コロナ禍になって2度目の夏がまもなくやってきます。夏休みは、溜まった心の疲れをリセットしに旅へかけませんか?
今回は、旅行ジャーナリストの村田和子が厳選した「この夏行きたい、おすすめの癒しスポット」をお届けします。動物、絶景、アート、あなたはどれがお好み?
* * *
ウサギと瀬戸内の景色に癒される~大久野島(広島県)
美しい瀬戸内の絶景を楽しみながら訪れることができるのが、広島県の大久野島。
島といっても、忠海港(JR忠海駅下車)からはフェリーで約15分。三原港(山陽新幹線三原駅下車)からも高速艇ラビットライン(※土日祝日限定、8月11日まで運休中)が出ていて、日帰りで訪れることができる瀬戸内海国立公園に浮かぶ小さな島です。
エサをねだるうさぎが愛らしい
ここで出迎えてくれるのが…うさぎたち! どこからともなくかけ寄ってきて、エサをねだる姿は愛らしく、自分が人気者になったようで(エサが目的とわかりつつも)、無性に愛おしく感じます。
おっかけっこをしたり、昼寝をしたり。のんびりと寛ぐうさぎたちの様子は、見ているだけでリラックスし、癒されます。そして、目を上げれば瀬戸内海と空のブルーが広がる幸せ。
「地図から消された島」という負の歴史も
のどかな大久野島ですが、実は「地図から消された島」という負の歴史も持っています。現在も戦跡が残り、廃墟となった建物と無邪気なうさぎたちのコントラストは、不思議な世界観を醸し出します。
島の周囲は、4kmほど。周遊できる道があるので、レンタサイクル(休暇村大久野島で貸し出し)で回るのが私のおすすめです。
時間に余裕があれば休暇村大久野島への宿泊や竜王山もおすすめ
日帰りでも楽しめますが、時間に余裕があれば休暇村大久野島への宿泊も検討してみては? 刻一刻と変わる瀬戸内の景色は素晴らしく、うさぎたちとも存分に触れ合えます。
島へわたる本州の玄関口のからは、竹原、尾道、福山など観光地へのアクセスがいいので、足を延ばすのもいいでしょう。その際は、大久野島への船、一帯のJRなどが2日間利用できるsetowa広島イーストパス(2900円・税込、以下同)が便利です。
また、瀬戸内海の多島美を楽しむなら、竜王山・筆影山もおすすめ。三原駅から竜王山・筆影山への観光タクシーが出ているので、気軽に訪れることができます(2時間1500円)。
【DATA】
■大久野島(広島県)
住所:〒729-2311 広島県竹原市忠海町大久野島
ひろしま竹原観光ナビ:https://www.takeharakankou.jp/spot/4304
■setowa広島イーストパス(JR西日本)
https://www.jr-odekake.net/navi/setowa/
一生に一度は見たい。期間限定!トマムの雲海テラス(北海道)
2006年のオープンから120万人以上が訪れたという人気スポットが、北海道トマムにある雲海テラス。早朝、ゴンドラへ乗り込み山頂へ。見事な雲海を目にしたときの感動は、何年たっても忘れられないほど。間違いなく一生に一度は見ておきたい絶景です。
実は雲海テラスは、毎年新たな魅力あるスポットが誕生し、進化を続けています。
雲海テラスがリニューアル
今年8月4日には、雲海テラスがリニューアル。宙へとせり出したデッキが増設され、雲の上に乗っているかのような浮遊感が味わえるといいます。
早朝にもかかわらずゴンドラに行列ができる日もあります。それでも、訪日外国人がいない今は、ねらい目。ゴンドラに乗り山頂駅に降り立てば、広い敷地に施設が点在しているので、比較的ゆっくりと過ごすことができます。朝の空中散歩を存分に楽しんだら「雲Cafe」でひと休み。
無料開放されている広大なファームエリアも
山を下りたら、約100ヘクタールという広大なファームエリアへもぜひ立ち寄りましょう。
ファームは無料で開放されているので、のんびりと散策するのにおすすめ。動物と触れ合うアクティビティ(一部有料)や、採れたての牛乳やソフトクリームなども楽しめます。
雲海テラスやファームエリアは、日帰りでの利用もOK。朝早いのが心配というかたは、敷地内のホテル利用も検討されるといいですね。
なお雲海は気象要件により、発生しないこともあります。ホームページに掲載の発生予報を参考にお出かけください。(※晴れた日の雲海テラスも絶景で個人的にはおすすめです)
【DATA】
■雲海テラス(北海道トマム)
期間:2021年5月11日(火)~2021年10月14日(木)
時間:6/1~10/14は、5:00~8:00まで(ただし9/1~9/30は4:30~8:00まで)
雲海ゴンドラ料金:大人1900円、小学生1200円、ペット500円
https://www.snowtomamu.jp/unkai_terrace/
新施設もオープン。アート三昧で癒される金沢(石川県)
美しいものに触れて癒される旅なら、石川県・金沢がイチオシ。金沢21世紀美術館や兼六園という定番スポットはもちろんですが、昨年には新しい魅力も誕生しています。
そのひとつが、明治時代の歴史建造物を移築して2020年10月25日にオープンした「国立工芸館」。人間国宝の作品を含め、陶磁器、ガラス、漆工、木工などなど、多義にわたる工芸品の展示や、工芸の技法などのもわかりやすく解説してあり学びも多い施設です。
金沢駅からのアクセスも大きく変わりました。尾山神社を抜けて金沢城公園へと抜けるルートができ、観光に便利な加賀百万石回遊ルートが誕生。
金沢城公園の入り口には鼠多門が復元され、2020年夏から公開されています。鼠多門(ねずみたもん)は、珍しい黒漆喰で仕上げられた「なまこ壁」が特徴。夜間はライトアップも実施されています。
アートを見るだけではなく実際に体験
金沢では、金箔や陶芸、友禅染など、伝統工芸の体験スポットも多く、見るだけではなく実際に自分でもアートを楽しめます。何かに集中することで、気持ちがすっきりすることも多く、チャレンジしてみるのもいいでしょう。
金沢から和倉温泉までは、お洒落な観光列車「花嫁のれん」も運行。外観や車内は伝統工芸がモチーフとなっており豪華絢爛。観光列車が好きな私も一押しの列車です。
【DATA】
■加賀百万石回遊ルート
https://hyakumangoku-route.jp/
■花嫁のれん
https://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/area_hokuriku/
いかがでしたか? 日本には、まだまだたくさんの癒しスポットがあります。今年の夏は、コロナの状況や安全に配慮しながら、上手に疲れをリセットしましょう。
教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表。(https://www.travel-k.com/)旅ブログも行っている。(http://www.murata-kazuko.com/)
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