加齢とともに気になりだし、女性の肌の悩みランキングの上位に必ずくるのが顔や体のシミ問題。ある程度はファンデーションなどで隠せるけれど、できることなら消してしまいたい…。そこで、2人の専門医にケア方法&予防法を聞きました。シミ撲滅活動、さっそく始めましょう!
シミの原因は?多くは紫外線による
シミの多くは紫外線によってできる。肌が紫外線を受けると真皮の奥のメラノサイトが活性化し、メラニンを多量に作る。さらに紫外線を浴び続けるとメラノサイトの数も増えてシミになる。
そのため、紫外線の量が増える夏は、シミができやすく、濃くなる季節でもある。だが、このシミ、実は医学用語ではないのをご存じだろうか?
「肌にできる茶色や黒の色素斑をシミと呼びますが、一口にシミといっても医学的にはいろいろな種類に分けられます。自分のシミがどれにあたるのかを見極めて、それに合わせたケアをしないと、手応えは得られません」と言うのは、皮膚科医の吉木伸子さん。
なかでももっとも多いのが「老人性色素斑」。シミの約6割がこのタイプで、紫外線を浴びやすい頰の高い部分などにできやすい。
「特に、数年前から知られるようになった“肝斑(かんぱん)”は、女性ホルモンの乱れなどが原因です。これは内服薬によって改善できますが、内服薬をのまなくなると、また濃くなることがあります」(吉木さん)
肌への刺激による「炎症性色素沈着」が増加
これらに加え、最近増えているのが、肌に刺激を与えすぎたことでできる「炎症性色素沈着」だと、皮膚科医の服部英子さんは言う。
「女性には顔をはじめとするスキンケアや化粧時など、肌を触る機会が多くあります。この時に力を入れてこすりすぎると、肌を傷めてしまい、シミやくすみなどの色素沈着を引き起こします。むやみにたたかない、こすらないスキンケアがシミ予防につながります」(服部さん・以下同)
特に大きく濃くなったシミは、レーザー治療などでも1回で完全に色調がなくなるわけではない。
「治療すればかなり薄くなりますが、跡形もなく、ゼロにするのは難しいことも。そのため、シミの大敵である紫外線をブロックし、美白コスメを使った日々のケアなど、シミを作らないための対策をしっかり行うことが必要なのです」
主なシミの種類と特徴や対処法は下記の通り。まずは、自分のシミがどのタイプなのか把握し、しっかりケアしよう。
老人性色素斑の特徴とケア方法
《特徴》
紫外線を浴びたことが原因ででき、境界線がはっきりしている。小さいものは「日光黒子(にっこうこくし)」とも呼ばれ、2cm以上になることも。顔では頰骨の高い部分にできることが多い。最初は薄い茶色をしているが、放置するとだんだん濃くなってくる。
《ケア方法》
ごく初期の薄いシミなら美白コスメ(*1)が有効。だが、濃くなったものは、皮膚の構造自体も変化しているため、クリニックでのケアが必要。レーザー治療や光治療(*2)などに効果が期待できる。
(*1)…美白コスメとは、美白成分を配合した医薬部外品や化粧品。
(*2)…光治療とは、レーザーよりも波長の広い光を用いたもので、フォトフェイシャル、IPL、ライムライトなどがある。
肝斑(かんぱん)の特徴とケア方法
《特徴》
妊娠中やピルの服用時、更年期などによく見られることから、女性ホルモンのバランスの乱れが関与しているといわれている。左右対称にでき、境界線がわかりにくい。灰色がかったものもあり、額や鼻の下にできることも。40~50代の女性に多く、閉経後しばらくすると自然に治ることがある。
《ケア方法》
体の内側から美白するトラネキサム酸やビタミンC、漢方薬の桂枝茯苓丸(けいしぶくりようがん)の内服が有効。2か月経っても効果がなければ、医師に相談を。美白コスメやピーリング、光治療などに効果が期待できる。
雀卵斑(じやくらんはん)・そばかすの特徴とケア方法
《特徴》
遺伝的体質によるもので、幼い頃からでき始める。小さな茶色いシミが、鼻を中心にして広範囲にできるのが特徴。色白の人に比較的多い。よく見ると、シミの形は〇ではなく、△や□になっている。
《ケア方法》
遺伝的要素があるため、美白コスメでのケアには限界がある。クリニックでのレーザー治療や光治療などが有効。再発する可能性があり、日焼けで悪化するので紫外線対策を。
炎症性色素沈着の特徴とケア方法
《特徴》
ニキビや傷などの炎症、虫刺されなどでかきむしった結果、眼鏡の痕などにメラニン色素が茶色く沈着して、シミのようになったもの。間違ったスキンケアによる摩擦や、たたくなどの刺激によってもできることがある。
《ケア方法》
シミの中では、美白コスメの成分が効きやすく、特にトラネキサム酸、ビタミンC誘導体が有効。クリニックでのピーリングや、ハイドロキノンなどの外用剤もある。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)の特徴とケア方法
《特徴》
本来ならシミは平坦なはずだが、触ってみるとわずかに盛り上がっているのがこのタイプ。老化や、長年にわたる紫外線ダメージの蓄積によって、角質層が異常に厚くなった状態。老人性色素斑の上に伴うこともある。
《ケア方法》
美白コスメでの改善はなかなか難しい。気になる場合はクリニックに相談すること。炭酸ガスレーザー治療や、液体窒素による凍結療法などで取ることができる。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の特徴とケア方法
《特徴》
頰やこめかみ、額などにできることが多い、青みがかって見えるシミ。医学的にはあざの仲間。20代以降に出現。メラニンが表皮ではなく、その下の真皮に現れている状態。肝斑やそばかすと合わさってできることも多い。
《ケア方法》
皮膚の真皮層にメラニンが増えているため、セルフケアではなかなか対処できない。クリニックでのレーザー治療などで改善可能。
体にできるシミ2種の特徴とケア方法
《特徴》
海水浴や炎天下でのスポーツなど、夏の日差しで急激に日焼けをした後に生じることが多い。形は花びら状に多発する。色白の人に多く見られ、できてしばらくして気づくことも。
《ケア方法》
美白コスメで多少薄くなるものの、大きな改善は期待できない。レーザー治療や光治療などが効果的。
《特徴》
日頃から水仕事などの家事で酷使している手の甲は、ダメージを受けやすい部位。日常生活のなかで紫外線にさらされることも多く、老人性色素斑ができやすい。
《ケア方法》
手が荒れていると紫外線ダメージを受けやすく、シミが濃くなっていく。しっかり保湿し、美白コスメやピーリングも〇。日焼け止めも忘れずに。
●この人たちに聞きました!
よしき皮膚科クリニック銀座院長・吉木伸子さん…美容医療と漢方を取り入れた治療を行う皮膚科医
南青山皮膚科スキンナビクリニック院長・服部英子さん…色素性疾患の判断・治療に実績を持つ、皮膚科専門医
イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2019年8月1日号
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