満員電車で人と密着するときやお座敷での飲み会で靴を脱ぐとき、誰かと会話するとき…。生活の中には体の臭いが気になる瞬間がたくさん。
そこで、体臭や口臭など、臭いについての対策をまとめて紹介。まず自分の臭いの原因をチェックして、対策をしてみて。
体臭・口臭の原因
臭いの原因は大まかに、汗臭さや加齢臭などの「脂質系」、口臭や便臭として表れる「たんぱく質系」、アンモニア臭がする「糖系」の3つに分けられると五味クリニック院長で”ニオイの専門家”五味常明さんは話す。
そのうち、たんぱく質系の体臭は、肝臓の機能低下が原因であることが多いという。
「本来、にんにくやねぎといったニオイの強い食べ物を摂ったとしても、小腸を経由して肝臓が栄養素を吸収するときに、ニオイ物質を分別して排泄してくれます。それを『腸肝循環』といいます。しかし、肝臓の機能が低下するとニオイ物質が分別されないまま血流にのり、全身をめぐってしまうのです」(五味さん)
一方、食後の口臭の原因は舌の苔にあると、話すのは”口臭専門クリニック”の院長・中城基雄さん。
「にんにくなどのニオイの強い食材を食べた直後の口臭は、誰にでも起こります。ただ、そのニオイが長く残る人は、舌の表面についている白い苔状の『舌苔(ぜつたい)』が多い場合がほとんど。いったん舌苔に食材のニオイが吸着されてしまうと、なかなか落ちないのです」(中城さん)
さらに、口臭にはニオイ物質を含む血液によって発生するものも。
「食品に含まれる『含硫(がんりゆう)アミノ酸』をエサとして口臭発生菌が増殖し、『硫黄臭』の元になる硫化水素や、『ザリガニのようなニオイ』を引き起こすメチルメルカプタンを生成します」(中城さん)
ダイエットも実は口臭・体臭の原因になることがあるという。「ダイエットは口臭だけでなく、体臭もキツくする」と五味さん。
「糖質制限ダイエットの初期に中性脂肪が燃えると、脂肪酸に変化して『脂肪臭』が発生します。さらにダイエットを進めると乳酸が生成されて汗に『アンモニア臭』が出て、最終段階ではバナナのようなニオイの『ケトン臭』が出てきます」(五味さん)
また、花王が発売している大人の口に潜みやすい老廃物(プロテアーゼ)に着目したハミガキ『薬用ピュオーラ GRAN』の発表会では、花王研究所で25年以上にわたりオーラルケア研究に携わってきた「ハミガキオタク」の研究員が口内のエイジングケアについて語った。
それによると、年齢を重ねるにつれ、口の殺菌作用を持つ唾液が減っていくそう。そして口の中にいる菌が出す老廃物が口臭を生んだり、不快感を大きくしているという。
足の臭いの原因
足の臭いの原因は、意外にも汗に限らないという。五味さんによると、汗自体が臭う場合は、「緊張したときやストレスがあるときに、手のひら、足の裏、わきなどの限られた部位に出る“精神性発汗”です」とのこと。
その他には、蒸れによる雑菌の繁殖による臭いや、体内から発生するアンモニアが臭うことがあるという。
「密閉された靴の中で高温多湿状態を長時間放置しておくと、汗で足の皮膚の角質がふやけ、それをエサに雑菌が繁殖。納豆に似たにおいと評されるイソ吉草酸などが発生します」(五味さん)
また、血行不良や冷え症によって足がむくんでいたり、ストレスがある場合に、体内にたまった老廃物の一種・アンモニアが、足の裏から汗と一緒に出るという。疲労臭とも呼ばれる、ツンとした刺激的な臭いは、このアンモニアによるもの。
体臭の対策
体臭を抑える食べ物
■梅干し
体内環境をアルカリ性に整え、体臭の原因となる乳酸の発生を抑えてくれる。消化を促進することで、腸内で食べたものが腐敗するのを防ぐ効果も。豊富なクエン酸は汗のニオイの抑制に役立つ。緑茶と一緒に摂れば口臭・体臭ともに予防効果アップ。
制汗剤の付け方のポイント
女性セブンでは仕事柄、汗をかけない”クール美女”5人に制汗対策について調査。その中から制汗剤の使い方についてまとめて紹介する。
「スティックタイプは肌に密着するので、汗やにおいを防ぐ効果が高い気がします」(モデル・倉橋沙由梨さん)
「スティックやロールタイプは肌により密着します。特に“汗の腺にフタをする”という効能を謳っているものが汗を止める効果は高いですね」(医師の山屋雅美さん)
「就寝中も汗をかくので寝る前のきれいな状態でつけます。朝につけるよりわき汗を抑えられ、においも気になりません」(キャスター・椎名真帆さん)
ボトックス注射
プチ整形として、眉間やおでこ、目尻などのしわ取りのために打つイメージがあるボトックス注射。これは、筋肉を収縮させる神経伝達を抑制するボトックス(ボツリヌストキシン)を注射するもので、部位によってさまざまな効果が期待できるそう。
「わきにボトックス注射をすると多汗症対策になります。わきの筋肉が動かないようになれば、汗の分泌も抑えられます。すると、ワキガのリスクも格段に下がる」と、アサミ美容外科の総院長・浅見善康さん。
ボトックス注射は、“プチ整形”としては最も手軽な部類。5~10分で完了し、価格も数万円からだという。
口臭の対策
舌をきれいに保つ
花王でオーラルケア研究に携わってきた屋納研究員は、特に40代を過ぎると、口臭のニオイの原因のひとつになる「スカトール」という物質が増え、一気に不快度があがってくると語る。「スカトール」はいわゆるオナラなどと同じ成分で、舌の上に存在する菌が固まりをつくることによって、スカトールができ、不快な臭いが増長されるとのこと。
舌みがきの方法については、中城さんが教えてくれた。
「食事をした直後の口臭には舌みがきが有効です。ただし、市販の舌みがきブラシなどの中には、舌にダメージを与えるものもある。おすすめなのは、ガーゼを使うやり方。人差し指と中指にガーゼを巻きつけ、舌の奥から手前に向けて1~2分ほどやさしく滑らせるように舌苔をかき取るのがいい」(中城さん)
毒出しうがいで口臭の原因対策
正しくうがいをすれば、虫歯や歯周病、口臭はもちろん、誤嚥性肺炎や糖尿病、認知症などの予防・改善につながるという。
すすぎが不充分で、口の中に食べかすなどの汚れが残っていれば、これをエサにバイ菌が繁殖。体に悪さをする原因のプラーク(歯垢)ができ、虫歯や歯周病になってしまう。そこで、歯学博士の照山裕子さんはプラークの元になる、食べかすやバイ菌を“毒”と考え、しっかり排出するためのメソッドを考案し、「毒出しうがい」と命名した。
「口の中を上下左右の4か所に分け、1か所ずつ、水を強く速く動かして洗浄します。このとき、口に含む水は、1回につき約30mlくらいが適量で、おちょこで1杯分くらいが目安です。多すぎると口を力強く動かせなくなり、少なすぎると水圧がうまくかからず、洗浄効果が低くなります」(照山さん)
適量の水を含んだら、口をしっかり閉じて10回クチュクチュと大きな音を立ててうがいを行い、水を吐き出し、次のところに移る。このとき、ゆっくり行うと歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に食べかすなどが残ってしまうので、できるだけ速く行うことが大切だ。
音が大きいほど洗浄効果は高くなる。さらに、フロスで歯間掃除をした後に行えば、水の通りはさらによくなる。
口臭を防ぐ食べ物
■ヨーグルト
乳脂肪は、数少ない「ニオわない動物性脂肪」とされ、口や腸の中でニオイをキャッチして血中での再吸収を防いでくれる。特に「ロイテリ菌」「カゼイ菌」入りのものは効果が高い。飲み会前にのむヨーグルトでうがいをしておくと口臭予防になる。
足の臭い対策
汗をかきづらい靴を選ぶ
足の蒸れ、臭いが気になるときは、靴の選び方が正しくない可能性がある。FHA認定上級シューフィッターの中村浩幸さんによると、安定した歩行、快適な歩行のできない靴を履いていると、足が動きやすくなるため足裏に汗をかきやすくなり、それが蒸れやにおいの原因になるという。
そこで、中村さんが教える、靴選びのポイントは下の5点。
【1】かかとと甲、ボール部(親指の付け根から小指の付け根のまでの部分)でのしっかりした押さえがあるデザイン
【2】インソールが足裏に合っていて、足を下から支えるような形状になっているもの
【3】アッパーの素材は革で足によくなじむもの
【4】ソールはクッション性と安定性があるもの、接地面はグリップ力がある素材で接地面積が広い、ミッドソールはポリウレタンやEVA(発泡ウレタン)のような軽量でクッション性(もしくは安定性)があるもの
【5】インソールやライニングは汗をかきやすいので吸湿性のある素材で磨耗に強いもの
さらに、臭いを予防するための靴のケアも教えてくれた。
「同じ靴を連続で履かないことをおすすめします。1回履いたら除菌スプレーでケア、十分に陰干しするといいでしょう」(中村さん)
制汗剤を使うポイント
「制汗剤は、古代から天然の消臭剤として、人々に愛用されてきたミョウバン由来のものがおすすめです」と五味さん。
ミョウバンには、においの元となる雑菌の繁殖を抑制する効果と、毛穴を引き締めて汗を抑える効果があるという。
「制汗剤は、お出かけ前にしっかりと塗るようにしましょう。足の裏は、足の甲の3倍の汗をかくので、指だけではなく足の裏にもしっかりと塗ることが大切です。制汗剤を塗っていることで安心感が得られ、精神性発汗の抑制も期待できます」(五味さん)
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