健康・医療

《寝たきりにならないために》長持ちする「腸」のつくり方 最強の栄養素は「発酵性食物繊維」 全粒穀物、豆類、根菜類、海藻類などが腸のバリア機能を高める

最強の栄養素は「発酵性食物繊維」

 便秘と下痢に縁のない健康な腸をつくるには、腸のバリア機能と、腸内細菌の多様性を保つことも重要。

「腸の細胞が腸壁のバリアとなる粘液を充分に分泌できるようにすることが重要です。そのためには、腸内の善玉菌を増やすこと。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多く、かつ腸内細菌の多様性が保たれていれば、炎症の原因となる悪玉菌は増えにくくなります」

 善玉菌を増やすには、ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品を積極的に摂るだけでなく、「腸内の善玉菌を育てる」ことも意識してほしい。すなわち、食物繊維を摂ることだ。食物繊維は善玉菌のえさになるため、発酵食品と併せてこれらを摂取することで善玉菌が増えやすくなるのだ。日本栄養コンシェルジュ協会代表理事で管理栄養士の岩崎真宏さんが言う。

「食物繊維が不足すると、腸内細菌が腸壁の粘液を食べてしまい、バリア機能が下がります。その結果、炎症が起きて認知症リスクが上がるともいわれているので、食物繊維はもはや必須栄養素ともいえる。具体的には、1日に女性18g以上、男性21g以上が推奨されています」

血管も腸も整える発酵性食物繊維
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 最近では、食物繊維の中でも特に「発酵性食物繊維」に注目が集まっている。

「全粒穀物、豆類、根菜類、海藻類などに豊富に含まれ、善玉菌に分解されやすく、分解される際につくられる『短鎖脂肪酸』が腸の細胞の栄養になり、バリア機能を高めるのに役立ちます。

 日々の食事で炭水化物:脂質:たんぱく質を6:2:2の割合に保ちながら、そこに発酵性食物繊維を1日30gを目標にプラスするのがもっとも理想的です」(川本さん)

 腸の健康のためには、「いつ、何を、どれくらい食べるか」も重要だと、管理栄養士の菊池真由子さんは重ねる。

「一日の食事の中で、朝食を充実させるのがおすすめです。朝食をしっかり食べることが腸を刺激し、便秘や下痢の予防にもつながります。朝食:昼食:夕食の理想の割合は3:3:4。特に朝食では、パンとコーヒー、ご飯とみそ汁といった献立ではなく、卵や肉、魚、納豆などのたんぱく質を食べてほしい。そこに野菜や果物などを加えれば完璧。朝から野菜を調理する必要はなく、前日の残りものや冷凍野菜を活用するので充分。手軽にバランスを整えられます」(菊池さん)

血管も腸もすべては「自律神経」次第

 最期まで元気に生き抜くために欠かせない「血管」と「腸」の健康を支えているのが「自律神経」だと話すのは、順天堂大学特任教授の小林弘幸さんだ。

「自律神経は血管や腸をはじめとする体のすべての臓器をコントロールしています。活動的なときに優位に働く『交感神経』と、リラックスしているときに優位に働く『副交感神経』があり、両者のバランスが乱れると、血管も腸も大きな影響を受けます。

 例えば、過度なストレスがかかると交感神経が優位になり、副交感神経の働きが低下します。その結果、腸のぜん動運動が弱くなって腸内環境が悪化し、血管が収縮して血流が悪くなる。特にコロナ禍以降は、ストレスによる自律神経失調症から寝たきりにつながるケースも出てきています」(小林さん・以下同)

自律神経を整える第一歩はリラックスすること(写真/PIXTA)
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 自律神経のバランスを整えるために、まず見直したいのが睡眠習慣だ。

「寝る直前に食べると胃腸が働き続け、交感神経が優位になり睡眠の質が低下するため、夕食は就寝の3時間前までに済ませましょう。

 また、就寝の3時間前までには入浴しておくこともポイント。コツは41℃くらいまでのお湯にゆっくりつかってリラックスし、副交感神経を優位にしておくこと。真夏も湯船につかるのがベストですが、難しいときは42℃前後のシャワーを首や、お尻の割れ目の上あたりの仙骨に当てるだけでも効果的です」

 そして、血管と腸、自律神経のすべてを整えるのに欠かせないのが「適度な運動」だと、専門家たちは口を揃える。

「まずはいまより10分、歩数にして大体1000歩くらい多く歩くことから意識しましょう。ちょっとしたエレベーター移動を階段に置き換えるだけでも、最初は充分。これだけでも腸の動きがよくなり、血糖値やコレステロール値、血圧の上昇を抑えることができます。屋外を散歩して公園の緑を見るだけでも認知症リスクが下がるという研究もあります」(菊池さん)

 東丸さんは、ストレッチ、ウオーキング、筋トレの3つを続けてほしいと話す。

「血管だけが健康でも、骨が弱くては、転倒して骨折し、そのまま寝たきりになってしまう可能性もある。ストレッチで血管を広げて柔軟性を高め、ウオーキングで骨に刺激を与え、筋トレや体操で体幹を鍛えるのが効果的です。キツすぎてストレスになっては逆効果なので、ウオーキングは1日7000歩を上限にしてください」(東丸さん)

 健康寿命を延ばすのは特別な健康法ではなく、毎日の生活習慣。できることを積み重ねることが、最期まで自分らしく生きる力になるはずだ。

(前編から読む)

※女性セブン2026年7月30日・8月6日号

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