女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。
第5回は、「虫問題」について。
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今年もまた暑くなってきた。夏はどちらかというと…苦手です。暑いより寒い方がまだいい。
まずは、虫問題だ。家は東京の住宅街だけど虫が多い。玄関にはヘビがいたこともあるし、クワガタがいたり、バッタがいたこともある。一度本当にびっくりしたのは、家族が出かけていて家に私が一人の時の事だ。リビングで掃除機をかけていたら、何やらすごい視線を感じる。「何~?」と一人声を出しつつ辺りを見回すと…いた~!!!
カマキリがテレビの上でじっとこちらを見ている。嘘でしょと思った。なぜ、家のリビングのテレビの上に君はど~んといるのだ。
どこから侵入したのだ。そしていつ入った…お互い見つめ合ったまま数秒間…私は一人リビングをウロウロしながらどうしよう、どうしようとつぶやいていた。
捕まえるのは怖いし、敵は両手を挙げて何だか威嚇しているようでもある。仕方ないので、そのまま掃除を再開。でも集中出来ずに、どこかに移動してしまわないか、常に気になる。結局夫にLINE。「どうしよう~ カマキリがテレビの上に~!」。
「りょ!」という、のんびりしたスタンプが返ってきた…。
結局夫が帰ってきて庭に逃がしてくれた。
微弱電流が流れるラケットをゲット
そして、夏といえば蚊問題。寝ている時に顔のまわりでブン~ブン~とされると本当に寝られなくて困る。
それに、家族は外の空気が好きで、庭でよくコーヒーを飲んだり、読書したりしているのだが、そんな時もブン~ブン~とうるさい。
手で捕まえるときは上下に手を動かした方がつかまりやすいそうだが、慌てているといつも左右から手を動かしてしまう。そして逃げられる。
しかし、これには強い味方ができた。数年前にキャンプに行った時に友達が持っていた蚊取りラケットだ。これはすごい。ラケットの網の部分が金属になっていて、微弱電流が流れて蚊を捕まえてくれる。
何回も手でパチッパチッとしなくても捕まえてくれるのだ。
しかしそれでもなかなか捕まってくれない素早い蚊もいて、そんなときはラケットをにぎりしめながらあっちこっちと振り回し、夫や息子に「そこそこ! あ、ちがうちがう!こっちこっち!」と指示されながらまるで下手な踊りをしているみたいになってしまう。
しかもそれでも捕まえられないと、夫や息子は「あ~あ~」と言う。私が「あ~あ~」だ。そして刺される。蚊取り線香に蚊取りラケット、そして虫除けキャンドルとアロマオイルを駆使して今年の夏も乗り切ろう。
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。