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【64歳オバ記者 介護のリアル】4か月介護を終えて“鉄旅”へ 「春まで」と施設に入れた93歳母ちゃんの顔が浮かんでは消える

オバ記者
母ちゃんは施設へ。オバ記者が向かったのは青森
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ライター歴43年のベテラン、オバ記者こと野原広子(64歳)が、今年8月から茨城の実家で始めた93歳「母ちゃん」の介護。ほとんど寝たきり状態だった要介護5の母ちゃんは、歩行器を使って外を歩けるまでに回復。しかし、冬の間は再び施設に入所することに。母ちゃんとの言い争いがたえなかった4か月の介護生活を終えて、オバ記者はさっそく趣味でもある“鉄旅”に向かいました。

* * *

労りの言葉ですら今はきつい

里帰り介護していた母ちゃんが老健(介護老人保健施設)に入ったら、介護のことを書くのもイヤ。25日から28日までかかりつけ医の診察を受けるために実家に母親が戻ってくると考えただけで気が重くなる。「年末年始から春まで施設にいて」とは言ってあるけど、いったん家に帰ってきたあの因業ババアがウンと言うはずがない、なんて思うだけで、わあああと叫びそうになる。

オバ記者の母親
入所日の朝、歩いて車に向かう母ちゃん
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オバ記者の母
退院したときの母ちゃん。このときはぐったりしていた
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「シモの世話、大変だったでしょ?」なんて労りの言葉ですら、今はきついんだよね。この一言でこの4か月繰り返された“大惨事“の情景と臭いがよみがえってくるのよ。

『大人の休日倶楽部パス』に救われた

そんな私の心の支えは鉄旅。早い話が現実からの逃亡よね。老健への入所カウントダウンが鳴り出した時から、JR東日本のエリア内が乗り放題の『大人の休日倶楽部パス』で頭の中をいっぱいにしていたの。でないと、キレて自分が何するかわからなくなりそうだったから。

待ちに待った鉄旅へ
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買い物から帰ってくると、母親が来客に「せがれは大学まで出してやったから親切だけど、(高卒の)娘はオレのごと怒るんだよ」と訴えていたの。なんだと? その高校も入学させないと義父が言って、私は人に言えない苦労をしたのよ。かりそめにも母親が弟と私を学歴で比べるか? ああ、この一言は母娘の縁、切ってもいいぐらいの話よ。母親もさすがにしまったという顔をしている。

そう思いながら、私は来客と普通に話してその一発アウトの話題はスルーした。脳裏にJR東日本のエリアの地図が浮かんだからよ。

JR東日本エリアが新幹線も含めて、4日間乗り放題の『大人の休日倶楽部パス』は私にとって巨大な空気清浄機で、逃亡の手助けをしてくれる高速馬車。これが目の前にあることで、どれだけ救われたかわからないわ。

越後湯沢へ行く予定が青森へ

で、今回の“介護一時解放の鉄旅”は、栃木県小山駅から始まって、大宮→新潟→鶴岡(泊)→秋田→新青森(泊)→那須塩原→東京の自宅(泊)で3日間。

車窓には津軽海峡が広がる
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頭をからっぽにして 新幹線の揺れに任せ、すぐに乗れるものに乗る。ホテルは当日、駅前で朝食付き4800円とか3800円にスマホから予約する。そのときクレジットカードで支払いも済ませられるって、私みたいな風来坊にはとてもいい時代だ。

さて、最終日はどうしよう。早朝、自宅を出て東京駅に着くまで、今日は乗り疲れもたまっていることだし、越後湯沢でひとっ風呂浴びて、帰ってこよう。そう思っていたのに、いざ指定席の券売機の前に立ったら、どこからともなく「青森、青森」と指令が降りてきたのよね。

えっ? 前日、青森から戻ってきたのに、一夜明けてまた青森に日帰りする? 昨日と今日で、東北新幹線はやぶさ号で片道716kmを3本? しかも特別な用事もないのに? はいはい、ガッテン承知の助ですよ。

でも、その一方で、正規で乗車券と特急券を買ったら片道1万7670円だけど『大人の休日倶楽部パス』なら4日間、乗り倒して1万5270円。ひゃはは、丸儲け! 上野で午後5時に整体の予約を入れてるから青森での滞在時間は2時間40分だけど、「上等、上等」と小躍りしている私。

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