イライラや夜になると不安になり眠れないなどの精神的な症状や、小児の夜泣きは漢方で解決できるかもしれません。
薬剤師の道川佳苗さんによると、漢方薬の「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」は、神経が高ぶることによる症状に広く用いられる漢方薬とのこと。
そこで、どんな体質の人に合う漢方薬なのか、どんな効果があるのか詳しく解説してもらいました。
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抑肝散加陳皮半夏ってどんな漢方薬?
◆抑肝散加陳皮半夏はこんな方におすすめ
抑肝散加陳皮半夏は、下記のような体質の人に合う漢方薬です。
□イライラする
□お腹が張って食欲がない
□胃腸が弱い
□夜になると不安感で眠れない
□ヒステリーを起こすことがある
抑肝散加陳皮半夏は、体力はあまりなく、胃腸が弱い人に向く漢方薬です。漢方では、精神的ストレスを受け止める働きのある「肝」がストレスなどにより高ぶると、怒りやイライラが現れるとされます。
「抑肝散」という漢方薬はこの「肝」の高ぶりを抑えることから名付けられた漢方薬で、半夏(はんげ)と陳皮(ちんぴ)という胃腸を整える生薬が加わった抑肝散加陳皮半夏は、胃腸が弱い人に適しています。
◆抑肝散加陳皮半夏を不調改善に活用できた人の実際の事例
30代後半の女性の事例です。36歳で高齢出産をしたかたで、慣れない育児と仕事との両立でイライラすることが増えてしまったとのことです。
夫に当たることも増えて、家庭内が険悪な雰囲気になることもしばしばあったようでした。疲れているのに、夜になると育児や家庭のことを考えてしまうため、不安感に襲われ寝付きが悪く、疲れが取れず、食欲もない日々を過ごしていました。
抑肝散加陳皮半夏をのみ始めて、まず2週間くらいで気持ちが穏やかになったと感じたとのことでした。イライラして夫に当たることも減ったそうです。徐々に夜もしっかり眠れるようになったそうで、食欲も戻ってきて心身ともに元気を取り戻されました。
イライラや不安感に伴う不眠などの症状に、抑肝散加陳皮半夏の効果がしっかり出た事例です。
◆抑肝散加陳皮半夏に含まれる生薬
抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散という漢方薬に水分代謝や気の巡りを改善する「陳皮」と「半夏」が加えられた処方です。
抑肝散には、精神を安定化する、「柴胡(さいこ)」、「釣藤鈎(ちょうとうこう)」、血液を補給する「当帰(とうき)」、「川芎(せんきゅう)」、胃の内部に溜まった水分を排出する「白朮(びゃくじゅつ)または蒼朮(そうじゅつ)」、「茯苓(ぶくりょう)」、消化器を保護する「甘草(かんぞう)」が含まれています。
漢方薬ってそもそもどんなもの?
漢方薬は複数の生薬を組み合わせた医薬品で、さまざまな症状への効果と安全性が認められています。例えば、今回の抑肝散加陳皮半夏は神経症、不眠症、小児の夜泣きなど、幅広い症状に効果が認められています。
また、漢方薬は症状を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。そして、一つの症状だけでなく複数の症状を改善することが期待できます。
さらに、漢方のメリットとしては、症状や体質に合ったものを毎日のむだけでよいので、簡単に生活に取り入れることができる点があります。栄養バランスのよい食事を毎日作ったり、頑張って運動をしたりするのは苦手という人でも手間なく続けることができます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は自然由来の生薬を組み合わせた薬ではありますが、自身に合わないものを服用すると、効果がないだけでなく副作用が起きる場合もあります。副作用を未然に防ぎ、しっかりと効果を得るためには体質に合った漢方薬をのむことが大切です。漢方薬の購入はドラッグストア、漢方クリニック、漢方薬局などで可能ですが、医師や薬剤師に相談して選ぶのが安心です。
近くに漢方について相談できる場所がないという人には、AI(人工知能)と漢方のプロフェッショナルが効く漢方薬を見極めて、手頃な価格で自宅まで配送する「オンライン個別相談・AI漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
イライラや不眠で悩む人は漢方薬を試してみて
胃腸を整え、精神の安定化に働く抑肝散加陳皮半夏は、以下のような症状のある人におすすめの漢方薬です。
・イライラしやすい
・お腹が張って食欲がない
・夜になると不安になり眠れない
現代は忙しいストレス社会です。西洋薬や同様の効果が期待できる抑肝散に比べて、胃腸が弱い人でものみやすい抑肝散加陳皮半夏は日々の助けになってくれるはず。イライラや不眠でお悩みのかたはぜひ試してみてくださいね。
教えてくれたのは:薬剤師・道川佳苗さん
みちかわ・かなえ。漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校で調理技術、栄養学を学ぶ。現在はweb上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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