血糖値が高いと、肥満体型になりやすいだけでなく、糖尿病など生活習慣病のリスクも高くなる。
ダイエットだけでなく、健康面でも血糖値を上手にコントロールしていくために必要なのは、食事を変えることだ。そう教えてくれたのは、肥満を根本から改善すべく、日々患者に血糖値コントロールなどの指導をしているダイエット専門医で『高血糖の9割は早歩きだけで治る!』(宝島社)の著書がある工藤孝文さんだ。
カギを握る食事をするタイミング
血糖値を適正にコントロールするためには、食事において何に注意すべきか。まず食べる前に意識してほしいのが、「今、本当にお腹が空いているのか?」だ。
「ダイエット外来の患者さんの中には、起床後やランチタイムなど3度の食事のタイミングになったら『お腹は空いてないけどとりあえず食べる』というかたがとても多い。また、ストレスが溜まっているとき、疲れているときにスナック菓子などや甘い物を手あたり次第食べてしまうというかたもいらっしゃいます。はたまた、出されたものを『悪いから』『もったいないから』と無理してでも完食したり。要は、必要以上に食べているのです。こうした食事が肥満の原因になります」
◆空腹を感じたときに食べる
食べるべきタイミングは、その時刻が訪れたら、ではなく、空腹でお腹がグ~ッと鳴ったときがベストだ。朝遅い時間に起きてブランチをとったのに13時にまたランチを食べて出かける…といったことはただちにやめるべき。また、食事中も、満腹になっているのに「残さず食べなければ」と無理に食べ続けるのも控えたい。可能なら、自分で食べられそうな量、あるいは少量ずつ自分の皿に盛りつけて食べるようにしたい。
低カロリーの食事で満足できる味覚に
もちろん量だけでなく、質を意識することも重要だ。具体的には、味覚を変えることだ。
「こってり系が好きなかたは、カロリー過多な傾向にあります。その習慣を改善するには、味の嗜好を変えること。手っ取り早いのは、うま味成分がはいったものを食べるようにすることです。例えば、食事の最初に、一杯の出汁を飲むのも有効です。昆布茶やお吸い物でもOK。これらは低カロリーなうえ、うま味が強くて、思った以上に満足感を得られるんです。それを続けることによって、こってり系が好きなかたでも味覚がリセットされ、低カロリーな薄味を好むようになります」
◆食事の最初にまず出汁を飲む
これらに含まれるうま味成分には、ホルモン分泌の調整やストレス解消の効果も期待できるという。ストレスが溜まってドカ食いしそうな日こそ、食事の最初に出汁を飲んで、落ち着かせたいものだ。
筋肉を増やすための食べる順番
なお、ひところ、食事の最初に野菜を摂取する「ベジファースト」も一部で推奨されているが、工藤さんは「筋肉を増やすことを考えると、万人にはおすすめできない」という。
「食の細いかたは、野菜で満腹になってしまい、筋肉を作るたんぱく質の摂取量が減ってしまう」というのが理由だ。こってり系が好きな人は出汁から飲み、そのあとはたんぱく質を豊富に含む肉や卵、乳製品などの動物性たんぱく質を摂るとよいという。
◆ベジファーストではなく肉から食べる
「大豆製品や豆腐などの植物性たんぱく質は吸収率が70~80%なのに対し、動物性たんぱく質は吸収率が90%以上と、より効率的にたんぱく質を取り込めます。また、満腹感を高める点でも、肉の方が、小腸から分泌されるインクレチンという満腹感をもたらすホルモンの分泌が早いんです」
出汁、肉などのたんぱく質、そして野菜を食べ、最後にご飯や麺類などの炭水化物を摂る。その主食も、腹八分目で箸を置くか、少量で済むように野菜を多めに食べるようにしたい。