女性は40歳代前半頃から閉経を迎える人が出始め、遅い人でも50歳台後半頃には月経が停止することが多い。
一般的に「更年期」と呼ばれているのが、この閉経前後それぞれ5年間、合計10年間のこと。この時期は女性ホルモンの分泌量の変化に伴い、不調を感じる人が増える。
最近の不調ってもしかして更年期のせい…? いわゆる更年期の症状と言われるものに思い当たる節はあるけれど、年齢によるものだから仕方ない、とあきらめている人は、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」薬剤師の清水みゆきさんが教える更年期症状への対策をチェック。
「財団法人女性労働協会が平成15年に実施した『女性労働者調査』によると、更年期には『顔がほてったり、汗をかきやすい』という症状を感じるかたが最も多いといいます。この、ほてりや汗、のぼせと言った症状はホットフラッシュと呼ばれており、服が汗で濡れる、顔が赤くなっているのが周囲からわかってしまう、など、日常生活に支障が出ることがあるため、悩んでいる女性が多いです。そんなかたにおすすめなのが漢方です。健康的な食事や運動を毎日続けるのは苦手というかたも、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日のむだけなので、手間なく気軽に継続できますよ」(清水さん)
第2回のテーマは「更年期のホットフラッシュ」。月経が不順になった頃から、何の前触れもなく突然顔がカァーッと熱くなるようになった、冷房の効いた室内でも自分だけが汗をかいている、このような症状があると更年期のせいだと疑っていいという。
更年期のホットフラッシュを引き起こす原因と、根本から改善するための方法を知り、快適に過ごすために役立てて。以下、清水さんによる解説だ。
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更年期のホットフラッシュの原因とは?
更年期になると女性ホルモンの分泌が急激に低下し、ホルモンバランスが乱れやすくなります。すると、体温や汗を調節する自律神経が不安定になり、急なほてりやのぼせ、発汗といったホットフラッシュの症状を引き起こしてしまいます。 また、首から上は熱いのに手足は冷たいという“冷えのぼせ”も、更年期のホットフラッシュによく見られます。
また、肥満気味の更年期女性が減量することで、ホットフラッシュの症状が改善することが報告されています。もし、のぼせやほてり、大量の汗だけでなく、肥満や体重増加が気になっていたら、積極的にダイエットをすることでホットフラッシュの症状改善も期待できます。
すぐにできる!更年期のホットフラッシュの改善法
更年期のホットフラッシュの症状によって、精神的にしんどくなったり、ダイエットに集中できないということがないように、自宅で簡単にできる方法で改善していきましょう。
◆ほてるからといって冷やすのは厳禁!
のぼせや発汗の対策として逆効果では?と感じるかもしれませんが、ウォーキングやヨガなど無理のない運動や、お風呂で体を温めるのがおすすめ。下半身の冷えを改善することで、冷えによるのぼせを防ぐことがホットフラッシュの予防に効果的です。代謝がアップするので、ダイエットにもつながりますね。
ただし、激しい運動を行うと、かえってホットフラッシュが出やすくなる可能性があるので気をつけてください。
◆大豆でホットフラッシュを改善
豆腐や豆乳などの大豆製品に含まれるイソフラボンという成分が、ホットフラッシュの症状をやわらげると言われています。それは、腸内細菌が大豆の「イソフラボン」から、女性ホルモンの「エストロゲン」とよく似た「エクオール」という物質を作り出しているからです。
しかし、日本人の2人に1人は、体質的にエクオールを作ることができないと言われています。その場合は、エクオールをサプリメントとして補充することでホットフラッシュの症状の改善が期待できます。
◆ホットフラッシュを改善するツボ押し
ほてりやのぼせを鎮める効果があるツボもあります。ツボ押しはテレビを見ながらでもできるので、気軽にやってみてください。
◆三陰交(さんいんこう)
くるぶしの内側の一番高い場所から指4本分上に上がったところの骨と筋肉の境目のあたりを刺激します。
◆太衝(たいしょう)
足の甲側の親指と人さし指の骨が交わるV字のくぼみを刺激します。
◆神門(しんもん)
手のひら側(内側)の手首にある小指よりの端にあるくぼみを親指で刺激します。
◆病院でホットフラッシュの治療を受ける
ホットフラッシュ対策で効果を感じることができなかった人や、運動やツボ押しを継続するのが面倒という人は、ホットフラッシュの代表的な治療法「ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)」を受けるというのも一手です。これは婦人科や産婦人科、内科で受けることができます。
ホルモン補充療法は、不足しているエストロゲンを飲み薬や貼り薬、塗り薬などで補うことで、ホルモンバランスの乱れをやわらげ、閉経したあとのホルモン状態にスムーズに体を合わせていく治療方法です。ホットフラッシュには特に効果的で、薬を始めて数日で効果を実感する人もいるほどの即効性も期待できます。
ただし、 不正出血、乳房がはる・痛む、吐き気などの副作用やまれに血栓症を起こすリスクがあるので医師の管理下の治療が必要です。
◆漢方薬で体の巡りを改善
漢方薬は天然の植物や動物由来の生薬で作られており、「強制的に汗をとめる、ほてりやのぼせをおさえる」のではなく、「ホットフラッシュの症状の原因を解消する」ことを目指すものです。症状の緩和と根本的な不調改善を目的としています。
漢方医学では、更年期には気(生命エネルギー)や血(血液)巡りが悪くなることで、体に不要な熱が生まれ、ほてりやのぼせ、急な汗といった症状(ホットフラッシュ)が生じると考えられています。
漢方は、この気血の乱れを改善して自律神経のバランスを整えたり、自然治癒力を高めることで、根本的な解決(体質改善)を目指すものです。また、漢方とホルモン補充療法をあわせて使われることもあります。
漢方薬は、西洋薬の使用量はできるだけ減らしたいというかたでも取り入れやすく、のむだけでいいという点も継続しやすいポイントです。ホットフラッシュの症状や体質は人によって異なりますので、ひとりひとりに適したものを取り入れるようにしましょう。
ホットフラッシュに悩むかたにおすすめの漢方
【加味逍遙散(かみしょうようさん) 】
乱れた気のバランスや血の巡りをよくして、体にこもった過剰の熱をおさえ、精神の興奮やのぼせなど上半身の熱を冷まします。ホットフラッシュに伴うイライラをやわらげる効果も期待できます。
【桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)】
血の滞りを解消して血行をよくする漢方薬です。熱バランスを改善し、“冷えのぼせ”の改善が期待できます。
【桃核承気湯(とうかくじょうきとう)】
血の巡りをよくして体にこもった熱を取り除き、ほてりやのぼせに効果があります。便通も改善します。
過去には、暑くもないのに急に汗がたくさんでたり、顔がのぼせたりするようになって、化粧くずれが気になり営業の仕事にも支障をきたすようになったという48歳の女性のお客さまもいらっしゃいましたが、漢方薬をのみ始めて1か月ほどでのぼせや汗が気にならなくなり、さらに便秘も改善したという事例もありました。
自分に合った漢方薬が知りたい、コスパよく漢方をのんでみたい、というかたには、AI(人工知能)と漢方のプロフェッショナルが症状に合った漢方を見つけ出し、効く漢方を自宅に届ける「オンラインAI漢方」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
更年期のホットフラッシュは自分にあった方法で改善を
「暑くもないのに、たくさんの汗をかいてパジャマもびっしょり、おかげでぐっすり眠れない」「突然、顔がかーっと真っ赤にほてって恥ずかしい。仕事にも集中できなくて困る」 など、更年期が原因の自律神経の乱れが引き起こすホットフラッシュの症状。長い人は10年も悩まされる更年期症状だからこそ、年齢や体質のせいだからとあきらめる必要はありません。
食事や生活習慣に改善方法を取り入れたり、治療や漢方を試して、ホットフラッシュの症状を改善していきましょう。気になる不調から解放されることで、イキイキと毎日を過ごすことができますよ。
教えてくれた人:清水みゆきさん
しみず・みゆき。漢方薬・生薬認定薬剤師。JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康つくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。現在は「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」の薬剤師として働きながら、漢方やハーブの通信講座の運営や、セミナー講師としても活動中。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)
https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
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