健康・医療

春に腰痛やぎっくり腰になりやすい理由、予防のために食べたほうがいいものは?

腰を押さえている人
春は腰痛になりやすい条件が重なる季節
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春は腰痛が起こりやすい季節だと知っていますか? 腰痛予防の基本は、筋力アップと柔軟性の向上と言われていますが、食事でも意識したほうがいいことがあるそうです。そこで、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんに腰痛予防に役立つ食材と、効果が期待できる漢方薬を教えてもらいました。

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春に腰痛が起こりやすい理由

何気ない動作でも起こるぎっくり腰は急性腰痛の1つです。腰の捻挫ともいわれる腰痛は、腰を支える筋肉やじん帯に急な負担がかかり神経が刺激されることで起こります。それではなぜ、春に腰痛が起こりやすいのでしょうか。

寒暖差で体が硬くなる

春は1週間のなかで日によって気温が異なり、寒暖差が大きくなります。また、春は1日のなかでも気温差が大きいのが特徴です。寒さや一時的な冷え込みで体が硬くなったあと、十分に柔らかくなっていない状態で動くと、腰痛が起こる場合があります。

両手でホットドリンクを飲む人
春は寒暖差に気をつけて(Ph/PhotoAC)
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運動不足による筋肉の減少

寒さを感じると、体を動かす機会が減る人も多いでしょう。運動量が減ると筋力が衰え、全身のバランスに偏りが出たり、柔軟性が低くなったりして、腰痛が起こりやすくなります。

ストレスやアレルギー、病気

その他にも、環境の変化によるストレスや、花粉症などのアレルギー症状でも腰痛が起こるという報告があります。さらに、婦人科系の病気や消化器の病気など、腰以外が原因で腰痛になることもあります。長引く腰痛は自己判断せずに専門家と相談しながら対処するのがおすすめです。

腰痛予防のためにとりたい食材

食事で腰痛予防をするのなら、血行をよくすることに重点を置きましょう。血液は、筋肉やじん帯を形成する材料や酸素を腰に運び、動力となるエネルギーも届けます。血流がいい状態であれば、筋力アップや柔軟性の向上を加速させることができます。

そこで意識して摂りたい栄養がビタミンEです。末梢血管の拡張を促し、血管内で血液が固まるのを防ぐ働きがあり、血行促進に役立つビタミンEを多く含む食品を食事に取り入れましょう。

器に入った卵
ビタミンEが豊富な卵
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江戸時代には滋養強壮のために食べられていたという卵。ビタミンE以外にもたんぱく質やビタミンA、ビタミンB2などさまざまな栄養素が含まれています。なお、殻の色によって白玉と赤玉がありますが、栄養面での違いはありません。

アスパラガス

ザルに入ったアスパラガス
脂質を含む素材と組み合わせることでビタミンEの吸収率がアップ
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卵や乳製品、肉・魚などの脂質を含む食材と一緒に食べると、脂溶性、つまり脂に溶出しやすい性質のビタミンEを効率的に吸収できます。ちなみに、栄養剤でおなじみのアスパラギン酸は、アスパラガスから発見されました。

大豆

枡に入った大豆
ビタミンEは豆腐や納豆、味噌などの大豆加工品からも摂ることができる
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高い栄養価と機能性で注目を集めている大豆にも、ビタミンEが含まれています。ゆでて煮物や煮込み、サラダや和え物にするなどアレンジの幅が広いのも魅力です。豆腐や納豆、味噌などの加工品にもビタミンEは含まれているので、積極的に食卓へとり入れましょう。

腰痛には漢方薬もおすすめ

食事に気をつけていても腰痛が起きる場合は、自然由来の生薬を使った漢方薬をのむという方法もあります。

漢方医学で腰痛は、泌尿・生殖器の機能低下や冷え、湿気などにより、筋肉や関節、骨などに栄養物質が流れなくなるために起こると考えられています。漢方薬で血液の巡りなどをよくすると、体中に栄養が行き渡り、腰痛だけでなく神経痛や関節痛の改善につながります。

たくさんの生薬
腰痛に有効な漢方薬は?
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また、体の内側からの根本治療を目的として整形外科でも使われている漢方薬は、比較的副作用が少ないといわれ、初めてでも安心して使えることも魅力です。

腰痛におすすめの漢方薬2つ

・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

痛み止めの頓服薬として使われる芍薬甘草湯は、ぎっくり腰のような急性期の腰痛に用いられます。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は血の滞りを改善する漢方薬です。血行障害に関係する頭痛や肩こり、めまいなどにも用いられます。

→桂枝茯苓丸について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は繰り返す不調に対して根本からの改善が期待できる薬です。そのため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

しっかり食べて腰痛予防

気候や環境の変化で体調を崩しやすくなる春は、全身の血行を整えておくのが重要です。運動と合わせて食事にも意識を向けて腰痛予防をしてください。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん

小原水月さんの写真
管理栄養士の小原水月さん
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おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。

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