10月に放送されたバラエティー番組『梅沢富美男のズバッと聞きます!』(フジテレビ系)にて、ゆりやんレトリィバァさんが10日で8.3kg痩せたことが話題に。
彼女が短期間で減量に成功した方法が「ロカボダイエット」。番組でゆりやんさんの指導を行った管理栄養士の麻生れいみさんの著書『20kgやせた!』シリーズ(宝島社)にも注目が集まっている。
「ロカボダイエット」は炭水化物量を減らした食事をするもので、お腹いっぱい食べてもOK。やり方を守れば、健康的に痩せることができるという。そこで、麻生さんが「ロカボダイエット」に行き着いた経緯や正しい方法について教えてもらった。
ロカボ生活のきっかけは凝り性
現在54歳にして、45kgをキープし続ける麻生さん。しかし、勤めていた出版社を辞め、輸入雑貨店の経営者として働いていた30代には最大65kgだったこともあるとか。そんな麻生さんが痩せるきっかけになったのが、冷しゃぶと鍋。
「もともと痩せようと思って食生活を変えたわけではないんです。凝り性なので、当時発売されたばかりだった冷しゃぶドレッシングにハマった結果、いろんな味を試したり、自分なりにアレンジをしたりと、ずっと冷しゃぶを食べ続けていて。それが冬は鍋にシフト。いろんな味を試したいのでお米よりもおかずばかり食べていて、気づいたら1年で20kg痩せていたんです」(麻生さん・以下「」同)
その食生活が実は糖質をオフにする、「ロカボ」だったと後々わかったのだとか。
糖質をオフして体を「ケトン体回路」に
脂肪に変わりやすい糖質の摂取を減らし、体内の脂肪をエネルギーとして消費するのが、糖質オフダイエット。
「体がエネルギーとして使う優先順位は糖質、脂質、たんぱく質。食事や間食で糖質を摂っていると、体は糖質を使い続けます。あえて糖質を抑えることで、体は『糖質をエネルギーに使う』から、『脂肪酸をエネルギーに使う』システムにシフト。体内の中性脂肪を分解してエネルギーをつくり出します。つまり結果的に中性脂肪が減っていくんです」
このとき、脂肪酸の一部は、肝臓でケトン体という物質に変わる。麻生さんは、体脂肪を分解しエネルギー(ケトン体)を発生させて体や脳を動かすメカニズムを「ケトン体回路」と呼んでいて、「ケトン体回路」を目覚めさせるために、初めの1週間は糖質をオフにするよう、著書でも紹介している。
糖質を控える1週間の導入期を経て、1〜3か月間を目安に行う減量期に突入。この期間は糖質量を1食20g、1日60g以下にキープすることで、脂肪が燃えてどんどん痩せていくとか。また、目標を達成した場合や、達成できなくても最大3か月で維持期に移行すること。維持期の糖質量は1食20〜40g、おやつ10g、1日70〜130gまで増やしてもOKなのだそう。
「人はハイブリッドカーのように2つの回路を持っています。『ケトン体回路』と『糖質を使う回路』。この2つを使いこなすことが、健康的なダイエットの秘訣です。『ケトン体回路』を使い続けるのではなく、自然と切り替わるようになれば、多少糖質を摂っても体が燃えやすい状態になります。だから、どちらかに偏るのではなく、ハイブリッドのバランスをとることが大事。また、私はガンの臨床研究もやっているのでケトン体が諸刃の剣ということも知っていますが、使い方を間違えなければとても有益なものなんです」
また、麻生さんは糖質をオフする導入期について、「1週間じゃなくても3日でもいいからやってみて、自分がどれくらい糖質に依存しているのかを知ってほしい」と話す。
「カロリーじゃなくて、糖質とか炭水化物の表示を見るようになったというだけでも、十分に導入期の意味をなしてるんです。気づきがあったっていうことだから。実際に体験してみると『午後が眠くないし、意外とキツくない』とか『思っていたよりきつい』とか、実際に体験することで意識が変わっていくと思います」
「ロカボダイエット」で食事量を減らすのはNG
そんな「ロカボダイエット」を行ううえで、特に気をつけたいことは糖質量は減らしても、食事量は減らさないこと。痩せるためにはカロリーを抑えることが必要だと思い込んでいる人がまだまだ多い、と麻生さん。
「カロリー制限のために食事量自体を減らしてしまうと、栄養失調になって体の不調を引き起こすことも。あくまで炭水化物を抑えて、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維、オメガ3脂肪酸といった体を作る栄養素を含むものをしっかりと食べる必要があります」
糖質をオフにしながら必要な栄養を摂るための食事量はというと、まず、肉、魚、卵、大豆製品などに含まれるたんぱく質は「体重×1.2〜1.6g」分。さらにビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む野菜、きのこ、海藻などが1日あたり400g以上を摂る必要があるので、実はけっこうボリューミー。
ちなみに、食物繊維は糖質の吸収を抑える役割も果たすので水溶性・不溶性を合わせて1日あたり20gを目標に。糖質オフ中は水分が不足しやすくなるので、1日1L以上の水をこまめに飲むこともポイント。
このように栄養素を意識した食生活を続けるには、自炊も欠かせないものになってくる。麻生さんの著書『20kgやせた!10分ごはん』(宝島社)には、【1】時短調理、【2】洗い物が少ない、【3】スピード仕上げを押さえた6つのコツで、忙しい人でも続けることができる糖質オフ料理のレシピが満載。
「外食は調理過程がわからない分、調味料など気づかずに糖質をとってしまうこともあるので、材料を把握できる自炊の方が結果が出やすいんです。なので、どんなやり方でもいいから、なるべく自炊をしてもらいたいという思いで、とにかく手軽なレシピを載せています」
「ロカボダイエット」の極意は、糖質オフに執着するのではなく、野菜や肉、魚などをたくさん食べることで、自然と糖質が少ない食事にシフトしていくことなのだとか。無理のない正しい糖質制限で、美痩せを目指して。
撮影/生熊友博
著者:麻生れいみさん
管理栄養士、低糖質料理研究家。出版社の編集、雑貨店経営などを経て、自らのダイエット成功の謎と理論を解くべく栄養士の道へ。服部栄養専門学校を卒業。現在は、大手企業の特定保健指導・栄養相談、病院の臨床研究において栄養療法を監修している。これまでに約6000人のダイエットを指導。http://www.stardust.co.jp/profile/asoreimi.html
●ロカボダイエットで20kg減!痩せ体質になる5つのルールとは?
●ゆるやかだから、続く。話題の「ロカボ」ダイエットのメカニズムとコツ
●爆発ヒット中!「糖質カット33%」炊飯器で炊いたお米の味は?
●【名医が愛するコンビニ飯】腸内環境を整える「もち麦」おにぎり、美肌に◎なナッツなどオススメ5品
●卵料理が糖質制限ダイエットに活躍!糖質太りに卵が◎な理由とは?