一緒に暮らす愛犬の食事や生活で気をつけることを、なんとなくわかっているつもりになっていませんか? 犬種によって気をつけることは違う、と『獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん』(世界文化社)の著者で獣医師の林美彩さんと古山範子さんはいいます。そこで、小型犬、短足犬種、日本犬種について、生活スタイルのポイントを解説します。
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大型犬と小型犬では散歩量が異なるように、毎日の食事や生活も、犬種に合ったスタイルがあります。毎日の食事とともに気をつけることを知って、愛犬との絆を深めましょう。
チワワやマルチーズなど小型犬の場合
チワワやヨークシャー・テリア、マルチーズ、トイ・プードル、ポメラニアンなどが代表的な小型犬。食が細いワンコや偏食気味のワンコが多く、太れない体質である子も見受けられます。
そういったワンコには、炭水化物を少し多めに与えてあげましょう。また、シニアになると心臓疾患を招きやすいので、太り過ぎはもちろん、興奮させすぎないように気をつけましょう。
積極的にとりたい栄養素はEPAやDHA
魚(特に青魚)に多く含まれるEPAやDHAは、動脈硬化を防いだり脳の働きを正常に保ったりと、健康上のメリットがたくさんあります。また、穀類やいも類などの炭水化物を多めに与えることで、痩せすぎを防止することができます。
食事のときの工夫
愛犬の食事の嗜好性を上げたいと思ったときは、かつお節や青のりなど、香りの強いものをトッピングするとよいですよ。知育トイなどを使って楽しみながら食事をするのもおすすめです。
ダックスフントやコーギーなど、短足犬種の場合
ダックスフント、ウェルシュ・コーギー、バセット・ハウンドなどに代表される短足犬種。穴の中での狩りや、家畜を追いかけるなどの仕事のしやすい体形へ改良された犬種です。
骨格的に腰回りや四股への負担がかかりやすいのが特徴で、椎間板ヘルニアや関節炎、脱臼、股関節形成不全などになりやすいです。食欲旺盛なワンコが多いので、肥満になりやすい傾向もあります。
積極的にとりたいのは骨や体の生成によい栄養素
カルシウム(小魚、桜えび、ひじき、豆腐、納豆)、コラーゲン(魚の皮、うなぎ、鶏手羽、鶏がら、砂肝、豚足、牛すじ)、グルコサミン(軟骨、うなぎ、オクラ、山芋、きのこ類)、コンドロイチン(山芋、里芋、オクラ、うなぎ、納豆)、Lカルニチン(羊肉、牛肉、まぐろ、かつお)など、骨や体の生成によいものを与えるといいでしょう。
食事のときの工夫
体の性質上、背中や腰に負担をかけないように食器の高さに注意してみてください。食欲旺盛なワンコが多いので、早食い防止の食器を使うなど肥満防止のためにゆっくりと食事ができる工夫をするのもおすすめです。
柴犬や秋田犬など日本犬種の場合
柴犬や秋田犬のほかにも、甲斐犬、紀州犬などに代表される日本犬種。穀類豊富な日本原産のため、洋犬種と比べると、穀物の代謝が得意な傾向にあります。また、認知症の発症率が高いのも特徴。積極的に青魚を食べさせましょう。
柴犬は、皮膚トラブル(アトピー性皮膚炎、アレルギー)を招きやすい性質なので、食物繊維やビタミンが含まれる緑黄色野菜なども多めに与えるといいですよ。
積極的にとりたいのは青魚や穀類
魚に含まれるDHA、EPAなどの脂肪酸は、認知症の発症率を低下させるといわれています。それらの栄養素が多く含まれる青魚が特におすすめです。また、穀類(白米、玄米、そば、うどん、パスタ)などの炭水化物とは相性がいいので、積極的に与えるといいですよ。
食事のときの工夫
脳を活性化させる知育トイや宝探しゲーム(ノーズワーク)などを使って脳トレをしながらの食事もおすすめです。食事への食いつきが悪い場合は、嗜好性を上げるために、香りの強いかつお節や青のりなどをトッピングするといいですよ。