
そろそろ夏の旅計画を始めるかたも多いはず。久しぶりの旅、どこへ行こうか迷ったら、旅行ジャーナリストの村田和子さんが太鼓判を推す、岡山へ旅をしてみては? 7月からは自治体・観光関係者とJR6社(北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州)が共同で実施する大型観光キャンペーンも始まります。
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私は、移住を考えるぐらい岡山が好き。首都圏からも新幹線でアクセスがよく、自然、アート、食、歴史と、バランスがとれた魅力的な旅先です。

この夏に、おすすめする理由は2つ。冒頭でご紹介のとおり、7月から9月は大型キャンペーンがあり、お得な旅行商品や特別な体験も登場すること。もうひとつが、3年に1度開催の「瀬戸内国際芸術祭」の舞台であること(春会期は開催済、夏会期は8月5日から9月4日)です。今回は、いつもにも増して、この夏、魅力が溢れる岡山のおすすめ観光コースをご紹介します。
【王道】瀬戸内海の玄関口「宇野」でアートをとことん楽しむ
岡山駅から在来線で50分の宇野駅。すぐそばに港があり、直島や豊島、あるいは四国へ渡る海の玄関口になっています。本州側から瀬戸内国際芸術祭を訪れる際の出発地点であり、自らも「瀬戸内国際芸術祭2022」の舞台です。

今までは言葉を選ばずに言うと「直島へ行くついでに鑑賞」という、通過型の見学が多かったのですが、2022年の宇野は一味違います。
駅と港を結ぶ導線からちょっと外れたところにある商店街を舞台に、古い家屋を活用した新しいアート作品が登場。この土地の思いや歴史を感じながら、じっくりと味わいたい作品ばかり。商店街にも気になるお店がたくさんあり、通過型ではなく目的地のひとつとして、時間をとって鑑賞をしたいところです。


昨夏には、宇野駅からすぐの場所にお洒落な「UNO HOTEL」もオープン。海の見える客室から、1人で利用できる手頃なドミトリーまで、好みに応じた宿泊が可能です。またレストラン「BLUNO」は、外来で食事の利用もOK。


ホテル隣にある瀬戸内温泉「たまの湯」は、海を眺めながら楽しめる日帰り温泉施設。夏の島巡りは汗をかくので、最後に温泉でさっぱりとして帰途につくのもいいですよ。

【穴場】日生諸島でクルーズ気分&伝統工芸を楽しむ
関西からなら在来線の新快速でアクセスできる日生駅。地元では冬の牡蠣で知られる日生ですが、夏は日生諸島を定期船(一部は陸路でもアクセスOK)や、ショートクルーズなどで楽しむのがおすすめ。

特筆すべきは「NORINAHALLE(のりなはーれ)」という日生港から鴻島、大多府、頭島を結ぶ定期船。観光列車「ななつ星」などのデザインでも知られる水戸岡鋭治氏が監修したとあって、内装がとてもお洒落。日生諸島の絶景を優雅に堪能できます。



定期船や橋でつながっているので、陸路(車・バス・電動自転車など)でもアクセスできる頭島。島の高台にある、「渚の交番 ひなせうみラボ」内のレストラン「キッチン星の」も訪れたい穴場スポット。
高台から眺める海の景色が素晴らしく、地元産の新鮮な魚を使ったランチプレートは栄養満点でテンションがあがります。


また、JR赤穂線の日生駅から岡山駅間は、伝統工芸が楽しめるスポットも点在しており、あわせて訪れてみるのもいいでしょう。JR伊部駅周辺は、備前焼の窯元が集まっており、レンガ造りの煙突が情緒ある街並みを散策したり、陶芸体験も楽しめます。

長船駅からアクセスできるのは、「備前長船刀剣博物館」。刀剣ブームの中、訪れる女性も多いとか。クラウドファンディングで瀬戸内市所有となった国宝「太刀 無銘一文字(山鳥毛)」も、8月11日(木)~9月25日(日)に展示予定です。

【美食】倉敷で美味しい朝時間…美術館を独り占め&モネの愛した朝食
倉敷といえば「大原美術館」が有名ですが、開館前の「大原美術館」をツアー参加者で貸し切り、特別解説員の案内で鑑賞できるモーニングツアーが、毎週日曜日の朝8時から9時に開催されています(前日までに予約。定員あり)


「大原美術館」の成り立ち、収蔵品の謂われなど、ストーリーを知ることで、より深く作品を鑑賞できます。さらに、プレミアムな朝食がセットになったプレミアムモーニングツアーがあるのですが、日時があえば、ぜひ体験したいところ。https://www.ohara.or.jp/2022/04/10/10985/
プレミアムモーニングツアーの参加者は、美術館の鑑賞が終わったら、非公開の抜け道へと案内されます。目の前が開けたと思ったら、そこは倉敷国際ホテルの中庭。庭には赤絨毯が敷かれ、その上を進むと朝食会場へ到着します。

美食家だったモネは料理のレシピを多数残したといい、それをもとに料理長が再現したのが、「モネが愛した朝食」。お味はもちろん、プレゼンテーションやホスピタリティも含めて素晴らしく、極上の朝時間が満喫できます。

倉敷に訪れたなら、昨年10月にオープンした「大原美術館 新児島館(仮称)」へもぜひ足を運びましょう。旧第一合同銀行倉敷支店の由緒ある建物には、ゆくゆくは「


まだまだ見どころ満載!夏から秋はフルーツ体験も
今回は瀬戸内海側をご紹介しましたが、岡山の山手には星空観測が楽しる美星天文台や蒜山高原、赤色の顔料「弁柄」が美しい吹屋の街並み、さらに北部には美作温泉など、旅の楽しみが目白押しです。

フルーツ大国の岡山。7月から9月は収穫体験やフルーツの食べ比べやパフェなどを楽しむのもおすすめ。ぜひお好みに応じて旅を計画してみてくださいね。
最新情報は、「こころ晴ればれ おかやまの旅(岡山DC)」https://www.okayama-kanko.jp/dc/overview.htmlが便利です。


◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)。
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