冬は手足から全身まで冷える季節。言わずもがな、冷えは万病のもと。冷えを防ぐには手足から全身までをしっかり温めるのが一番だが、食事で体の内側から温めるのも有効。『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)の著書がある管理栄養士でインナービューティープランナーの木下あおいさんにその方法を聞いてみた。
噛めば噛むほど体が温まる理由
「冷えによって免疫力が低下し、感染症などにかかりやすくなります。だるさ、下痢、月経不順、不眠、頭痛などの不調も招きます。さらには、全身の新陳代謝が悪くなることで、抜け毛、白髪、肌の乾燥やくすみ、肥満などの原因にも。総じて、冷えは女性の大敵といえます」(木下さん・以下同)
◆1回に噛む回数は30回以上が理想的
食事から冷えを防ぐには、当然ながら冷たいものを摂らないこと、しょうがなど体を芯から温める物を食べること。そしてもう1つ、「よく噛むこと」が大事だという。
「食事をすると、なぜか体温が上がり体がポカポカしてきませんか? これは食事で吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費され、代謝が上がるからです。そしてこの一連の働きは、噛めば噛むほど活発になるといわれています。つまり、よく噛むことで、体は自然と温かくなっていくのです」
1回に噛む回数は30回以上が理想だといわれている。一度口にものを入れたら、箸を置いて30回噛むようにしたい。
「噛む」習慣で得られる3つのメリット
他にも、「噛む」ことで得られるメリットは多いという。
【1】肥満の防止
「よく噛むことで食後の血糖値上昇が抑えられ、肥満の防止になります。実際にちゃんと噛んで食べている人の方が、2型糖尿病やメタボの発症リスクが低いとされています」と、木下さん。
また、ひと口につき何度も何度も噛むことで、自然と食事のスピードは落ちる。その結果、食事の途中で満腹中枢が刺激され、食欲も自然と抑えられ過食も防げる。
【2】アンチエイジング
よく噛むことで、美容効果も期待できるという。
「噛むことで咀嚼筋や表情筋が鍛えられ、たるみやシワの予防にも。さらに若返りホルモンの1つとされるパロチンが咀嚼で分泌されます。パロチンは、歯や骨を丈夫にすることで知られていますが、実はシミやシワを防ぐ効果も期待できるそうです」
おすすめの“噛める食材”は?
よく噛む習慣をつけるには、主食には柔らかいパスタやうどんより、玄米など噛み応えのあるものを選ぶとよいだろう。おやつも、ケーキなどの柔らかいものよりも、ナッツ類や小魚、あたりめなど、噛める食材をとり入れたい。
◆ナッツ類は“噛める”スーパーフード
「ナッツ類は近年スーパーフードと言われるほど美容に効果的とされていますが、よく噛むことができるのも特徴です。小魚や塩が無添加の干しえび、あたりめなどは、不足しがちなカルシウムや鉄なども摂取できて一挙両得。甘みがほしければ、お好みのハーブティーのティーバッグを2つ同時に使い、濃厚に飲んではいかがでしょうか。シナモンや天然の甘み、リコリス、ステビア、オレンジピールなどがはいっていると甘みが強く感じられておすすめですよ」
冷えだけでなく、肥満防止やアンチエイジングにもつながる「噛む習慣」。早速今日から始めよう。
著書『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)には、他にも肥満防止やアンチエイジングが期待できるメニューのレシピが多数紹介。気になる人は参考にしてみてはどうだろうか。
教えてくれたのは:木下あおいさん
管理栄養士。社団法人日本インナービューティーダイエット協会理事長。都内で、インナービューティーダイエット専門の料理教室を主宰し、インナービューティープランナーとして、腸内環境を整え内側からキレイになる美容食を提案している。
●アンチエイジングの第一人者が実践する「機能性おやつ」の食べ方|間食は美容やストレス回避にも効果的!