24時間365日、いつもなんの意識もせずに繰り返している「呼吸」。実はこの呼吸に肩こりを撃退する鍵が隠されているという。肩こりも改善、体が若返る「肺ストレッチ」のやり方を、東京有明医療大学学長の本間生夫先生に教えてもらった。
「肺はそれ自体で膨らむことはできず、胸郭の周りに20種類以上ある『呼吸筋』という筋肉によって動かされています(下図参照)。息を吸うときに使うのが吸息筋、息を吐くときに使うのが呼息筋で、これらがこり固まると呼吸する力が落ち、肺機能も衰えていきます。
とくに肩から首にかけて広がる吸息筋が硬直すると、肺機能のみならず、肩こりにも繋がってしまいます。逆にいえば、この肩の吸息筋を柔らかくすることが、肩こりの解消に直結するということです」(本間さん、以下「」内同)
とはいえ普段は意識さえしない筋肉。どうすればほぐすことができるのか。その方法こそ、本間先生が発案した「呼吸筋ストレッチ」だ。
呼吸筋解剖図
「鼻からゆっくりと息を吸って、10秒ほどかけて息を吸い、徐々に肩を上げていく。その後、ゆっくりと息を吐き、肩を下ろす。これを1セット3回行います。続けてゆっくりと息を吸いながら肩を上げ、息を吐くときに肩を後ろに回しながら下ろします。これも1セット3回を目安に行いましょう。肩から首にかけての呼吸筋がぐっと伸び、こりが解消されます」
朝夜1セットずつ、1週間続けるだけで効果が感じられるというこの“肺ストレッチ”は、4月11日放送の『ガッテン!』(NHK)でも取り上げられ、大反響を呼んだ。肺ストレッチを2週間実践した主婦Aさん(51才)も、その効果に太鼓判を押す。
「実際に息をゆっくりと吸いながら肩を動かすと、首から肩にかけての筋肉がピーンと張るのがわかるんです。息を吸うための筋肉が、ここに集まっていたんですね。1週間が過ぎた辺りから肩が軽くなって、10日目からはほとんど痛みが気にならなくなりました。5年悩んだ肩こりがこんなにすぐに解消されるなんて、もっと早く『呼吸筋』というものを知っておくべきでした」
さらに胸の周りや背中の呼吸筋をほぐすストレッチもあるので、以下のイラストを参考に、ぜひ実践してみて。