一部のサウナ愛好家で使われていた用語「ととのう」が2021年の新語・流行語大賞にノミネートされ、すっかり市民権を得たサウナ。初心者から玄人まで楽しめるサウナ本『ちょっとサウナ行ってきます こうあるべきを脱ぎ捨てて、明日がもっと軽くなる』(いろは出版)を執筆した文筆家・イラストレーターでサウナ愛好家の岩田リョウコさんに、サウナの魅力やマナーを聞きました。
著名人もはまるサウナの魅力
「サウナはオジサンが集まる場所」という認識はもう古いです。俳優の菅田将暉、北川景子、天海祐希などがサウナ好きを公言。俳優で歌手の山崎賢人も17歳からサウナに通っているという古参ファンです。お笑い芸人の藤森慎吾にいたっては、長野県の山を購入して「サウナ村」を作ってしまったほど。著名人もはまるサウナの魅力はどこにあるのでしょうか?
「裸になって、汗をかいて、水風呂に入って、休憩して気持ちよくなるって、原始に戻るような快感です。そして熱さ、冷たさを肌で感じることを繰り返していると、体調の変化にも敏感になり、健康管理にも役立ちます。
それに、サウナは自分だけの贅沢な時間です。家事や仕事を忘れて、スマートフォンの通知からも離れて、気持ちを整理できる。なにより気持ちがよくなるからか、寛大になれます。嫌なことや心配なことが霧散して、ポジティブ思考に切り替わります」(岩田さん・以下同)
社会進出で女性もサウナの魅力に気づいた?
ここ数年でサウナの認知度が上がったのは、女性の社会進出も関係するのではないかと岩田さんは指摘します。
「外で働くのは男性が多かった時代は、サラリーマンがガンガン働いて酔っぱらってサウナでアルコールを抜いてスッキリしてまた働く、そんなイメージが定着していました。ところが女性も社会進出をして、サウナで疲れた体をリフレッシュしてみたら、こんなに気持ちのいいものがこの世にあったのかと女性も気づいた(笑い)。
サウナはいつ入っても気持ちいいのですが、やっぱり疲れている時は特にしみます。私は雨の日にサウナに行きたくなるのですが、医師によれば低気圧は自律神経を乱すので、心や体を整えたいとサウナを求めるのではないかということでした」
初心者でも簡単!サウナの選び方、入り方
気持ちがよく健康にもつながるとなればサウナに行かない手はありません。サウナといっても、専門店から銭湯のサウナまでさまざま。初心者はどこから始めればいいのでしょうか。
「最初は作法が気になりますよね。サウナに入る前に体を洗ったり、髪が長い人はまとめておくのは、湯船に入るマナーと同じです。アクセサリーはやけどの原因になるので外してください。サウナ室で、そのまま座るのは衛生的に問題があるため、入り口にあるサウナマットを敷くこと。施設によっては用意されていないので、自分のタオルを使うといい。
初めてサウナに行く場合は、専門のサウナ施設に行って、周囲の人を観察してまねするとルールが自然に身につきます。サウナ施設は料金が高めですが、設備も整っているので初心者向け。感覚を覚えたら、どこのサウナでも大丈夫です。ただし、銭湯のサウナはローカルルールがあったりして、私もいまだにドキドキします(笑い)」
座る場所が階段状になっている場合は、上の段に行くほど熱が高いので、好みや体調に合わせて段を選ぶといいでしょう。サウナ室に留まる時間は人それぞれ。6分~10分くらいの人が多いそうですが、“体の声”を聞いて決めましょう。
サウナのあとの水風呂、外気浴のやり方
「サウナ室で終わるともったいない! その後の水風呂が大切です。初めての水風呂は勇気がいりますが、足からじわじわ入っていると足が冷えて全身つかるまえにギブアップしがち。一気にはいるのがコツです。水温は16~18度が平均的で、高めの22度前後でも自分が水に溶けていく感覚が味わえます。10度以下の“冷たい水風呂主義”の人もいますので、好みの水風呂の温度を探してみてください」
水風呂を出たらタオルを巻いて、いよいよ外気浴です。
「この休憩がゴールです。いわゆる“ととのう”恍惚タイム。このためにサウナに通っている人がいるくらい気持ちがいい。この恍惚感がさめて体が冷えてきたら、またサウナ室に戻ります。3回ほど繰り返すと、ほどよくととのうと言われています」