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中森明菜、KATSUMI、久保田早紀、庄野真代…「妄想海外旅行」で懐かしの歌謡曲を振り返る

庄野真代『飛んでイスタンブール』は1978年に大ヒット(Ph/SHOGAKUKAN)
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歌謡曲での海外人気スポットは「砂漠」

長いフライトお疲れ様でした。リアルの海外旅行ならフランス、イギリスなどヨーロッパが人気なのかもしれない。

しかし歌謡曲の人気スポットは俄然「砂漠」である。特に、恋に破れたり、迷いを抱えているヒロインは、砂嵐に身を任せたくなるようである。

久保田早紀さんの乾いた美声に、シルクロードの映像がサブリミナル効果で仕込まれている気さえする超名曲『異邦人』。サハラ砂漠の大きな夕日が見え泣きそうになる、中森明菜さんの『SAND BEIGE〜砂漠へ』。光る砂漠が登場する庄野真代さんの『飛んでイスタンブール』。イスタンブールに砂漠はないが、エキゾチックな歌詞とメロディを口ずさんでいるうちに「私の心のイスタンブールには、光る砂漠あり!」と深く頷いてしまう。

インターネットも通っておらず、飛行機のフライト本数も少なく、なにより価格が高かった昭和の時代。ネットの一般普及は1995年、海外のLCC(格安航空会社)が日本で国際線を運行し始めたのは2007年だ。私も調べてびっくりしたが、どちらもほんの少し前、平成の出来事じゃないか! それまで世界は本当に広く遠かった。そんな時代に、歌の職人たちが想像力の翼を広げ、作り出した楽曲はもう一つの宝の地図。楽曲の数だけパラレルワールドがある。なんとロマンチックなことなのだろう。

国内で異国情緒を楽しむなら『チャイナタウン』

「できれば昭和の楽曲で、ガチで海外に行った気分になりたい」。そんな人には、グローバル歌謡のパイオニア、ゴダイゴの名曲の数々をおすすめしたい。特にドラマ『西遊記』のエンディング曲として流れていた『ガンダーラ』は、国だけではなく時間まで超えて天竺が見える素晴らしさ。エアガンジス河沐浴までできそうな勢いだ。

矢沢永吉の『チャイナタウン』は1978年発売(写真は2009年、Ph/SHOGAKUKAN)
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逆に妄想でも遠出は苦手、でも異国情緒は味わいたいというワガママさんもいるだろう。ならば昭和歌謡で大人気のスポット、チャイナタウンが良き! 矢沢永吉さんの『チャイナタウン』や泰葉さんの『フライディ・チャイナタウン』など、異国情緒だけでなく、イイ女、イイ男気分に浸ることができる。

さて、ツアーも終わりだが、すぐに帰らずホッと一息しませんか。そんな気持ちでご用意した曲が橋幸夫さん『恋のメキシカンロック』である。「セニョリータ(女性)」「マタドール(闘牛士)」「マニャーナ(明日)」など、歌詞とリズムに散りばめられたメキシコ・フレイバーが最高にキャッチー&ポップ! 本場メキシコというより、浴衣で大広間に集まり、温泉旅館のイベント「メキシコ祭り」を楽しんでいるような、とてもおおらかな気分になれる1曲である。さあ踊って歌って祭りのあとの寂しさを吹き飛ばし、明日へGO・GO!

超早足で巡った妄想海外旅行、お疲れ様でした。

歌があれば、その気になれば地球の裏側だってすぐ行けるし、なんなら宇宙までだって可能だ。そしていつだってフライト可能だ。

今度はぜひ妄想汽車&電車の旅もご一緒に。往復切符はもうその手に!

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

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