健康・医療

《高齢者が自宅で安全に暮らすために…》大規模リフォームよりも優先すべきは「大掃除」「オール電化」「動線確保」 不用品を売る際はフリマアプリより専門業者の方がお得なことも

自宅の安全性を高めるために、優先すべきはリフォームよりも大掃除だ(写真/PIXTA)
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 寿命の延伸とともに認知症の患者数は年々増加。いまや80代以上の「3人に1人」が認知症、「4人に1人」が軽度認知障害を発症していると推計される。いつか自分が認知症になるかもしれないし、家族が認知症になる可能性もあるのだ。そうなったときに困らないように、元気なうちに知っておくこと、調べておくこと、そして時には協力して進めておくこととは何か。【全5回の第3回。第1回から読む

大規模リフォームよりも「大掃除」を優先

 認知症になっても施設に入居しない選択をする場合や、認知症の初期段階で安全に暮らせるようにと、自宅のリフォームも進めておくことも備えの1つと考える人は多い。特に老いた夫や遠方でひとり暮らしをしている親のために、転倒しないよう手すりだけでもつけておこうと考えるのは、ごく自然なこと。

 だがファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「自宅の安全性を高めるために最優先すべきは、リフォームよりも大掃除」と語る。

「もっとも怖いのは、転倒して骨折し、そこから寝たきりになること。認知症で要介護状態になる前に家を片づけて不要なものは処分することで、リスクを抑えられます。またこのとき、不要品を判断するのは、認知機能が落ちてからでは難しい。家族総出で掃除することで終活にもなるでしょう」(黒田さん・以下同)

 大掃除のついでに、火災防止のためのオール電化の導入も。これも、認知症になってからでは遅い。

「慣れないオール電化は意外とストレスが大きい。症状が進んでからでは使い方がわからなくなることもあります。自力で生活できているうちに導入して、慣れておくことが大切です」

 リフォームする際も、家全体を大がかりに改装するのではなく、ポイントを押さえて工事を検討しよう。永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛医師が話す。

「最優先すべきは転ばない動線づくり。そのためには、普段いるリビングからトイレ、寝室までの動線で段差をなくし、手すりをつけること。大規模なリフォームは車いすを使うようになってからでも充分間に合います」

高齢者施設への入居は要介護・要支援認定が必要な場合もある。早めの準備を(写真/PIXTA)
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 一般に手すりの設置や段差解消は数万〜20万円程度。介護を目的としたリフォームなら、助成金を使える場合も。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。

「自治体によっては、要介護認定を受ける前でも高齢者住宅改修助成を受けられることもあります。また、手すりなどは介護保険でレンタルできる場合もあるので、まずは自治体の地域包括支援センターなどに問い合わせてみましょう」

 いざ認知症になって自宅での介護が始まったら、訪問介護員の手助けは必須。この場合は、要介護・要支援認定を受けた後、ケアマネジャーにプランをつくってもらうことになる。

「地域包括支援センターで介護事業所の一覧を教えてもらい、自分で連絡してケアマネジャーを探します。

 ですが最近はケアマネジャーが多忙で、新規の受け入れが難しいことも多い。近所で訪問介護サービスを利用している人がいれば話を聞いておくなど、早めにアンテナを張って、コネクションをつくっておきましょう」(三原さん)

 このとき、意外と役に立つのが「噂」。特にケアマネジャーのキャリアはしっかり精査した方がいい。

「元看護師など医療出身なら病気の対応に強く、社会福祉士出身なら制度の知識が豊富など、背景ごとに強みが異なります。また年齢にかかわらず、その地域で長く活動している人は頼りになる人が多い。

 一方で、ベテランなのに地域を転々としている人は、別の地域でトラブルを起こして流れ着いた可能性もゼロではない。ケアマネジャーも本人との相性が物を言うので、いくら元気で認知能力がしっかりしていても、後期高齢者となる75才になったら、こうした情報収集を始めておきましょう」(黒田さん)

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