? 何かがおかしい? 味か? いや待って。克弥くんはさっきなんて言ってた? 徹マンする時には必ず拝借してくる? あ!
「それって、もしかして今夜も麻雀するってこと?」
「うん」
克弥が頷くと同時に部屋のドアが開いた。ガヤガヤと賑やかな音と共に3人の男が入って来た。
「たかすー、もういいか?」
「あの後、大家を宥めるの大変だったよ」
「星野さん、こんばんは!」
初めての夜を迎える気でいた女と、その夜に麻雀をしようとしていた男の悲劇が幕を開ける。星野シヅ18歳。もちろん高須克弥も18歳。高須クリニック開業の13年前の話である。(第7話につづく)
最新話は発売中の女性セブン本誌に掲載!
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年7月9・16日号