
毎日お風呂に入っていても体臭が気になるのは、春特有の環境による影響かもしれません。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると、食事で体臭の原因を抑制できることがあるそうです。併せて、体臭にアプローチする漢方薬についても教えてもらいました。
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体臭が強くなる春特有の理由
体臭の元になるのは汗・皮脂・皮膚の常在菌の3つです。この3つのバランスが崩れるとニオイがきつくなると言われています。

汗腺の機能低下
寒い冬の間は汗をかく機会が減る場合が多いです。それが春になって体臭がキツくなる原因になることがあります。長く汗をかかないでいることが汗を出す汗腺の機能低下につながります。そうすると、このあと説明する過酸化脂質など、ニオイの原因物質を多く含む汗が春に出やすくなるのです。
精神性発汗
体温を調整する発汗とは別に、強いストレスを感じたときにも汗をかきます。全身ではなく脇や手、額など局所的にどっと汗が出るのが特徴です。また強いストレスを感じたときにはアンモニア濃度が高く、においの強い汗をかきます。

春は環境の変化や初対面の緊張などでストレスを感じる場面が多く、においのキツい汗の発汗量が増える可能性があります。
体臭を抑えるには? 体内環境をととのえる春の食材
ニオイの元になる過酸化脂質が増える原因は、活性酸素が体内に増えることです。活性酸素は呼吸やストレスなどによって生じますが、抗酸化物質を摂ることで除去されます。
春キャベツ

キャベツに含まれるイソチオシアネートには抗酸化作用があります。熱に弱いので生で摂るようにしましょう。春キャベツは葉が柔らかく生食にも適しています。ふんわりとゆるい巻きで、鮮やかな黄緑色をしたものが、おいしい春キャベツの特徴です。
さらに、春キャベツは普通のキャベツと比べてビタミンCが1.3倍、β-カロテンが3倍と栄養価も違います。ビタミンCは強い抗酸化力がある栄養素です。
新玉ねぎ

玉ねぎにはポリフェノールの一種のケルセチンが含まれています。春が旬の新玉ねぎと普通の玉ねぎは同じ品種で、通常収穫後1か月程度乾燥させてから出荷される玉ねぎを収穫後すぐに出荷したのが新玉ねぎです。
春にしか食べられない新玉ねぎは、皮が薄く水分が多いのが特徴で、辛みが少ないためサラダやマリネなどにして生でたっぷり食べられるのも魅力です。
しいたけ

しいたけに含まれる抗酸化物質は、エルゴチオネインとよばれるアミノ酸の一種です。エルゴチオネインは抗酸化作用が期待できることで有名なビタミンEの約7000倍の抗酸化力があるといわれ、活性酸素除去に役立ちます。
年中スーパーに並んでいるしいたけですが、本来の旬は春と秋の2回です。冬を越した春のしいたけは、身が締まってうま味があります。
体臭予防には漢方も取り入れて
食事に気をつけていてもにおいが改善されない場合は、自然由来の生薬から作られ、比較的副作用が少ないといわれている漢方薬を服用するという方法もあります。

漢方医学で体臭は、胃腸の不調により水分の代謝が悪くなることで、老廃物の蓄積や自律神経の乱れなどが生じることが原因だと考えられています。そのため、皮膚科では胃腸の働きを助け、水(すい)を巡らせたり、ストレスを軽減させたりすることで、異常な発汗を抑える漢方薬を処方します。
体臭が気になる人におすすめの漢方薬2つ
・防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
水分循環を促し、余分な水を尿として排泄させる働きがある漢方薬です。
・桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
胃腸の働きを高め、気の巡りをよくすることで、寝汗や発汗を改善します。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は繰り返す不調に対して、根本からの改善が期待できる薬です。そのため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん

おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。