門前払いも?東京大学大学院に準備期間3か月で入学
試験に合格し、気象予報士として『ニュースステーション』などにも出演するようになった河合さん。順調なキャリアを歩んでいたが、35歳を過ぎて、東京大学大学院に進むことを決めた。
「気象予報士という仕事をするなかで、天気で心や体調が変わるのはなぜだろうと疑問を持ったんです。晴れていると楽しい気分に、雨が続くとブルーに、低気圧が近づくと頭痛がする、ということは誰でも体験していると思います。これは“生気象学”という学問で研究されていて、独学しました。すると環境と人の心の関係性についてもっと知りたくなり、東京大学院の健康社会学教室を見つけました」
河合さんは早速、大学院の研究室に足を運んだが、門前払いだった。
「私は修士だけ行こうと考えていたのですが、開口一番“博士課程に進学する気はあるのか?”と聞かれた。しかも、試験は3か月後。“うちは研究者を育てるところ。二足の草鞋でできるところじゃない”と。まぁ、門前払いですね。それで、健康社会学に興味をもったのはこんな本を書いたからなんです、と著書『体調予報―天気予報でわかる翌日のからだ』(講談社)を先生にお渡しして、トボトボと帰りました。
別の大学院に進もうかと考えていると、1週間後に指導教員の先生からメールが届きました。“あなたのように、いろんな経験をしている人はきっといい研究ができる。ビリでもいいからしがみついて合格しなさい”と書かれていました(笑い)。
それが6月くらいだったのですが、修士課程で一番忙しい時期の院生の人たちが“この参考書がおすすめ”“安田講堂の下の資料室で、10年分の過去問を売っている”“足切りがあるから医師国家試験の参考書を勉強した方がいい”などメールで協力してくれたんです」
早朝の番組を終えると国会図書館で試験勉強
当時はTBSで朝の番組を担当していた。深夜2時に起き、3時にスタジオ入り。番組は7時に終わる。
「家に帰ると寝てしまうので、仕事が終わると近くの国会図書館に行って勉強しました。ありがたかったのは、私が寝そうになっていると通りかかった人が、“毎朝見てるよ、勉強頑張って!”と声をかけてくれたり、コーヒーを置いてくれたりした。気合が入って、人生で一番勉強をしたと思っていましたが、入学してからのほうがもっと大変でした(苦笑)」