「髪にはわかめがイイ!」のように、美髪のため、白髪ケアのための食生活について聞いたことがある人も多いと思います。でも実際に、髪のためにわかめを毎日のように食べるというのは非現実的ですし、そもそもわかめが効くのか保証もありません。
では、大人の女性を取り巻く白髪や薄毛のケアにはどんな生活を送るのが正解なのか、毛髪診断士の資格も持つ美容ジャーナリスト・伊熊奈美さんの著書『いい白髪ケア、やばい白髪ケア 頭皮がしみる、かゆいは危険信号!』(小学館)から学びましょう。
サプリもあり!髪に必要な4大栄養素とは?
健康な体作りには、食生活や睡眠、運動などが大事とされているように、髪だってそれらが影響大。でも具体的にどんな内容の生活が髪にいいのか、伊熊さんが本の中で教えてくれています。栄養面で言えば、今はサプリメントもさまざまなものが出ているそうです。
たんぱく質
髪の8割はケラチンタンパク質というたんぱく質からできています。食事で摂取したたんぱく質は、体内でバラバラのアミノ酸になり、髪のために再合成されてケラチンタンパク質になります。
亜鉛
アミノ酸からケラチンタンパク質を再合成するには、ミネラルが不可欠。亜鉛は髪を生み出すような細胞分裂の盛んなところには必須のミネラルです。
鉄分
髪は「血余(けつよ)」といわれるとおり、血液と血流が重要。その血液を作るのに欠かせないミネラルが鉄分です。
ビタミンC・B群類
ケラチンタンパク質の再合成に関わって、亜鉛の働きをサポート。特にビタミンB7のビオチンは、白髪や脱毛に関わるといわれています。ビタミンCは抗酸化成分。直接髪に働きかけるというより、細胞を健全に保つ役割を持ちます。
「要は、たんぱく質をケラチンタンパク質に再合成して、毛包まで届けるために必要な栄養を摂る、それが健康的な髪を作る食生活です。毎日の食事で過不足なく摂るのは大変という人には、これらの栄養素がひと通り入っている髪のためのサプリもあります」(伊熊さん・以下同)
運動・睡眠・ストレス対策も肝心!
「2020年に化粧品メーカーのポーラは運動習慣のある人は運動不足の人と比較すると、肌のバリア機能が高いという調査結果を発表しました。ということは、ヘアカラーの刺激にも強い可能性があるとも考えられます。適度な運動を習慣化させて、体はもちろん、肌(頭皮)も元気にしたいところです。
髪を丈夫にして頭皮も健やかに保つ成長ホルモンや、夜になると眠りへ誘うホルモン、メラトニンの分泌も重要です。残念ながら、成長ホルモンもメラトニンも加齢によって分泌は減少します。朝は明るくなったら起き、寝る直前にはスマホやPCなどを避けて自然に眠りについて、できるかぎり良質な睡眠をとるよう心がけましょう。
毛髪治療と栄養バランスに詳しい医師も、髪の黒色を作り出すのに大切な色素細胞メラノサイトはストレスに弱い印象があるといいます」
シャンプーで洗うのは髪ではなく頭皮!「正しい洗い方」とは?
「シャンプーは何を使うかよりも、どう使うかが重要」と伊熊さん。シャンプーにかける時間は髪の長さに関係なく「予洗い1分、シャンプー1分+α、すすぎ1分」が目安だとそうです。つまり予洗いとすすぎにはシャンプーと同じくらいの時間をかける必要があるということです。
予洗いは頭皮の隅々までお湯を通すことが目的
【1】ある程度流したら、シャワーをフックから外す
濡らす前にはブラッシングで髪のもつれをといておく。額からシャワーのお湯を浴び、ある程度しっかり濡らしたらシャワーをフックから外して髪の内側までしっかり予洗いをする。
【2】うつむくor髪をめくって「タプタプ」する
草むらをかき分けるように手で地肌を出し、シャワーヘッドで襟足側から前に向かって流すようにすると、後頭部の地肌にもしっかりお湯が行き渡ります。
うつむいて流すのが苦手なら、上を向いたままで後頭部の髪をめくり上げ、シャワーヘッドを襟足から頭皮にあててタプタプ。少し上に移動してまた髪をめくり上げてシャワーヘッドでタプタプ。仕上げにいろいろな方向から地肌に直接お湯があたるように、至近距離からお湯をかけます。
シャンプーはTゾーンから洗い始めてまんべんなく泡で頭皮マッサージ
【1】シャンプー剤は後頭部からつける
洗顔のように手のひらで泡立ててしまうと、髪にのせたときの洗浄力が失速するので、シャンプーは手のひらでモコモコに泡立てる必要なし。
シャンプーを両手のひらにのばしたら、片方の手の指で後ろの髪めくって、頭頂の少し後ろの後頭部からつけるのがおすすめ。後頭部の地肌→頭頂→はえ際の中央にタッチし、もう片方の手についている分はサイドの生え際や襟足の上につけます。
【2】泡でまんべんなく触れて頭皮マッサージ
頭皮のTゾーンは、額のあたりの生え際と、頭頂から後頭部にかけての縦ライン。頭皮も顔同様強くこする必要はありません。手のひらをパーにして、耳上から頭皮ごと動かしながらTゾーンの縦ラインで両方の指を出合わせて、挟み撃ちにします。後頭部は頭頂に向かって引き上げるように動かして。
【3】頭皮をもみ洗い
指の腹で頭皮を左右から寄せるようにしてもみ洗いします。
【4】指を滑らせて毛先に泡を通す
髪の内側に指を通し、根元から毛先へと指で泡を移動させるのを2~3回繰り返す。
【5】+αの30秒放置する
泡がすみずみまで行き渡って、不要な皮脂を分解してくれるのを待つ、+αの時間をとります。
・すすぎはシャンプーの中で最も重要!
「シャワーをあてながら、前から後ろからと髪の根元の全方位からしっかりとお湯を通して、泡と汚れを洗い流しましょう。シャワーをあてる角度を変えながら1分のすすぎを死守するようにします」
伊熊さんの著書『いい白髪ケア、やばい白髪ケア: 頭皮がしみる、かゆいは危険信号!』は、他にもおしゃれなグレイヘアのコツやおすすめの頭皮ケア方法など、正しい白髪ケアを知るきっかけになる情報が目白押しです。
教えてくれたのは:美容ジャーナリスト・伊熊奈美さん
1972年静岡県浜松市生まれ。日本毛髪科学協会毛髪診断士・認定講師、国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士の資格も保持する。地元タウン誌の編集記者、女性誌編集部の美容担当などを経て独立。以来20年以上、「女性のリアルな生活に活かせること」をモットーに、スキンケア、ヘアメイクなど、見た目づくりから医療分野まで幅広く企画・取材。http://hairista.jp/