女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。
第7回は、「夏服」について。
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帽子にサングラスに扇子、そして、丈が長い薄手の長袖の羽織。すべて夏の装いにはずせないアイテムです。
帽子は大好きで、いろんな種類を持っていますが、洗える帽子が助かります。夏はやっぱり汗をかくのでさっと洗ってまた使える帽子が便利です。そして夏は、メンズの帽子をよくかぶっています。額にぴったりくっつくと暑いので少し大きくてもゆとりのあるものが心地いいです。
サングラスは好きな物があって、レンズを交換したりしながら何年も使っています。日に焼けないように大きめなのがちょうどいいです。
扇子はずいぶん前、京都に行った時に「宮脇賣扇庵」で買った物をずっと使っています。扇いだときのほのかな香りに癒されます。
薄手の長袖の羽織もかかせません。クーラーが効いていてちょっと肌寒い時には本当に助かります。あとは、なんだか大きくて長いものに包まれていると、どうやら私は安心するらしい。何に安心したいのか自分でもよくわからないのですが、とにかく安心する。子供が小さい時にお気に入りの枕やぬいぐるみを持つ感じと似ているのでしょうか?
「色の持つ力って大きい」
台湾の染色家「ヂェン先生の日常着」も大好きです。
夏の間はもう制服のようにいろんな色をずっと着ています。最初に出会ったのは沖縄の雑貨屋さんだったような気がします。カラフルな色の洋服が店内にたくさんかかっていて、目を奪われました。手に触れてみると、何とも心地いい。たくさんの色の中から選んで大切に持ち帰りました。次の日着てみたら、涼しくて風が抜けていき気持ちがよくてもう最高!
それから毎年どんどん色が増えています。色の持つ力って大きいなと感じたのもヂェン先生の洋服に出会ってからのような気がします。
朝起きて窓を開けた時、真っ青な空が広がっていたら青いトップスを選んだり、なんだかちょっと今日は疲れているなと思ったら赤を選んだり、雨が降っていたら深い緑を選んだり、朝から元気なときは黄色を選んだり、楽しいです。
ヂェン先生の服は、色も様々なバリエーションがあるのも嬉しいです。赤系だけでも赤、暗赤、紅小豆、橙、蜜柑など様々。次は何色を選ぼうか、ワクワクします。
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。