寒い冬が近づいてきている。今年の冬はコロナの影響もあり、風通しのある場所で過ごす時間も増えそうだ。そんな時代に活躍が期待されるのが“持ち運びできる暖房器具”だ。そこで、今回は電熱ヒーターを内蔵したマフラーの開発物語をお送りする。
細かな温度調節で快適な暖かさ
2020年9月、充電式の電熱ヒーターを内蔵する『ヒートマフラー』がドウシシャから発売された。同商品は、スイッチをONにするとすぐに発熱。本体は、身につけたときに気にならないスリムサイズ(70g)のモバイルバッテリーを搭載している。また、均一なヒーティング技術と細かな温度調整で、快適な暖かさを保つことができる。
開発が始まったのは、2018年夏。この頃、夏物家電・雑貨として、持ち運べる充電式扇風機・ハンディファンが市場に認知され始めていた。それをきっかけに同社は、冬にも持ち運べて身につけられる暖房機があったら需要があるのではないかと考えた。その視点で充電式扇風器具市場を観察していると、気がつくことがあった。それは「ハンディ」から「ハンズフリー」へのシフトだ。
◆身につけられるマフラー化を目指した
充電式扇風機の存在がメジャーになるにつれ、メインのアイテムは、手に持つハンディタイプから首にかけることで手をふさがずに使用できるハンズフリータイプのものになっていったのだ。そこで、『ヒートマフラー』の開発に際しても、家電としての暖房器具よりも、身につけられるマフラーを製品化することにした。こうして2019年に発売されたのが、本商品の前身となった『ウェアラブルヒーター』だ。
『ヒートマフラー』の発売を目指して、生地や使い勝手などレベルアップを図るための検討が重ねられたが、開発が本格化する冬場、新型コロナウイルスが発生。従来のように打ち合わせや会議をすることができなくなってしまった。テレビ会議を駆使して開発を進めたものの、指示がうまく伝わらないことが多々あった。特に、生地の質感や色については、実際にモノを見て確認する必要があったため、想像以上の手間がかかった。スタッフは現地・現場・現物がもっともスムーズに事が進むことを痛感させられた。
快適な3段階の温度設定を実現
『ヒートマフラー』 は、3段階の温度設定が可能で、外出時は「強」、少し暖まったら「中」、室内では「弱」などと、状況に合わせて使い分けできるようになっている。快適な温度設定を実現するため、多くの社員やその家族に使用してもらい、さまざまなシチュエーションを想定して、いまの温度設定にたどり着いた。
◆ベストやブランケットもラインアップ
ヒーター内蔵のマフラーというと、不自然なデザインなのではと考えるかもしれないが、そうではない。従来のマフラーのように使ってほしいという思いで、ヒーターの電源スイッチを正面から見えない仕様にし、ランプなどは悪目立ちしないようにした。
『ヒートマフラー』は暖かさをまとうブランド『ONVEIL』の商品だが、ほかにも『ヒートベスト』や『ヒートブランケット』がラインアップされ、こちらも街になじむデザインとなっている。「“身につける暖房”がスタンダードな世の中になるよう、よりスマートで使いやすいモノ作りをしていきたい」と担当者は意気込みを見せている。
【DATA】
色はブラック、グレージュ、マスタード、ボルドーの4色。約長さ80×幅10×厚さ1cm(本体のみ)。6980円。ドウシシャ
※女性セブン2020年11月19日号
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