健康やダイエット目的で始める人も多いウオーキング。“歩くだけ”と思って気軽に始めがちだが、実は大きな落とし穴が…。間違った方法だと、ひざや足首の関節を痛める可能性も高かった!
地面を蹴って大股早歩きで体を壊す
「間違ったウオーキングは歩行寿命を縮める可能性がある」と、『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みが取れる』(実業之日本社)の著者で九州共立大学スポーツ学部教授の木寺英史さんは警鐘を鳴らす。
「“歩く”というのは、そもそも人間にとっての移動手段。本来ならエネルギーをあまり使わずに歩いた方が効率的。ですが最近は、運動不足を解消するためや、やせるためなどの目的を持って歩く人が増えています。そのため、ひざを伸ばし、地面をしっかり蹴って大股で早歩きするなどの歩き方が提案されていますが、そうすることで、逆に体を壊す高齢者が増えているのです」(木寺さん・以下同)
ひざを伸ばし、大股で地面をしっかり蹴る歩き方は、足首やひざなど小さい関節に負担がかかりやすい。だが、小さい関節を使うと疲れるため、しっかり運動したと錯覚しやすい、と木寺さんは指摘する。
「本来の歩き方は、足首やひざではなく、もっと上の脚の付け根部分、つまり股関節をしっかり動かします。この場合、大きな筋肉を使うので、あまり疲れず効率よく歩けます。そのため、あまり運動をしていない気がしてしまうのですが、それが上手に歩けている証拠なのです」
ここ最近、スポーツや医療業界では、歩きながら足の筋力を鍛えるのは、効率が悪いという考え方が主流になっている。また、靴によって歩き方も変えるべきだと木寺さんは言う。
また、消費エネルギーをアップさせる歩き方は、ひざや足首の関節を痛める原因になる。
かつては「1日1万歩、歩くとよい」というのが主流だったが、今では「ひと駅多く歩く」「階段を上る」など、生活の中で無理なく歩く量を増やす方が、長く続けられ、効果的といわれている。
下のイラストを参考に歩き方を使い分けよう。
【ハイヒール編】つま先を少し外側に向け、一直線上を歩くと負担が軽減
たとえば、ハイヒールの場合のダメな歩き方。ハイヒールを履くと、バランスをとろうと腕を内側に振って歩きがち。だが、この歩き方では腰をねじりながら歩くため、腰痛の原因に。つま先が内側を向くと、ひざも内側に入り、ひざや足首にも負担がかかる。
良い歩き方は、腕は外に向け、上から見ると進行方向に向かって逆ハの字になるように振ると、腰の回転にブレーキがかかるので、腰を痛めにくい。つま先は少し外側を向けて歩くだけで、ひざが内側に入らず、体重をしっかり支えることができ、ひざや足首への負担がグンと軽減される。
【スニーカー編】ひざを伸ばして大股で歩かず、股関節を使って効率よく歩く
スニーカーを履いている場合、エクササイズを意識して、地面をしっかり蹴って、ひざを伸ばして歩くと、ひざや足首など小さな関節を痛めやすい。特にスマホを見ながら歩くと、背中が丸まり、骨盤が後傾して歩きにくい姿勢になってしまう。
良い歩き方は、体幹を意識しながら、大きな筋肉を使って歩くこと。疲れにくくなり、顔を前に向けると自然と背筋も伸び、骨盤が前傾して歩きやすくなる。スニーカーはソールがあまり高くなく、裸足と同じようなフラットなものがおすすめだ。
イラスト/上田惣子、とげとげ。
※女性セブン2018年6月28日号
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